第130話:祐奈と一緒にテレビを見ながら晩飯を食べていく

 その日の夕方時。


 今日もいつも通り俺は祐奈と一緒にテレビを見ながら晩飯を食っていた。ちなみに今見ているテレビ番組は祐奈が昨夜に録画していたアニメ番組だ。


 今クールから神域の騎士の三期目が始まったので、俺と祐奈は一緒にそれを見ながら晩飯を食っていた。


「……いや前にも思ったけどさ、最近のアニメってクオリティめっちゃ高いんだな。こんなにも綺麗な映像だとずっと見入っちゃうよなー」

「うんうん! 本当に凄く綺麗だよね! それにアニメの内容もすっごく面白いし、これはもう何回でも見返せちゃうよね!」

「はは、確かにそうだな。って、あ、そうだ。そういえば祐奈ってテレビ番組はアニメ以外にも何か見たりするのか?」

「うん、もちろん他にも色々と山見てるよ! えっとね、アニメ以外だとねー……あっ! 最近はお笑い芸人さんがいっぱい出てくるテレビ番組を沢山見てるよ!」

「へぇ、なるほど、バラエティー番組を沢山見てるって事か。それじゃあ祐奈の最近の一押しの面白い芸人さんとかいたりするか?」

「うん、いるよいるよー! えぇっと、最近だとねー……」


 という感じで今日も俺は祐奈と一緒に楽しく他愛無い話をしながらどんどんと交流を深めていっていた。


(はは、流石にもう祐奈に怖がられる事はなくなったよなー)


 俺が転生をしたばかりの頃はビクビクと怯えまくっていた祐奈だったけど、今ではとても朗らかな笑みを浮かべながら俺と毎日喋ってくれるようになっていた。


 そして不良だった見た目を完全に真面目な好青年スタイルに戻していってからは、祐奈はより一層俺の事を慕ってきてくれるようになっていった。ここまで慕ってくれるようになって本当に嬉しいよ。


(でもいつか祐奈も俺と同じようにグレて不良にでもなったらどうしよう……)


 俺は今の祐奈の姿を見て急にそんな事を不安に思っていった。もちろん今はまだ大丈夫だけど、でもいつか祐奈が反抗期になってグレたりでもしたら滅茶苦茶にショックを受ける自信しかないよ……。


 しかも祐奈と血の繋がった母親も兄貴もどっちもヤンチャな事をしていた経験があるわけだしさ。こうなってくると妹の祐奈もヤンチャな事に手を出す素質は十分にあるって事だよなぁ……。


(いや、祐奈が誤ってそっちの道を目指してしまわないように……俺と綾子で全力で見守っていく事にしよう!)


 まぁ祐奈はしっかりしてるから大丈夫だとは思うけど、それでもちゃんと俺達家族でしっかりと祐奈の事を見守り続けていく事にしようと思った。


 そしてそのためにも、祐奈とはこれからも毎日色々な話をしてしっかりと交流を深めていこうと思っていった。


「……っていう芸人さんが今は一押しだよ! 最近はテレビによく出てるし、それにネットだとウーチューブで漫才動画とかトーク動画とかを沢山投稿しててすっごく面白いんだー!」

「へぇ、確かにその芸人さんって最近よく名前を聞くようになったよな。でもウーチューブにネタとかトーク動画を沢山投稿しているのは全然知らなかったよ。なるほど、それはちょっと気になるなー」

「うんうん! この芸人さん達の動画って凄く面白いからお兄ちゃんも良かったら見てみてよー! すっごくオススメだから!」

「はは、そっかそっか。わかったよ。それじゃあ後でその芸人さんのウーチューブを見てみるからさ、その時に祐奈のオススメの動画とか沢山紹介してくれよ」

「うん、もちろん良いよ! あ、それじゃあ後で一緒に見ようよー!」

「あぁ、わかったよ。それじゃあ飯を食い終わったら後で一緒に見ような」

「うん!」


 という事で晩飯を食い終わった後は、祐奈と一緒にオススメの芸人さんの動画を見ていく事になった。


「それにしても祐奈って思ってた以上に色々なテレビ番組を見ているんだなぁ。あ、そうだ。それじゃあさ、祐奈は好きな芸能人とかって誰かいたりするか?」

「え? 芸能人? それってテレビの人って事?」

「あぁ、そうそう。例えば芸人さんとか俳優さんとかアイドルとか声優さんとか、まぁそういうテレビに出てる人の事だよ」


 俺は話のネタとして何となくそんな事を祐奈に尋ねていってみた。すると祐奈は腕を組みながら大きく悩みだしていった。


「うーん、テレビ番組は沢山見てるから好きな人も沢山いるんだけど……でも一番好きなテレビの人っていうのは全然考えた事がなかったよ。そういうお兄ちゃんは誰か好きなテレビの人とかいるの?」

