第156話:応援に行くための準備をしていく(雅人&紗枝視点)
それから数日経った金曜日の夕方。
俺は学校からの帰りに駅前のスーパーに立ち寄っていた。理由はもちろん明日作るお弁当のオカズを買うためだ。
(でも久々にお弁当を作るなんてちょっとテンション上がるなー!)
俺はそんな感じで非常にワクワクとしながら買い物をしようとしていた。
まぁ転生前の時は時々お弁当を作ったりもした事はあったけど、こっちに転生してきてからはまだ一度もお弁当は作ってなかった。だから俺は久々のお弁当作りにちょっとテンションが上がっていたんだ。
それに今回は俺が食べるためのお弁当じゃなくて幸村のために作るお弁当だからな。やっぱり大切な人のために作るお弁当が一番気合が入るってもんだ。そのために事前に幸村の食べたいお弁当のリクエストを教えて貰った訳だしさ。
という事で俺は少し前に幸村に聞いたお弁当のリクエストについて思い出していっていた。えぇっと、確か幸村が希望してたお弁当のオカズは……。
『え、えっと……そ、そうね……ま、まぁそれじゃあ……やっぱりお肉料理かしらね……』
確か幸村はお肉料理が良いって言ってたよな。よし、それじゃあ幸村へのお弁当のメイン料理はアレにしよう!
「そうなると必要な材料はこれと、これと……あっ! せっかくだしこれも作ってあげるとするかな!」
という事で俺はテンションに身を任せて必要な材料をどんどんと手に取って買い物かごの中に入れていった。でもそんな事をしてたら案の定……。
「……あ、やば……買い物かごに材料入れすぎちゃったな……」
俺は久々のお弁当作りにテンションを上げてしまい次々に材料を買い物かごに入れてしまった。まぁ、でもいっか。せっかくの楽しいイベントなんだし俺も楽しまなきゃだ!
(よし、それじゃあさっさとお会計を済ませちゃおう!)
という事で俺は買い物かごに入れていった材料を減らす事は一切せずに、そのまま会計を済ませてさっさとスーパーから出ていった。これらの材料を使って幸村のために美味しいお弁当を作ってあげるぞ!
「……って、あ、そうだ。明日の事、幸村にちゃんともう一回連絡を入れといた方が良いよな」
もしも明日のお弁当の事を忘れられてたら困ると思った俺は、すぐにスマホを開いて幸村にこうメッセージを送っていった。
―― 雅人:明日はお弁当を持って行くから。忘れないでくれよ。
―― 雅人:ピコン♪ (ぺこりとお辞儀してる猫のスタンプ)
「これで良しと」
俺は幸村にそんなメッセージを送っていった。ついでに初めて買ってみたスタンプも幸村に送ってみた。
ちょっと前に幸村に“アナタっていつも簡素なメッセージしか送らないわよね”って言われてしまったので、今日は生まれて初めてスタンプ機能を使ってみる事にしたんだ。でも……。
(うーん、でも男の俺が使うにはちょっと可愛すぎるスタンプだったかもな……)
せっかくなのでいつも幸村が使ってたから俺もそれを参考にして買ってみたんだけど、でも流石に可愛すぎるスタンプだったかもな。元ヤンチャ人間が使ってたらちょっとおかしい気もするけど……まぁ別にいっか。
―― ピコン♪
そんな事を思っていたら俺のスマホから通知音がなってきた。
―― 紗枝:もちろんわかってるわよ。アナタの作るお弁当を楽しみにしてるわね。
―― 紗枝:ピコン♪(お腹を空かせたパンダのスタンプ)
幸村からそんな嬉しい文面のLIMEメッセージが届いた。はは、楽しみにしてくれてるなんて光栄な事だな。
「よし、それじゃあそんな幸村のためにも明日は全力で頑張っていこう!」
という事で俺は改めてそんな決心してから自宅へと帰宅していった。
◇◇◇◇
(紗枝視点)
その日の夕方。
「紗枝、お疲れー!」
「うん。お疲れ様、雪子」
今日はついさっきまでテニス部の練習があった。そして今は部活が終わったので私は雪子と一緒に更衣室で着替えをしている所だった。
「明日はいよいよ練習試合だし頑張っていかなきゃだねー! って、あ、そうだ! せっかくだし明日のお昼は一緒に食べない?」
「え? あ、えぇっと……ごめんなさい。明日はもう他の友達と一緒に食べる予定があるのよ」
「あ、そうなんだ? うん、了解ー。それじゃあ私も明日は他の子と食べる事にするね!」
「うん、わかった。って、あれ?」
―― ピコンっ♪
雪子とそんな会話をしていると唐突に私のスマホが鳴り出した。どうやら誰かからメッセージが送られてきたようだ。
なので私はすぐにスマホを開いていってみると、それは葛原君からのメッセージだった。
―― 雅人:明日はお弁当を持って行くから。忘れないでくれよ。
―― 雅人:ピコン♪ (ぺこりとお辞儀してる猫のスタンプ)
「……ふふ」
葛原君から届いたメッセージはいつも通り簡素だったけど、でも今日は初めて葛原君からスタンプが送られてきた。デフォルメされた可愛らしい猫のスタンプだ。
そしてその送ってきたスタンプは私が普段から愛用している可愛い動物シリーズのスタンプだった。もしかしたら葛原君はいつも私が使ってたスタンプを見て同じ物を買ったのかもしれないわね。
(ふふ、それにしても、あんなにも怖そうな不良だった葛原君がこんな可愛いスタンプを使うだなんて……何だか可愛いなぁ)
私はそんな葛原君のギャップがとても可愛く見えてしまい、私は思わずふふっと微笑んでいった。
そしてそんなギャップがあって可愛い所も……うん、私は葛原君のそういうギャップがある所も好きだなーって思っていった。
「どうしたの紗枝? 何か顔がちょっと赤いけど?」
「え? あ、あぁ、いや、何でもないわよ!」
「そう? まぁ紗枝がそう言うんなら別に良いんだけど」
すると雪子はそう言いながら怪訝そうな表情をしてきていたので、私は咄嗟に誤魔化していった。そしてそのまま私は急いで葛原君にLIMEを返していった。
―― 紗枝:もちろんわかってるわよ。アナタの作るお弁当を楽しみにしてるわね。
―― 紗枝:ピコン♪(お腹を空かせたパンダのスタンプ)
(これで良しと)
私は葛原君にそうメッセージを返してスマホを閉じていった。
ふふ、それにしても私は葛原君の事が好きなんだと自認するようになってから、日に日に葛原君の事が好きだと思う気持ちが強くなってる気がするわね。
(だからこそ……うん、だからこそ明日はちゃんと……葛原君に本当の気持ちを伝えなきゃだね……)
私はそんな事を改めて決意しながら、明日に葛原君と会えるのを楽しみにしていった。
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