第21話・チーム「キャラクター」結成
「それでは新チーム結成の記念すべき第1回会議を始めます」
「いぇーい!」
土曜日の昼下がり。
ガンマの司会の下でチーム会議が始まった。
今回は話し合いだけのため、ダンストのプレイルームではなく会議室を利用している。
勿論各自配信は行っており、ガンマとフィー、シグマは配信画面に映っていた。
田中太郎:シグマとチーム組むってマジ?
るーるす:フィーちゃんもおるやん!
コメント
最近馬鹿なことばかりしていたせいで同接数が減少傾向にあったが、今日は趣旨が違うせいか盛り上がっていた。
「リスナーの方に説明すると、
「面子はシグマさんがリーダーで、ガンマ様とアタシ。それからこの方シータさんです! 皆さん拍手ー」
「ふぁ!? シータです。み、みなさん宜しくお願いしますぅ」
自信が無さそうに人見がカメラが向く方に移動する。
彼女が登場するなり一斉に『888888』のコメントが巻き上がったが、中には内容に踏み込んだものもいくつか。
Lilian:グラサンのインパクトすげぇ。しかしそれ以上に
ダンダン:でっ……!!
赤紫:何がとは言わんがでけぇ!!
D:てかハーレムパーティやんけ!
人見が身バレ防止のために装着したサングラスよりもやはり胸のことを突っ込まれていた。
(まあそうなるよな。俺も思うし)
彼女のコンプレックスには敢えて触れまいと言わんばかりに、ガンマは話を進めることにした。
今の彼女はシータ。決して人見ではないのだから。
「はい、シータさんこれから宜しくお願いします! それじゃあまずはチーム内の役割でしょうか」
「いや、もっと大事なことがありますよ!」
フィーが拳を固めながら言う。
彼女の意図を理解しているのか、シグマも黙って
「なんかあったっけ?」
「チーム名ですよチーム名! 一番大切なところですよ」
「そんなに?」
「分かってないわねアンタ。大会ではチーム名で呼ばれるのよ。重要も重要よ!」
(あ……)
言われてみればその通りである。
変な名前にして周囲に反感を買うようなことになれば、品位のみならずリスナー数の低下にも繋がりかねない。
「そうですね。俺の理解が足りてませんでした」
「分かれば良いのよ。
レリア:おっけー
「では、意見がある人居ますか?」
「はいはーい!!」
スタートテープが切られた瞬間、フィーが勢い良く手を挙げた。
「却下」
「まだ何も言ってませんがぁ!!」
「言わなくとも分かる。どうせ『ガンマ様と
「違いますよ! 『ガンマ様とフィーの花園』です!」
「もっとひでぇじゃねーか!」
三六協約:えぇ……
田中太郎:流石にドン引き
「どうしてですかぁ! 良いじゃあないですかー!」
「はい次行くわよ」
「そうですねー」
「ええ? シータさんまでー」
仕切りなおして次の意見を
すると、今度はシグマが口を開いた。
「面子が美少女とチーターとガキとおっぱいでしょ。『
「センスが終わってる」
「これはゴミですねぇ」
「くたばってください」
彼女が出した意見はすぐさま全員に突っぱねられる。
人見までもが秒で回答していた。
よほど胸に触れられるのが嫌なようだった。
ペンパ:言っていいことと悪いことはあるよな
ソプロン:ある意味シグマっぽいっちゃシグマっぽいが
「大体俺のはチートじゃないですし」
「似たようなもんでしょ」
「アタシも子供じゃないですよ!」
「眼科紹介するから行ってきなさい」
「地獄に落ちてください」
「ごめん。言葉が過ぎたわ」
人見の迫力に負け、幼女は珍しく素直に頭を下げた。
人見に胸の話は厳禁だと、ガンマはひっそりと胸に刻んだ。
ソプロン:でも特徴から決めるのはあり
ランラン:共通点は?
「共通点か。良いですね」
るーるす:ダンスト以外無さそう
「『ダンスト以外無さそう』って確かにね」
「ストリーマーは――シータさんが当てはまりませんか」
「全員の好きなものでも抜き出してみましょうか?」
人見の提案でホワイトボードに各自の好きなものや食べ物を書き出していく。
しかし見事に全員がバラバラ。
1つのカテゴリで区切るのは難しそうだった。
sushi食べたい:もう名前の頭文字から取ったら?
不燃物:フガシシ
ペジ:フシガシ
少年マン:シフィガシ
この木なんの木:シが被ってるのが絶妙に難しいな
リスナーの方も
まさかチーム名だけでここまで頭を悩ますことになるとは誰もが思っていなかっただろう。
(さてどうしたんもんか)
「あの」
恐る恐る人見が手を上げる。
「はい、シータさん!」
「何でフィーが答えるのよ。で、何?」
「ありました。私達の共通点」
ペンパ:マジか!?
コメントに流されず人見もといシータが続ける。
「意図してかは分かりませんが、名前が全員ギリシャ文字です」
(あ、確かに)
確かに全員ギリシャ文字である。
「へぇ、面白い共通点ね。シグマの由来は関係ないけど」
「アタシはガンマ様と繋がりのある感じが良かったので、そこから取りました」
「私は好きな本の登場人物から貰いました」
「俺は本名だしなぁ」
「「「ええ!?」」」
何気なく放った言葉に全員が反応する。
リスナーも驚いているのか、コメントが流れるスピードが上がっていた。
「え? そんなに驚くところです?」
「だってそれってキラキラネームって奴じゃない! 始めて見たわ」
「人を
「まさか本名だったなんて……。名前呼びしているアタシは既に恋人関係と言っても過言ではないのでは?」
「過言だバカ」
「コホン。脱線しましたね。そろそろ決めましょうか」
レリア:チームギリシャ
ランラン:ギリシャ自体は関係ないんよなー。文字で何か?
ソプロン:困った時のドイツ語、英語、ラテン語
「英語なら『レター』、または『キャラクター』とかでしょうか?」
と、フィー。
「『キャラクター』は悪くないわね。個性的な面子が揃ってる感じがして良いわ」
「賛成です。単純ながら綺麗な感じがします」
「ですです。繋がりもありますし」
「よしっ、じゃあこれから俺達はチーム『キャラクター』ってことで」
小さな歓声を聞きながら、ガンマはホワイトボードにキャラクターの文字を書き込んだ。
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