「えっ? 俺? あー、いや実は俺って今まであんまりテレビを見てなかったからさ……だから最近のテレビの人ってあんまり知らないんだよなー……」


 本当は好きな芸能人くらい普通にいるんだけど、でも俺はそれを祐奈に答えずにちょっとだけはぐらかしていった。だってさ……。


(まぁ一応……俺は転生してきた側の人間だしなぁ……)


 だから俺が元の世界の好きな芸能人を答えたとしても、もしかしたらこっちの世界にはそんな芸能人はいないっていう可能性もある。それで知らない芸能人を答えて祐奈に怪訝な顔をされても困るので俺はそう言って誤魔化す事にした。


 まぁ正直今までの傾向からして元の世界観と全く同じ世界だと思っているからそんな心配なんてしなくても良いとは思うんだけど……まぁでも『念には念を入れよ』って諺もあるしさ。


 という事で俺が居た元の世界にも神域の騎士や浅見紅などは存在してたけど、それでもその諺を信じて俺は細心の注意を払っていこうと思う。


「そうなんだ? あ、でもそうだよね。お兄ちゃんって今までずっとバイトとかで毎日忙しくてテレビなんて見る暇も無かったんだよね……」

「えっ!? あ、あぁ、そうなんだよ。俺はバイトばっかりで毎日忙しくてテレビなんて全然見れなかったんだよな。あ、あはは……」

「うん、そうだよね、本当に今まで毎日バイトお疲れさまでした! あ、それじゃあさ、お兄ちゃんはどんな感じの人が好きとかあったりするの? やっぱり面白い人? それとも綺麗な人? それとも可愛い人かな?」

「え? どんな感じの人? うーん、まぁそりゃあ……はは、やっぱり祐奈みたいにいつも素敵な笑顔を見してくれような人が一番好きだな!」

「え、本当にっ!? あはは、嬉しいな! うん、私もお兄ちゃんの事が大好きだよー!」

「はは、祐奈にそう言って貰えると俺も嬉しいよ。ありがとな。それじゃあこれからも俺に素敵な笑顔を見してくれよな?」

「うん! もちろんだよー!」


 祐奈は嬉しそうな顔をしながらそう言ってきてくれた。そしてそれからすぐに祐奈は続けてこんな事を尋ねてきた。


「あ、でもさ、笑顔が素敵な人が好きって事は……それじゃあお兄ちゃんはお姉ちゃんの事も好きなのかな? だってお姉ちゃんって会うといつもすっごく笑ってくれるよね?」

「え? お姉ちゃんって……あぁ、もしかして幸村の事か? はは、そうだな。もちろんお姉ちゃんの事も大好きだぞ。だってお姉ちゃんも祐奈と同じで素敵で優しい笑顔をいつも見してくれるからな」

「そうなんだ! やっぱりお兄ちゃんもお姉ちゃんの事が好きなんだね! 私もお姉ちゃんの事大好きだよ! いつも優しくてゲームも上手くて勉強も教えてくれて……本当に私のお姉ちゃんって感じがしてすっごく大好きなんだ!」


 俺がそう言うと祐奈も嬉しそうに笑いながら幸村の事が大好きだと言ってきた。


「はは、そっかそっか。それはきっと幸村も凄く嬉しいと思うだろうなー。だって実はさ……幸村も祐奈の事がすっごく大好きなんだぜ?」

「えっ!? 本当に? お姉ちゃんも私の事を好きだって思ってくれてるの?」

「あぁ、もちろん本当だよ。幸村はいつも祐奈と遊ぶのが大好きだって言ってるからな。だからまた早く祐奈と遊びに家にお邪魔したいって言ってたぞ」

「そ、そうなんだ! ふふ、それは嬉しいなー! うん、私もお姉ちゃんと一緒に遊ぶのが大好きだから早くまたお姉ちゃんに会いたいよー!」

「はは、そっか。まぁ前にも言ったけど、来週になったらまたお姉ちゃんは遊びに来てくれるって言ってたからさ、だからそれまで楽しみにしてなよ?」

「うん、わかったよ! 来週が楽しみだなー!」


 という事で来週になったら幸村が遊びに来てくれる事を伝えていくと、祐奈はとても喜んだ表情になりながらそう返事を返してきた。

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