第131話:俺の顔がヤバイ事になってる件

 それから数時間後。


「すぅ……すぅ……」


 晩御飯を食べ終えた後、俺はリビングのソファに座りながら祐奈と一緒にウーチューブを見ながら楽しく過ごしていた。


 しかし祐奈はその途中で一足先に眠ってしまったので、俺は祐奈を担いで自室の布団に入れていってあげた。


 そしてそれからすぐに現在の時刻を確認してみると、今はちょうど夜の11時になった所だった。


(うーん、でもまだ眠くないし……あっ、それじゃあ……!)


 まだ眠気が全然きてなかった俺は眠気がやってくるまで幸村に借りた本を読んでみる事にした。まぁ本当は幸村に借りた本は土日休みを使ってジックリと読むつもりだったんだけどな。


 土日休みに読もうとしてた理由は以前に平日の夜に幸村にオススメされたラノベを読み始めたら、読み終えるまで止まる事が出来なくてほぼ完徹状態になってしまったからだ……。


 だから同じ失敗を繰り返さないためにも、今回はちゃんと土日休みを使って読むつもりだったんだけど……まぁでも流石に俺も学習はしているからさ。


 だからそんな俺が同じ過ちを繰り返すわけがない。眠気がやってきたらすぐにしっかりと眠れば良いだけだ!


(よし、それじゃあ眠くなるまで本を読んでいくとするか!)


 という事で俺も祐奈の隣に敷いた布団の中に入っていき、そのまま幸村から借りた本を読み進めていった。


◇◇◇◇


 そして翌日の朝……。


「お……おはよーっす……」

「ん、おは……よう?」


 教室の中に入っていくと既に幸村が席に座って勉強をしていたので、俺はいつも通り幸村に挨拶をしていった。


 そして幸村も俺に向かって挨拶をしてくれたんだけど……でも俺の顔を見てすぐに驚いたような表情を浮かべ始めていった。


「え、えぇっと……どうしたのよその顔……?」

「どうしたって……何かおかしくなってるか?」

「え、えぇ、物凄く酷い顔をしてるわよ。特に目の下のクマとか酷い事になってるわよ?」

「えっ? ま、マジで……?」


 幸村はとても心配そうな表情をしながら俺の顔を指差してきた。


「えぇ、マジよ。一体どうしたのよ? もしかして体調でも悪いの? もしそうなら一緒に保健室に行きましょうか?」

「えっ? あ、あぁ、いや違うんだよ……別に体調が悪いとかじゃなくてさ……実は今日寝てねぇんだ……」

「え……って、はぁっ? いや平日なのに寝てないとか一体何してんのよ? 夜更かしをするんだったら土日休みとかにしなさいよ」

「あ、あぁ、本当にそうだよな……自分でもそう思うよ……」


 幸村は心配そうな表情から一転してジトっとした目つきをしながら俺の事を叱ってきた。


「はぁ、全くもう……それで? こんな平日に徹夜までして一体何してたのよ? まさか徹夜で夜遊びをずっとしてたなんて言ったら本気で怒るわよ?」

「えっ!? い、いや違うから! ほ、ほら、ちょっと前に幸村から小説を借りただろ? それを昨日の夜に読み始めてみたんだけどさ……ちょ、ちょっと面白すぎてその……気が付いたら一睡もせずに全部読み切っちゃってたんだよ」

「え……って、えぇっ!? あれ結構分厚い小説だったでしょ?? そんな小説をたったの半日で読み切っちゃったの!?」

「あ、あぁ、読み終えた時には朝の5時になってたよ。あ、あはは……」


 俺はそう言いながら苦笑していった。


 という事で昨日の夜に読み始めた小説を徹夜で読み切ってしまったせいで、今現在の俺は滅茶苦茶に死にかけの表情をしているという訳だった。


「あ、アナタねぇ……そういう事はせめて翌日が休みの時とかにやりなさいよ……というか私がそれで失敗したの覚えてるはずなのに、何でアナタも同じ過ちを犯してるのよ?」

「あ、あぁ、そうだよな……い、いや本当に面目ないよ……」


 幸村は思いっきり呆れ顔をしながら俺にそう言ってきた。それに俺は何も言い返せずにただ頭を下げる事しか出来なかった。


「え、えぇっと……い、いやでもさ、まぁその言い訳ってわけじゃないんだけど、マジで寝る時間を惜しむくらいにそれほどに面白かったよ! やっぱり幸村がオススメしてくる本はハズレがないよな。だから本当に面白い本を貸してくれてありがとな!」

「えっ? う……ま、まぁ……そんな嬉しそうに言ってくれるのなら……うん、私も貸してあげた甲斐があったっていうものよ。ふふ、アナタが楽しく読んでくれて本当に良かったわ……」


 俺は死にかけの状態のまま何とか笑みを浮かべて感謝の言葉を伝えていくと、幸村はちょっとだけ顔を赤くしながらそう返事を返してきてくれた。


「あぁ、本当に最高だったよ。いやこれはすぐにでも幸村と感想会をしたいよなー。それじゃあいつやるよ?」

「感想会って……えっ!? ほ、本当にやってくれるの?」

「いやそりゃあ当たり前だろ? ってか何で嘘をつかなきゃいけないんだよ?」

「そ、それはまぁそうなんだけど……」


 俺が感想会をすぐにでもやりたいと言っていくと、幸村は凄くビックリとした表情を浮かべてきた。いや何でそんなにビックリとした様子を浮かべてるんだろう?


「? 何でそんな顔をしてるのかわからんけど……ま、いっか。それじゃあ今日のお昼休みに飯を食いながら一緒に語り合おうぜ!」

「え、えぇ、わかったわ。あ、それじゃあお昼は何処で食べましょうか? 今まで通り教室で食べる? それともせっかくだし何処か違う場所で食べましょうか?」

「うーん、そうだなぁ……あ、そうだ。それじゃあ良かったら久々に屋上で食べないか? 屋上なら誰も来なくて静かだろうし、のんびりと感想会も出来るだろ?」

「そうね。確かに屋上なら教室よりも静かだし、そういう話をのんびりとするには良いかもしれないわね。えぇ、わかったわ。それじゃあ今日は屋上で食べましょうか」

「あぁ、わかった。それじゃあ今日も一日よろしくな」

「えぇ、こちらこそ」


 という事で今日のお昼は幸村と一緒に屋上に行ってご飯を食べながら感想会を開く事になった。はは、これは次のお昼休みがめっちゃ楽しみになってきたな!

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