第169話:翌日の朝

 翌日の朝。


「おはよっすー」

「あぁ、うん。おはよう」


 いつも通り学校に到着すると教室には既に紗枝がいたので、俺は紗枝に挨拶をしながら自分の席に座っていった。


 そして俺はそのまま紗枝に向かってこんな話を振っていった。


「あのさ、ちょっと前に紗枝の誕生日の話をしたよな?」

「うん、そうね。でもそれがどうしたのよ?」


 俺達はつい最近に誕生日の話をしたんだ。そしてその時に紗枝の誕生日がお正月だという事を聞いたんだ。


「いや、まぁその時に紗枝の誕生日がお正月だっていう重要な話を教えて貰ったわけなんだけどさ……でもそれよりもほんのちょっと前にクリスマスっていう最強のカップルイベントがあるじゃん?」

「えっ!? え、えぇっと、それを認めるのはちょっと恥ずかしいんだけど……ま、まぁそうね?」


 俺がそう言うと紗枝はちょっとだけ顔を赤くしながら頷いてきた。


「そうだよな。それでさ、あの時は聞いてなかったんだけど……そういえば紗枝って普段のクリスマスはどう過ごしてるんだ?」

「今までのクリスマス? うーん、まぁ私はいつも家族とか幼馴染と家で過ごす事が多かったわね。フライドチキン屋さんで大きなチキンのバーレルを買って家でクリスマスパーティをする感じが多かったわね」

「あー、なるほど。あのチキン屋さんのフライドチキンめっちゃ旨いもんな」


 という事で幸村はいつも家族や主人公とクリスマスパーティーをして過ごしていたらしい。


「そういうアナタは今までのクリスマスはどうやって過ごしてたの? やっぱり家族とか友達とかと過ごしてたの?」

「え? あー、それはまぁ……」


 俺はそう言われて自分の記憶を遡ってみていった。すると中学の頃までは祐奈と二人きりでクリスマスをいつも過ごしていたようだ。


 でも高校に入ってからの俺は完全にグレてしまったので、去年のクリスマスはヤンチャ仲間と一緒にクラブに行ってナンパして朝帰りをしていたようだ。


 という事は去年のクリスマスの祐奈は……。


(そう考えると……やっぱり今年のクリスマスは祐奈と過ごした方が良いな……)


 だって流石にクリスマスに独りぼっちにさせるのは辛すぎるもんな。


「? どうしたのよ?」

「えっ? あ、あぁ、いや何でもないよ。まぁその……綾子はほら、美容師の仕事があるからクリスマスは毎年仕事でいないんだ。だから俺が中学の頃までは祐奈と二人で仲良く過ごしてたよ。でも去年は色々とあって祐奈を独りぼっちにさせて外で遊んでたんだけどさ……」

「あー、なるほどね? はぁ、全くもう……小学生の妹を独りぼっちにさせるなんて兄失格ね?」

「う……それはまぁ……何の申し開きもないな……」


 紗枝にジト目でそんな風に説教をされていってしまった。これは流石に何も言い返す事が出来ないよな……。


 でもそれからすぐに紗枝は柔和な笑みを浮かべながらこう言ってきてくれた。


「うん、まぁでもそれをちゃんと事前に知る事が出来て良かったわ。ふふ、それじゃあさ……今年のクリスマスは私とアナタと祐奈ちゃんの三人で過ごしましょうか?」

「え? い、いいのか?」

「うん、もちろん良いに決まってるでしょ。私だって祐奈ちゃんの事は大好きなんだから。だから今年は三人でクリスマスを楽しみましょうよ」


 幸村はにこやかな笑顔でそんな優しい事を言ってきてくれた。


「紗枝がそう言ってくれるなら……あぁ。それじゃあ是非とも三人で過ごしたいよ。あ、そうなると場所はどうしようか? せっかくだし三人で何処か出かけるか? 美味しいご飯とかレジャー施設に行くとかさ?」

「うーん、それも良いと思うけど……でもやっぱりクリスマスは何処も凄く混んでると思うわよ? そういう人混みの多い所は多分祐奈ちゃんも辛いんじゃないかしら?」

「あー、確かにそうだよな。うーん、それじゃあどうしようかなぁ……」


 確かに人混みの多い場所は祐奈も嫌だと思うし、それならもっとノンビリと過ごせるような場所の方が良いよなぁ。


「うーん……って、あ、そうだ! それじゃあさ……良かったらアナタの家で三人で過ごすってのはどうかしら? クリスマスパーティっぽく部屋の中をデコレーションしてチキンとかケーキとか豪勢な料理を楽しむってのはどうかしらね?」

「おぉ、それはかなり良い案だな! あぁ、わかった、それじゃあ俺の家でクリスマスパーティを開こうぜ! それで俺も頑張ってちょっと豪華なご飯を作る事にするわ!」

「ふふ、それは凄く楽しみね。うん、それじゃあそんな感じで行きましょう。それじゃあ私も今年のクリスマスはちゃんと空けておくわね」

「あぁ、わかった。それじゃあ俺も帰ったら早速祐奈にそれを伝えておくよ」

「えぇ、よろしくね」


 という事で俺はそんな紗枝の提案に賛成していき、今年のクリスマスは紗枝と祐奈の三人でパーティを開く事が決まった。


 よし、それじゃあクリスマスまでに何か美味しいご飯を考えておく事にするかな。

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