第168話:久々に親子三人で飯を食う
とある日の夕方。
今日は久々に綾子は仕事が早く終わって帰宅したので、俺達は家族三人で仲良く晩御飯を食べている所だった。
「来月の頭に紗枝ちゃんと遊園地に行ってくるんだ? それは楽しそうだね!」
「遊園地良いなー! あ、お土産は沢山買ってきてね! お兄ちゃん!」
「あぁ、わかったよ。それじゃあ祐奈はお土産は何が欲しいんだ?」
「うーん、それじゃあぬいぐるみが良い! 大きくて可愛いのが良いなー!」
「はは、わかったよ。それじゃあなるべく大きくて可愛いぬいぐるみを買ってきてあげるよ」
「うん、ありがとう! 楽しみにしてるね!」
「あ、それじゃあ私はチョコレートをよろしくねー! 出来るだけ沢山よろしく!」
「わかったよ。それじゃあ綾子には太るんじゃねぇかってくらい大量にチョコレートを買ってきてやるよ」
「あはは、そりゃあ楽しみだねー!」
という事で俺達は家族三人で飯を食いながら和気あいあいとした話で盛り上がっていった。
「ふふ、それにしても雅と紗枝ちゃんがお付き合いする事になるなんて凄く嬉しい報告だね! 絶対に紗枝ちゃんの事を不幸にさせちゃ駄目だよー?」
「あぁ、そんなのもちろんだよ。というか俺が紗枝の事を不幸になんてさせるわけないだろ」
「うんうん、それなら良かった。それじゃあこれからも末永くお幸せにね? 紗枝ちゃん泣かしたりしたら許さないからね?」
「あぁ、もちろんそんな事も絶対にしないよ。色々と気を使ってくれてありがとな、綾子」
「うん、それでこそ雅だ! ふふ、それじゃあ私もその言葉を信じるよ」
俺がそう言うと綾子はニコやかに笑みを浮かべてきてくれた。何とも穏やかな時間だった。
「ふふ、でも雅と紗枝ちゃんが本当に羨ましいよー。これから二人は沢山デートして楽しい青春を送っていくんだろうなぁ」
「いや、何だかそう言われるとちょっと恥ずかしいな。でも綾子だって高校生の頃はかなり楽しい青春を送ってたんじゃないのか?」
「あはは、そりゃあもちろんね! 高校生の頃は当時の彼氏と毎日のように遊んでたなー」
「だよな。あ、それじゃあさ、綾子って高校生の頃はデートする時はどういう所で遊ぶ事が多かったんだ? ちょっと参考までに聞かせてくれよ」
「んー、まぁ私の場合はカラオケとかゲーセンとかファミレスでのんびりと喋ったりとかかな? あとは普通に彼氏の家で遊んだりする事が多かったわね」
「ふぅん、なるほど。やっぱり20年近く前でもデートする場所は今と変わらないもんなんだな」
「はは、そりゃあそうでしょ。今も昔も若い子達が遊ぶ場所なんてそんな変わらないもんよ」
綾子は笑いながらそんな事を言ってきた。まぁやっぱりお金を持ってない学生のデートスポットなんて今も昔も変わるわけないか。
(だけど……何だか恋人の家デートっていうのはちょっと羨ましいよなぁ)
やっぱり恋人の部屋に遊びに行くっていうのは凄く幸せな気持ちになりそうだもんな。うーん、いつか紗枝の部屋に行ってみたいなぁ……。
「あ、でもさ……せっかくなら来月は12月なんだし遊園地に行くならクリスマスに行けばいいんじゃない? それなのになんで12月の頭に行く事にしたのよ?」
「あぁ、まぁやっぱりクリスマスだと遊園地は凄く混んじゃうだろうから、日にちをちょっとだけズラそうって事になったんだよ」
「なるほどね。確かにせっかくのクリスマスなら人混みの多い場所じゃなくて、もっとゆっくり出来るようなデートをした方が良いわよねぇ。って、あ、それじゃあ紗枝ちゃんとのクリスマスはもう何処かデートに行く予定とか決めてるの?」
「いやクリスマスに関してはまだ何も決めてないよ。ってかそういう綾子はクリスマスって……?」
「私? 私はもちろん仕事よー。クリスマスなんてイベントが多いからメイクアップのお仕事が沢山入ってるのよ」
「あぁ、やっぱりそうなんだ。美容師の仕事は大変だな。特にイベント事が沢山ある日は相当大変そうだよなぁ……」
「確かにそうね。でもまぁその分お金が沢山稼げるから良いんだけどね。だからこれからも沢山お金を稼いでいくわよー!」
綾子はガッツポーズをしながらそんな事を言ってきた。流石はこの葛原家の大黒柱だな。とても頼りになる力強い言葉だ。
(でもそっか、そうなるとクリスマスは俺と祐奈の二人しかいないのか)
それだと俺が紗枝と二人きりでクリスマスデートに行こうとすると、祐奈の事を家で一人ぼっちにさせてしまう事になる。流石にそれは絶対に嫌だな。
それにせっかくのクリスマスに小学二年生の女の子を一人で家に留守番をさせるなんて……流石にそれはちょっと鬼畜過ぎるよな。
うん、だからそこら辺については紗枝にちょっと相談してみよう。
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