第166話:紗枝を遊園地に誘っていく
その日の放課後。
今日は紗枝と一緒に学校から帰宅していっている所だった。
それと紗枝は今も俺のカーディガンをブレザーの中に着込んでいた。今日はそのまま持って帰っていいと言ったら嬉しそうにしながら着込んで帰っていった。
「あ、そうだ。そういえばさ」
「うん? どうしたの?」
そしてその帰り道で俺は紗枝にこんな事を尋ねていってみた。
「あぁ、ちょっと聞きたい事があるんだけどさ、紗枝って遊園地とか好きか?」
「遊園地? うん、まぁ普通に好きな方だけど? 長期休みの時とかに友達と一緒に遊園地に行ったりしてるしね」
「あ、そうなんだ。なるほどなるほど、紗枝は遊園地が好きなんだな」
「う、うん。まぁそうだけど……いやそもそも遊園地が嫌いな人なんて滅多にいないでしょ。でもそんな事をいきなり確認してどうしたのよ?」
紗枝はキョトンとした表情をしながら俺にそう尋ねてきた。まぁ急にこんな意味不明な質問をしたら変だと思われるに決まってるよな。
という事で俺はさっさと本題を紗枝に伝えていく事しにした。
「あぁ、実は紗枝に見て貰いたい物があるんだよ。ほら、これ」
「うん?」
俺はそう言いながら黒木に貰った遊園地のチケットを取り出して紗枝に見していった。すると紗枝はすぐにビックリとした表情を浮かべ始めていった。
「えっ!? これってあの大きな遊園地のチケットじゃないの!? しかもペアチケット!? ど、どうしたのよこれ? これ結構高いでしょ!?」
「あぁ、いや実は黒木がちょっと前に福引でこの遊園地のチケット当てたらしくてさ。でも今年中までしか使えないチケットらしくて、もうすぐ期限も切れるから良かったら俺達で使ってくれって渡してきてくれたんだ」
「へぇ、そうなんだ? あの遊園地って色々と豪華なアトラクションがあって凄い楽しいのよねぇ……って、えっ? “俺達”でって……それってつまり?」
「あぁ、そうだよ。このペアチケットは俺と紗枝の分って事だよ」
「え……って、えぇっ!? わ、私の分!? そ、そんな……それは黒木君に申し訳ないわね。って、あれ? そもそも黒木君って私達が付き合ってる事知ってたの?」
俺がそう言うと紗枝はちょっとだけ首を傾げながらそう尋ねてきた。そういえば黒木に付き合った報告をした事を紗枝にはまだ言ってなかったな。
「あぁ、実は俺さ、前々から黒木には恋愛相談に乗って貰ってたんだよ。例えばほら、紗枝と二人で映画館に行く時に服装をどうしようか迷ってた時にも相談に乗って貰ったんだよ」
「え、服装? ……ふふ、そっか。アナタも……同じ事で悩んでたんだ……」
俺がそう言うと紗枝は何故か唐突にふふっと微笑みを浮かべ始めてきた。
「……? 何か俺変な事を言ったか?」
「え? ううん、全然変な事なんて言ってないわよ。でもそっか、それじゃあ黒木君にはアナタから報告したって事ね」
「あぁ、そうだよ。あ、もしかして同じクラスのヤツには付き合ってる事は言わない方が良かったか?」
「ううん、別に良いわよ。隠す事でもないし、そもそも私だって仲の良い友達にはちゃんと報告したしね」
「そっか。それなら良かった。といっても俺の場合は仲良い友達は黒木しかいないから、俺はこれ以上誰かに報告する事はないだろうけどな」
「そ、そういう自虐めいた事を言わないでよね。はぁ、全くもう」
「はは、悪い悪い」
俺がそんな事を言っていくと紗枝はいつもながらジトっとした目つきで俺の事を睨まれてしまった。なので俺は笑いながらもちゃんと謝っていった。
「あ、それで本題に戻るんだけどさ、良かったらこのペアチケットを使って一緒に遊園地に行かないか? 今年中までしか使えないからチケットだから早めに行かないと駄目なんだけどさ」
「うん。そんなのもちろん良いに決まってるじゃないの。それじゃあ日にちはいつにしましょうか? あ、今年までって事は一応クリスマスにも使えるんだろうけど……でもその遊園地ってクリスマス付近は凄まじく混む事で有名だから、そこら辺の日にちはズラした方が絶対に良いわよ」
「あぁ、そっか、なるほどな。うーん、それじゃあちょっと俺はバイトの予定とか見ないといけないから、今日帰ったら改めて都合の良い日をLIMEで送るわ」
「えぇ、わかった。それじゃあ私も帰ってスケジュールを確認して空いてる日をLIMEで送るわね」
「あぁ、よろしく頼むよ」
という事で俺達はまた夜にLIMEを送り合う約束をしていった。そしてそれからすぐに紗枝は何かを思いついたように大きな声を出してきた。
「あ、そうだ! それじゃあさ、私からも一つ提案というか、やってみたい事があるんだけど……」
「やってみたい事? あぁ、紗枝のやりたい事なんて全然いくらでもやってくれて良いぞ?」
「う、うん、ありがとう。それじゃあその、一緒に遊園地に行く時にさ……私はアナタにお弁当を作っていきたいんだけど……作ってきても良いかしら?」
「え……えぇっ!? 紗枝がお弁当を? 俺に!?」
そんな嬉しい提案をしてきてくれるなんて思わなかったので、俺は驚いた声を出していってしまった。でも俺はすぐに満面の笑みを浮かべながら紗枝にこう言っていった。
「あぁ! そんなのもちろん大歓迎だよ! 紗枝の手作りの弁当が食べられるとか最高すぎだろ!」
「ちょ、ちょっと! そ、そんなに大げさに喜ばないでよね! 私が料理下手なの知ってるクセに……」
「はは、そんなのどうでも良いよ。俺の彼女が俺のためにお弁当を作ってくれるという事実だけで凄く嬉しいに決まってるだろ!」
「うっ……そ、そっか。うん、まぁ、その……アナタがそこまで喜んでくれるのなら……私も嬉しいわ。ふふ、それじゃあ頑張ってアナタのために作ってあげるわね」
「あぁ、それじゃあ俺も楽しみにしてるよ」
「うん、わかったわ……ふふ」
そう言うと紗枝は恥ずかしそうに顔を赤くしながらも、嬉しそうにはにかんだ笑みを浮かべてきてくれた。
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