第172話:遊園地デートのお昼ご飯

 それから紗枝と一緒にジェットコースターに乗って行き、その後も色々なアトラクションを一緒に巡って行った。


 そしてそれから程なくして、現在の時刻は12時を過ぎた所だった。


「ふぅ、流石にお腹空いてきたなぁ。それじゃあそろそろ昼飯を食べないか?」

「えぇ、そうね。それじゃあ敷地の外にイートインコーナーがあるからそっちに行きましょう」

「あぁ、わかった」


 という事で俺達は一旦遊園地の敷地外に出て行き、そのまま近くにあるイートインスペースに向かって行った。


 そこは自然に囲まれていてとても心地よい雰囲気のスペースとなっていた。そして人も少なかったのでこれならノンビリとお昼ご飯を食べれそうだ。


「よし、それじゃあ席も確保出来たし、早速お昼ご飯を食べていこうぜ」

「そうね。それじゃあお弁当の準備をしていくからそのバッグを貸して頂戴」

「あぁ、わかった」


 そう言って俺は紗枝にバッグを返していった。すると紗枝はバッグからちょっと大きめな容器を取り出してきた。


「それじゃあ……はい、これ」

「あぁ、ありがとう! って、おぉ! サンドイッチかー!」


 紗枝が持ってきたお弁当箱は二段構成になっていて、一段目も二段目もギッシリとサンドイッチが詰め込まれていた。


「はは、これはすっごく美味しそうだな!」

「あ、ありがとう。ま、まぁその……中の具材は今日早起きして頑張って作ったのよ。だから良かったらちゃんと味わって食べてよね?」

「へぇ、そうなんだ! って事はこれは全部紗枝の手作りのサンドイッチか! うわー、これは凄く楽しみだな!」

「う、うん。まぁ、もしかしたら口に合わないかもだけど……でも良かったらどうぞ」

「あぁ、それじゃあ早速……頂きます!」

「ん、召し上がれ」


 そう言って俺は手前に置かれていたたまごサンドに早速手を伸ばしてそのままパクっと一口食べてみた。


「モグモグ……うん! これめっちゃ旨いよ! ゆで卵とマヨネーズのバランスが丁度良くてマジで美味しい!」

「そ、そう……? そっか……ふふ、それなら良かったわ……」


 俺がそう言いながらサンドイッチを頬張っていくと、それを見ていた紗枝はホッと安堵の息を漏らしていった。


「マジでお世辞とかじゃなくて本当に旨いよ! でもこれだけ美味しいサンドイッチが作れるなんて……もしかして結構長い間練習とかしたんじゃないか?」

「え? あ、う、うん! そうなのよ! ふふ、実はお母さんにお願いしてここしばらくはお母さんと一緒に料理の勉強を頑張ってたんだ!」

「あぁ、なるほど。やっぱりな! だって凄く美味しいなって思ったもん! ありがとな、紗枝。こんなに美味しいサンドイッチを俺のために作ってくれてさ」

「う、うん。私の方こそありがと。そんなに美味しそうに食べてくれるなら……私も頑張った甲斐があったわ」

「あぁ、本当にありがとう。ってあれ? こっちのサンドイッチって……もしかしてフルーツサンドか?」


 俺は紗枝に感謝をしていきながらサンドイッチをどんどんと食べ進めていっていると……一つ下の段のお弁当箱には苺と生クリームがたっぷり入っているフルーツサンドが沢山入っている事に気が付いた。


 そしてもちろん生クリームも苺も俺にとっての大好物だ。どっちも無限に食べられると言っても過言ではない。


「うん、そうよ。ほら、アナタって甘い物が好きなんでしょ? だからこういうデザート系のサンドイッチも入れておいたら喜ぶかなって思ってね」

「えっ!? お、俺のためにフルーツサンドを作ってくれたのか!? ま、マジかよ……あ、ありがとう紗枝! いや本当に俺さ……紗枝の事が大好きでいて良かったよ!」

「えっ!? ちょ、ちょっと!? 何いきなりそんな事言ってるのよ! は、恥ずかしい事をあんまり外で言わないでよね」


 そう言って紗枝はジトっとした目つきで俺の事を睨んできた。でもそんな紗枝の顔はちょっとだけ赤くなっていた。


「はは、悪い悪い。でも俺のためにこんな大好物を用意してくれるなんてさ……本当に嬉しいよ。だからありがとな、紗枝」

「う、うん。ま、まぁその……それだけ喜んでくれると私も凄く嬉しいわ。だからその……は、早く食べてみて感想とか教えてよ」

「あぁ、わかった。それじゃあ早速こっちも食べてみるな……うん、このフルーツサンドもめっちゃ旨いよ!」


 俺はフルーツサンドを口いっぱいに頬張っていった。クリームの甘さと苺の酸味がバランスよく調和されていてとても美味しかった。


「いやー、これ本当に全部凄く美味しいよ。こんなにも美味しい弁当を作って来てくれてありがとう! 本当に大好きだよ、紗枝!」

「い、いや、だから! 恥ずかしい事をあんまり外で言うんじゃないわよ! ま、まぁでもそれだけ喜んでくれたのなら私も頑張って作ってきた甲斐があるわ。それに前にアナタが言ってたけどさ……誰かのためにご飯を作るのってこんなにも楽しいものなのね。だからこれからも……私ももう少しだけ料理を頑張ってみようかしら」


 紗枝は俺の目を見つめながらそんな事を言ってきた。


「おー、それは良いじゃん! 料理関係なら俺で良ければいつでも手伝うし、何でも力になるぞ!」

「うん、ありがとう。それじゃあこれからはアナタの事も色々と頼りにさせて貰うわね。あと、そうだ。それじゃあさ……アナタってデザート系以外で何か好きな料理とかある?」

「え? 俺の?」

「え、えぇ。ま、まぁその……やっぱり私だって……いつかはその……か、彼氏の好きな食べ物をいっぱい作ってあげられるようになりたいなって思ってね……」


 紗枝は顔を真っ赤にしながらそう言ってきた。でもそんなの破壊力ありすぎてヤバイって。マジで可愛すぎだろ俺の彼女……!


「はは、そっかそっか。それはマジで嬉しいよ! うーん、そうだなー。それじゃあやっぱり俺も紗枝と同じで肉料理が大好きかな。ハンバーグとか生姜焼きとか唐揚げとか牛丼とかさ」

「なるほどなるほど。ふふ、アナタの食べたい料理は覚えたわ。それじゃあいつか必ず……私の作る最高のお肉料理をアナタに食べさせてあげれるように頑張るわね!」

「あぁ、凄く楽しみにしてるよ。あ、それじゃあこれからは良かったら俺の家でご飯を食べる時は一緒に料理もやってみるか?」

「あ、うん! もしもお願いできるならそれも是非ともお願いしたいわ!」

「あぁ、わかったよ。それじゃあこれからは紗枝のエプロンも家に用意しておくな」

「うん、ありがとう! 雅君!」


 という事で俺達はお昼ご飯のサンドイッチを食べながらそんな料理話に花を咲かせていった。

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