あなたがいなくなるなら

ここね

第1話

 いつか終わるとわかっている、いつか終わる予定である。そんなのみんなわかっている。

 今日が始まっても24時間後に終わる。小学校も6年経てば卒業する。電車には終電がある。この店もいつかは閉店する。LED電球も切れる。人の心臓も止まる。全部全部わかってるのに、あともう少しだけここに在ってくれないかと願ってしまうものだ。

 終わるときを知っているもの、そしていつ終わるか知らないもの。ときにそれは残酷でもあればありがたくも感じられる。今日一日も小学校生活もいつ終わるか知っている。24時間はたまた6年間のタイムリミットを知って行動するのだ。1分1秒計ることができるし、運動会には6回出られる。一方でLED電球や人間の心臓はいつ終わりを迎えるのかわからない。今やどちらも長寿命らしいが突然の事故や災害で終わってしまうこともある。そのときが一番光っていたとしても。

 私はそんなのどうでもいいかもしれない。どれが幸せかもわからない。私のわがままが叶えと願うだけだろう。例えば明日、私が何者かに襲われて命を落とそうが、病院に行って余命3ヶ月と言われようが、私はこの世を去る瞬間、愛する人が隣にいてほしい。願わくば手を繋いでいたい。それだけ。それならなんだっていい。まあどちらかといえば後者の方が良いかもしれない。愛する人に隣にいてほしいと伝える時間があるから。まあそんくらい。そんくらいなんだよ。最後に何か言えるなら?もっと一緒に居たかった。

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