幕間 八岐大蛇(転)
「ひゅー、おっかないねえ。そろそろ俺たちも行きましょっか」
武見・仲田の隊長、副隊長コンビが
年齢は二人とさほど変わらないが、隊服の階級章は2等陸曹、高等工科学校卒の叩き上げである。
「弾着、今! っと」
けたたましい爆音を立て、怪物の背後で多目的榴弾が炸裂する。しばらくして爆煙が晴れると、8つの首のうちの1つの付け根が大きく抉れて流血していた。
それを確認して、
しかし、
【
ただし、そこを通れるものは無生物のみ、大きさも限られる。また、あらかじめ空間を繋ぐ先に
荷物の持ち運びに便利なスキルであるが、炉主の自衛官としての身分が加わることでその効力は驚異的となる。実際、この隊が大隊扱いであることには彼の存在が大きく影響したと言われている。
炉主はその後、三度に渡って砲撃を続けた。それは確実に目標にヒットするのだが、首を吹き飛ばすまでにはいたらない。そして、気付けばその傷もいつの間にか塞がっていた。
「まっ、戦車砲やロケット弾で仕留めきれないんだから当然ですよね」
横から【
「そういうことで、そろそろご助力を願えますかな?」
年下の上官に対しても炉主の態度は変わらない。別に反骨心があるわけではなく、組織に所属した時点でそういうものだと割り切っている。ただ媚は売らず、規律も乱さない程度に収めるのが彼の流儀だ。
もっとも、この部隊においては階級による堅苦しさはない。隊長の武見は別としても、その他の隊員とはざっくばらんに話している。特に半数が民間人協力者であるから、そのような気遣いもまた必要なのだ。
「もうセットしていますよ。そのまま撃ってください」
言われたとおりに無反動砲を発射すると、今度は弾着時に劇的な変化があった。爆発はするが、煙は出ない……いや、冷気のようなものが見える。
怪物の首の付け根が凍っていた。それも先ほどのように抉れたまま、今度は流血ごと冷凍保存されたかのように白く固まっている。
例えば、多目的榴弾は火の系統になるので氷が付与される。ここで肝心なのは付与であって、元の属性はそのまま残る。つまりは爆発と氷結が同時に行われることになる。
「早く
急かす琴司に肩を竦めるような仕草で炉主は弾薬を取り出す。そして、砲弾は次々に目標を氷漬けにしていった。
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