第170話:デートのお弁当は何を作ろうかな(紗枝視点)

 とある日の夜。


 私は自分の部屋のベットに寝転びながらとある事を考えていた。何を考えているのかというと……。


「うーん、お弁当は何を作ろうかしら?」


 私は雅君とのデートに持って行くお弁当を考えていっていた。今週の土曜日に雅君と遊園地に行く事になっているんだ。


 そして私はこの数日間お母さんに頼んでちょっとずつ料理のお手伝いをしていっていた。だからほんのちょっとだけ料理も出来るようになってきた気もする。いやもちろんお母さんのアシストは絶対に必要なんだけどさ。


 という事でいよいよ遊園地に行く時期に近づいてきたので、私はそろそろお弁当について考え始めていったというわけだ。


「あ、でもそういえばあの遊園地って……確か飲食スペースが決まってたはずよね」


 私はそう言いながらスマホで遊園地のマップを確認していった。


 すると遊園地のパーク内は持ち込んだ食べ物を食べるのは禁止にされていて、パークの外にイートインスペースがあるようだ。


「それじゃあ移動する量はいつもよりも多くなるかもだし、あまりお弁当の荷物はかさばらないようにした方が良いわよね」


 そうなると箸とかスプーンみたいな細々としたものは持っていかないようにしたい。という事は手で掴んで食べるようなお弁当の方が良さそうね。


 そんな条件で料理下手な私でも作れそうな料理となると……。


「……よし! それじゃあお弁当はサンドイッチにしよう!」


 最初は手で食べる料理という事でおにぎりをすぐに思いついたんだけど、でも雅君っていつも菓子パンとかを食べてるイメージがあるわよね。


 だからおにぎりよりもパン料理の方が良いんじゃないかなと思って私はサンドイッチを作る事に決めていった。


「よし、それじゃあ早速作り方を調べていこうかしらね」


 という事で私はスマホで料理サイトを開いてサンドイッチの作り方を調べていった。そもそもサンドイッチなんて一度も作った事がないからちょっとだけ心配だなぁ……。


「ふむふむ……あ、でも割と簡単に作れそうな感じなのね。うん、これなら私でも大丈夫そうね!」


 たまごサンドの具材は卵を潰してマヨネーズと塩コショウを混ぜていだけなら私でも作れるし、他の具材もそんな大変そうな工程はなさそうなので料理初心者の私でもちゃんと作れそうだ。


「あとは……あ、そうそう。せっかくなら雅君の好きそうなサンドイッチも作ってあげたいわね」


 確か雅君の好きな食べ物は甘い物全般だって言っていた。普段から菓子パンをよく食べてる人だもんね。うーん、それだったらフルーツサンドみたいなのが良いかしら?


 クリームたっぷりに果物を入れたサンドイッチとかなら彼も凄く喜んでくれるかもしれないわね。よし、それじゃあ今度さりげなく葛原君に好きな果物とか聞いてみる事にしよう。


「ふふ、それにしても……料理をする人の気持ちってこんな感じなのね」


 前に雅君がこう言ってた。人のために料理を作るのがすごく楽しいって。その言葉の意味が私にもわかった。だって今雅君のために料理を考えるのって凄く楽しいもん。


「ま、まぁでも……失敗するのはやっぱり怖いから一回は試しに作ってみた方が良いよね」


 いくら難易度が低そうなサンドイッチだと言っても料理下手な私が作るのだからちゃんと練習はしておいた方がいいだろう。明日ならお母さんもいるし……よし、それじゃあ!


「よし、それじゃあ試しに材料を買ってきて明日は一回作ってみようかな!」


 という事で明日は練習のためにサンドイッチを試しに作ってみる事を決めていった。


 まぁ一発本番でいくほど私は料理上手くないし、それに初めてのデートなんだから雅君に褒めて貰いたいって思うのも当然の気持ちだよね。


「ふふ、それにしてもお付き合いをしてから初めてのデートかぁ。うん、すっごく楽しみだなぁ……」


 前に雅君とは二人きりで映画館に遊びに行ったりした事もあるけど、でもあの時はまだ友達同士だったからね。


 でも今の私達はもう友達同士ではなく恋人同士だ。だからこれが恋人同士としての初めてのデートとなる。それに私にとって雅君は生まれて初めての彼氏だし、ちゃんとしたデートも初めてだから本当に楽しみだな。


 でもあんまり浮かれすぎちゃ駄目だよね。だって私たちはまだ高校生なんだし、何というかその……ハ、ハメを外し過ぎるような遊びは駄目だよね。あ、でも……。


「ま、まぁ何というかその……恋人らしい事もちゃんとしていきたいよね……」


 雅君とお付き合いを初めてから少し日は経っているんだけど、でも正直友達だった頃とあんまり変わってない距離感な気もする。だから今回の遊園地デートを機にもう少し恋人らしい事とかが出来たら良いんだけど……。


―― ふふ、あーんとかしてあげたら良いんじゃないかな?


「……うっ……」


 その時、友人の雪子からそんな提案をされた事をふと思い出していった。まぁちょっとハードルは高いけど……でもそれも確かに魅力的よね。


「う、うーん……ま、まぁ今はとりあえず恋人らしい事は置いといて、明日のサンドイッチ作りについて考えていきましょう!」


 という事で私はそんな事を考えていきながらも、とりあえずは明日の練習用のサンドイッチの材料を調べる事に専念していった。

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