第13話 Family Party Army
【Group List】
Family
Party
Army
目の前に長方形の
イメージとしては、よくロールプレイングゲームに用いられるコマンド欄のようなもので、黒枠に白抜きで表示されていた。一番上の括弧付きのものがタイトルで、下の三つが内容だろうか。
Group List――グループリスト、一覧かな。Familyは家族、Partyは集団、Armyは軍隊とでもいったところか。
ますますゲームのようである。しかし、他のスキルがどのようなものか分からないので、これが一般的なのかどうかも分からない。
試しに隣に座るハヤちゃんに聞いてみたが、んーんと言って首を振られてしまった。その仕草も可愛い……じゃなくて、どうやら俺にしか見えていないらしい。
スキルの使い方については、自然と頭の中にイメージが流れ込んでくるため、それに合わせた思考や行動を取れば良いと聞いている。
このコマンド形式がスキル使用の準備段階なのか、それともこの時点で既にスキルが発動しているのかは不明だが、いずれにせよリストから選択する必要があるのだろう。
俺はリストにあるFamilyの項目を選択しようとして手を伸ばす。しかし、その指先が文字枠に触れた感触はなく、そのまま透過してしまった。
どうやら実体があるわけではないらしい。しかし、これではどうやって選択するのだろう。そう思ってじっとFamilyを眺めていると、やがて一瞬だけ点滅した後、新たな文字枠に切り替わった。
【Family List】
上から親父、母さん、妹の名前がそこに並んでいた。どうやらハヤちゃんの名前はないようで、やはり公式には家族と認められていないのだろう。
そこに一抹の寂しさを感じるが、そもそもこの情報はどこから参照されているのか。さすがに戸籍謄本と連動しているとは考えにくいので、俺の認識する情報がベースとなっているのかも知れない。
リストをもう一度見直すと、名前の文字の色に濃淡があることに気が付いた。親父と母さんはやや光彩が落ちた灰色で、妹の方は白く輝いているようにも見える。
その違いに若干の胸騒ぎを感じながらも、俺は妹である『
トゥルルルルル トゥルルルルル
その瞬間、耳の奥で聞きなれた音が響く。まさしく電話のコール音のようなそれは、しばらくして別の小さな音を立てて止まった。
プツッ
感覚としては電話を掛けて、それに相手が出たようなものだ。俺は恐る恐るいつもの言葉を口に出す。
「も、もしも……」
『兄さん、兄さんなのっ!?』
言い終わる前に相手の……恵理香の悲痛な叫び声が俺の頭の中に響き渡った。
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