幕間 八岐大蛇(結)
正面からは
その気になれば首も落とせるが、すぐに再生されてしまう。なまじ負傷させたままにした方が、動きも鈍くなってマシなくらいだ。しかし、持久戦に持ち込まれると不利なのは人間の方である。
武見はチラと残る二人の隊員、【
「よし、仕掛けるぞ。まずはやつを押し倒せ!」
武見の号令のもと、仲田がここ一番の馬鹿力で
そして、その巨体が僅かによろけて8つの首が垂れた瞬間、おびただしい規模の土砂と樹木が怪物を覆い尽くした。
かつて、スサノオが
鳥見のスキルは【
なお、本業は路線バスの乗務員である鳥見は、土木工事や陣地構築といった専門知識は持ち合わせていない。今回の作戦にあたり、入念な研究と打ち合わせが行われたことは言うまでもないだろう。
そして、横田の【
ともに山中の地の利を活かしたトラップ使いのコンビにより、
しかし、まだ決着が着いたわけではない。いつまでも拘束できるものではないし、場合によっては身体の一部を自切して抜け出してくることもあり得る。
武見の脳裏には、作戦命令を受けたときの陸上幕僚長の言葉が思い返されていた。
なぜ、そのような情報を上層部が得ていたのかは分からない。もしそれを事前に知っていたならば、中部方面隊の攻勢で討伐できていたかも知れない。
それとも、先の作戦によって判明したのか。しかし、討伐作戦は失敗に終わり、何ら確証が得られるものではなかったはずだ。
或いは、外部からもたらされた情報なのでは。いまや政財官学が連携してこの未曾有の事態に当たっている。例の
「隊長、準備は出来ていますぜ」
気が付くと、炉主から無反動砲を差し出されていた。それも二門だ。仲田、琴司も同様である。
8つの頭を同時に攻撃するには手が8本いる。しかし、民間人協力者の彼らに兵器を使わせるわけにはいかない。
「まぁ、2つ同時はちぃと骨が折れますが、至近距離からなら外さんでしょう」
食えない人だと武見は思った。防衛大卒ではないから幹部自衛官にはなれないが、現場経験は誰よりも豊富である。
「よし、俺の合図で全員同時に仕掛けるぞ。いいか、絶対に外すなよ、絶対だからなっ!」
そして、彼らは入念に照準を確認、固定した後、その引き金を引いた。
かくして、
以降、武見の部隊は『
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます