第2話:昼休みに屋上で休みながら今後について考えていく
その日のお昼休み。
「ふぁああ……」
俺は屋上で寝転びながらコンビニで買ってきた菓子パンをモグモグと一人で食べていた。
クズマの記憶の断片を辿ってみると、どうやらこの学校の屋上は立ち入り禁止となっているようだ。
だからこの屋上には基本的には生徒も先生も誰も来ないので、クズマだった頃は授業をサボったりする時にこの屋上を結構な頻度で利用していたらしい。
「んー意外とこのクズマだった頃の記憶が役にたってるな」
というかこの記憶が無かったら普通に生活出来てなかった可能性まである。転生してもこのクズマだった頃の記憶だけは残しといてくれて本当に助かった。
「それにしても……これからどうするかなぁ……」
俺は菓子パンをモグモグと食べながら今後についてどうするかを考え始めていった。この世界がエロゲの世界だというのはもう受け入れているので、あとは穏便な日常生活を手に入れる事だけを考えていきたい。
「穏便な日常を手に入れるためには……まぁ主人公とヒロインにはなるべく近づかない方が良いよな」
主人公である坂上弘樹は俺とは別のクラスなので、おそらく普通に生活している分には極力関わらないで生活する事は可能だ。でも問題はヒロインの幸村紗枝の方だな……。
「うーん、だってヒロインの幸村とは同じクラスだからなぁ……」
幸村とはクラスメイトかつ席が滅茶苦茶近いんがだから関わりを持つなという方が難しいだろ。だって俺がこれから真面目に毎日学校に行くとなると、俺の目の前にはいつも必ず幸村が座っているという事になるんだからさ。
「でもクズマのせいで主人公もヒロインも不幸な人生を送るハメになっちまうからなぁ……」
俺はそう言いながらゲーム本編での幸村の可哀そうなシーンをいくつも思い出していった。そしてその一例としては以下のようなNTRルートがあった。
①幸村はクズマに目を付けられて空き教室で無理矢理犯されてしまい、そしてその犯されている様子を動画に撮られてしまった。
②クズマはその動画を使って幸村を脅し、自分のやりたい時にいつでもどこでも犯させるように命じていく。
③幸村は最初は嫌々ながらもクズマの脅しに応じて身体を差し出していったのだが、次第にクズマにどんどんと調教されてしまい、いつのまにか快楽に屈するようになってしまった。
④快楽堕ちしてからは毎日のようにクズマの中出しを受け入れるようになり、その結果として学生の内にクズマの子供を孕んでしまう。幸村は品行方正で真面目だった分、主人公や両親からのショックは計り知れないものだった。
⑤主人公は幼馴染がクズマの子供を妊娠した事を知って精神が破壊されてしまう。そして幸村の両親は当然のように激怒して幸村との縁を切る事となり、幸村は通っていた高校も退学を余儀なくされてしまう。
⑥でも幸村には最愛のクズマがいるから全てを失っても大丈夫だと楽観的にいたんだけど……でもクズマはすぐに新しい女を作って幸村の傍から突然離れてしまう事になる。もちろんクズマは子供の認知も教育費も何もせずに突然と幸村の傍から消えてしまう。
⑦そしてクズマに捨てられた幸村は生活費と子供の養育費を稼ぐためにソープランドで毎日フル出勤をして必死にお金を稼いでいく事になる。
⑧一方その頃、精神が破壊された主人公がようやく落ち着きを取り戻す。そして好きだった幼馴染を寝取られてしまったというショックな出来事から立ち直るためにも、まずは童貞を卒業しようと考えてソープランドに行ってみる事にした。
⑨そして童貞卒業のためにソープランドにフリーで訪れてみると、そこには数年振りに再開したやつれた姿のヒロインがソープ嬢となって主人公の童貞を卒業させてあげる……という所で最後にもう一度主人公の脳が破壊されて無事にエンディング。
というような感じの主人公とプレイヤーの脳を二度も破壊してくる末恐ろしいルートがあった。
ちなみに『どんなに頑張っても最愛の幼馴染がクラスのヤンキーに寝取られてしまう件について……』のエンディングは4種類あり、今語ったこのエンディングはまだ優しい部類のエンディングだった。つまりこれよりももっと酷いエンディングが3種類もあるのだけど……まぁ気分が悪くなるだろうからこれ以上は語るまい。
まぁでも確実に一つ言える事があるとすればクズマのせいで主人公とヒロインは破滅への道を辿るという事だ。でもそんな道を俺も辿ってしまうわけにはいかない。何故なら俺はハッピーエンド以外は許せないからだ。
「……ま、でも普通に真面目な生活さえしていればそんな鬼畜ルートを辿るわけないよな。ってかリアルでそんな事やったら警察案件だしさ」
俺は菓子パンを食いながらそんな事を思い始めた。あれはフィクションの世界だから何でもアリな感じだったけど、でも現実世界でそんな事をやったら確実に捕まるからな。
まぁそんなわけで俺は絶対に主人公とヒロインを破滅の道に進ませないためにも、俺は真面目な人間へと生まれ変わる事を改めて決意していった。
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