第17話 大八洲の喚び声
『な、なんだってーっ!?』
親父がこの事態を予見していた……恵理香のとんでもない告白に、俺は
しかし、よくよく考えてみると、俺を
あのときは会わせたい人がいると言っていたが、それは再婚相手ではなくハヤちゃんだったのかも知れない。
そういえば、ハヤちゃんはどこに行ったのだろう。てっきりトイレにでも行ったのかと思ったが、先ほどから戻ってくる様子がない。
俺は
しかし、これでは移動する時に見づらいなと思ったら、たちまち透明度が変化して透過するようになった。どうやら意思に応じてコンフィグの調整が可能らしい。
そういえば、先ほどからFamily Listを表示させているが、名前が白くはっきりと記載されている恵理香に対して、親父と母さんは文字が灰色がかっている。
少し嫌な予感がしたが、確認しない訳にもいくまい。俺は思い切って恵理香に母さんの様子を聞いてみた。
『ええ、お母さんなら平気よ。昨日から政府要人との会合が続いていたから、今はちょっと仮眠してるわ』
どうやら、灰色は睡眠などにより通信が出来ない状態らしい。親父もまたそうであるのだろうと、俺は少しだけ安堵の息を吐いた。
『ところで、さっき言ってた親父の仮説って何なんだ?』
話が途中になってしまったが、親父は今回の事態を予見し、
『
古事記では、本州、四国、九州、淡路島、
『ええ、まさに今の状況にそっくりだと思わないかしら? 世界の範囲がそこまでに限定されてしまったのよ』
恵理香の予期せぬ発言に俺はまたも面食らってしまう。本州から九州までの周辺海域が霧に覆われているのは、他国の核兵器による影響だと報道されていたはずではなかったか。
『それは政府によるカモフラージュよ。実際には放射性物質は検出されていないわ。そもそも、そんな大規模な核爆発が起きていたら、今頃私たちだってただでは済まないわよ』
確かに、そこは俺も疑問に思っていた。空と海を覆うほどの核の灰が撒き散らされていたら、電子機器も異常をきたして使用できないだろう。短期的な健康被害だって相当なものになると思う。
『北海道や沖縄に向けて、大小問わず多くの船舶が出港したけど、いずれも霧の先に消えたままよ。連絡も取れないし、帰ってくることもない。ハワイ諸島を目指した在日米軍の戦闘機や輸送機も同様ね』
まるで時空乱流……もとい、神隠しにあったようである。恵理香の言うように、本当に古代日本へ回帰したのであれば、いったい彼らはどこに行ってしまったのだろう。
『そして、次に起こったのが――九州の宮崎県と鹿児島県の県境にある
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