第150話:次の日の朝
月曜日の朝。
俺はとても清々しい気分で学校に登校していっていた。
「ふんふんふ~ん♪」
まぁ俺がそんな楽しそうに登校している理由は休みが明けて幸村と会えるからってのが一番の理由だ。
(それにようやく幸村に好きだという気持ちを伝えられて良かったよな)
俺はこの前ようやく幸村に告白をした。まぁ結果は一旦保留という形にはなったけど、それでも俺の想いをちゃんと幸村に伝えていったんだ。
そして告白を保留にされてしまっている俺の心境についてなんだけど、幸村に告白した事を後悔したりとか幸村に会うのが気恥ずかしいみたいな気持ちには全然なってなかった。
むしろ俺は幸村に告白が出来て本当に良かったなと思っていた。
(まぁやっぱり……好意ってちゃんと伝えなきゃ相手には中々気づいてもらえない物なんだよな)
だって俺が幸村に告白したあの時、幸村が物凄くビックリとした表情になっていたしさ。
俺としては今まで幸村の事が好きだという気持ちを態度で見せていたつもりだったんだけど、でもどうやら今までの幸村にはあまりピンと伝わっていなかったようだ。
だから映画デートの時に俺の好意が伝わるようかなり真剣に告白をして本当に良かったと思った。
それにやっぱり好意を持っているのにそれを伝えなかったせいで誰かに取られるくらいならちゃんと告白するべきだよな。
(ま、あとは幸村の答えが出るまでゆっくりと待つだけだな)
もちろん幸村とお付き合いが出来たら最高だけど、でもそれは幸村がしっかりと悩んでから答えを出してくれるはずだ。
だから今の俺に出来る事はこれからも変わらず幸村といつも通り気さくな感じで接していくだけだ。
という事で俺はそんな事を考えていきながら、それからも楽しく鼻歌を口ずさみながら学校へと向かって歩いていった。
◇◇◇◇
それから数分後。
俺は学校に到着した。
そしてそのまま下駄箱で靴を履き替えてさっさと教室に向かって行くと、教室には既に幸村が席に座っていた。
「おはよーっす」
「ん、おはよ」
という事で幸村にいつも通り気さくな感じで挨拶をしていきながら、俺は幸村の後ろの席に座っていった。
(何だか思ってた以上にいつも通りな感じだな)
俺は後ろの席から幸村の事をじーっと観察してみたんだけど、思いのほかいつも通りの幸村に見えた。
告白したばっかりだし少しは俺を意識してるかなって思ったけど、でも幸村はいつも通りピシっと背筋を伸ばし凛とした態度で勉強を頑張っている様子だった。
(ま、そっちの方が幸村らしいっちゃらしいよな)
という事で俺は心の中でそう笑いながらも、俺も勉強の準備を始めていく事にした。そしてその準備の間に俺は幸村に軽く雑談を振っていった。
「今日もいつも通り幸村は早いな。どれくらい前から学校に着いてたんだ?」
「まぁ20~30分前には居たわね。塾の模試もそろそろあるし、ちょっとだけ勉強を頑張らないといけないのよ」
「へぇ、そうなんだ。学校の中間テストが終わった後に塾の模試があるなんて大変だなぁ……って、あれ? 幸村の背中にゴミみたいなのが付いてるぞ? 多分糸くずかな?」
「え、ほ、本当に? ど、どこら辺に付いてるのかしら?」
幸村はそう言って背中を見ようとキョロキョロと顔を動かし始めていった。
「そんなキョロキョロと顔を動かさなくて良いよ。良かったら俺が背中に付いてる糸くずを取ってやろうか?」
「えっ? あ、う、うん……そ、それじゃあ、その……お願いしても良いかしら?」
「あぁ、わかった。それじゃあちょっとだけ背中を触らさせて貰うぞ?」
「う、うん……」
幸村に糸くずを取る許可を貰ったので俺はゆっくりと手を伸ばしていき、そのまま幸村の背中にゆっくりと触れていった。
「……っ!」
すると俺が背中を触れたその瞬間、幸村はかなりビクっとしていっていた。そんな強く背中を触ったつもりは無かったんだけどな……?
(うーん、どうしたんだろ?)
俺はそんな事を疑問に思いながらも、俺は幸村の背中に付いている糸くずを急いで取り払っていった。
「これで良しと。ほら、取れたぞー……って、え?」
「えっ……? あ、あぁ、う、うん……あ、ありがと……」
取り払った糸くずを幸村に見せようと思って俺は幸村の顔を何となく見ていったんだけど……すると幸村の顔は思いっきり真っ赤になってしまっていた。
「……? ど、どうしたのよ……?」
「え? あ、あぁ、いや、何でもないよ」
でも幸村は自分の顔が真っ赤になっている事には全然気が付いてないようだった。なので俺は幸村にその事は指摘せず瞬時に誤魔化していった。
まぁそれにしても……。
(いつも通りの幸村だと思ったけど……でもちゃんと俺の事を意識してくれてたんだな)
幸村はいつも通り凛とした態度で真面目に勉強をしてるから、もしかしたら俺に告白された事はそこまで意識してないのかなってちょっとだけ思っていた。
でも実際にはそんな事もなく、どうやら幸村は俺の事を一人の男としてちゃんと意識してくれていってるようだった。
俺はその事実を知れて何だかとても嬉しい気持ちになっていった。
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