第45話 来店客は突然に
コンビニ内部は所々、床の破損やガラスの散乱が見受けられ、棚に積まれていた商品も無残に崩落していた。
既に多くの人々により物色された後らしく、品揃えはそれほど良くはない。特に生鮮食品は真っ先に消費されたようで、腐乱臭が発生していないことは不幸中の幸いであった。
奥にある飲料コーナには、まだ缶やペットボトルが若干残っているのが見える。冷凍設備は切れているようだが、常温でも保存が利くので問題はない。さすがに総菜パンはもう怪しいが、スナック菓子なんかはまだ大丈夫だろう。
カップラーメンやスープ類なども残っていたが、お湯が必要になるので人気はないようだ。特に激辛系のラーメンはほとんど手が付けられていなかった。
取りあえず、飲み物や菓子類をいくつか拝借して、俺たちはレジカウンターの裏に転がり込んだ。ここなら外部からは目に付かないし、バックヤードと違って何者かが入って来ても対応がしやすい。
一旦、そこで
「ふぅ、なかなか疲れますわね。今まで以上にスキルの出力が上がっている気がします。兄様は平気なのですか?」
常温となったペットボトルのお茶に口を付けながら、沙那が感嘆の声を漏らす。そう言われてみれば、俺自身はあまり消費した実感がない。
『
『そうね、思った以上に兄さんはタフ……いえ、これも
どうやら、
「ますますパーティの重要性が高まったな。まずは7人の枠全てを埋めた方が良くないか」
「そうですわね。取りあえず、スキルの選択よりも人数を優先すべきやも知れません」
首尾よく
俺たちがそんなことを話している間、ハヤちゃんは黙ってちょこんと座りながら、家から持ち込んだペットボトルの水を飲んでいた。
きっとここまで歩いて来て疲れたのだろう。俺は先ほど調達したスナック菓子の袋を取り出すと、中身を空けてハヤちゃんに差し出した。
「あ、ありがとう、お兄ちゃん!」
嬉しそうな表情でお菓子をほおばるハヤちゃん。こうして見ると本当に歳相応の子どもみたいで、とても強大なスキルを持つ神様には見えない。
そういえば、ハヤちゃんのスキルは消費が激しいと恵理香は言っていた。実際のところ、俺にはどの程度まで行使が可能なのだろう。このままスキル持久力の向上が見込めれば、いつかは使いこなせるようになるのだろうか。
この先、その力が必要になる時が来るかも知れない。今はそれに備えて、少しでも出来ることを積み上げていくしかないだろう。
しかし、運命とは必ずしも優しくない。
ガシャーンッ!!
不意に、玄関の方から破壊音が響く。それは招かれざる客の入店を告げるチャイムであった。
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