第13話・新たな挑戦
今日の配信はいつもと違った。
チャンネルフォロワー数が増えたことではない。
それも大事なことだが、
「皆さん初めまして、フィーと言います。これから宜しくお願いします」
ペンシルライト:よろしく〜
ルルン:知ってるよー
はぎ:いぇーい!
ぺこりと軽快に頭を下げる少女を見ながら微笑む。
そう。
フィーを表舞台に呼んだのだ。
全ては中級者ダンジョンに挑むために。
ダンストは、中級者以上のダンジョン攻略は複数人のパーティーを組むことを
初心者ダンジョン、初級者ダンジョンばかり攻略してきたガンマが変わるための一歩としては、決して悪い手ではないだろう。
第一彼女はビジュアルが素晴らしい。
プラス方向だけに注目すれば良いことずくめだろう。
「はい、俺からも宜しくお願いします。フィーはダンスト自体は初心者だから、今日は動きに慣れるところからいこうか」
「了解です!」
ビシッと敬礼のようなポーズを取る少女。
キャラ付けとまではいかないだろうが、面白さを提供する姿勢は視聴者にとって嬉しいものだ。
オーン:ガンマさんとフィーさんは付き合ってるんですか?
「ぬぅあ!?」
いきなり明後日からの方向から爆撃が飛んでくる。
しかし、こういう突拍子の無い質問が飛んでくるのは事前の予測通りだ。
「いえ、ただの友達です」
フィーは表向きは強く
が、事実なので抵抗されても困るというものだ。
「それじゃあそろそろやっていきましょうか」
「
「いや、今日は初級者ダンジョンにしておこう。フィーは知識なら俺以上だし、完全に初心者というレベルでは無いと思う」
「分かりました! ガンマ様のプレイで
「おま――君練習してたっけ?」
(いかんいかん。こいつ話しているとどうにも素が出てしまう)
プロス:フィーちゃんの
ロリコン根絶委員会会長:変な妄想やめ、いや、やめなくて良いぞ
豚:なんだお前ら同志か?
コメント欄を見るかぎり一定数変態も沸いているようだ。
フィーも変態の部類なので類は類を呼ぶという奴だろう。
「
「よし分かった。今日は普通にやろうか」
「なんでっ!?」
三六協約:急にコント始めるな
ベンジャミン:良いだろ。俺は好きだぞ
三六協約:実は俺も好き......///
田中太郎:素直でよろしい
やはりチャンネルフォロワー数も多いと視聴者も多くなる。
そして、視聴者が多いとコメントも必然的に多くなる。
画面の向こうからの反応が多数であれば、こちらもレスポンスとして多種多様な想いを返せるので嬉しい限りだ。
「んじゃ始めていこうか。まずは自分のペースでやってみてくれ?」
「はい!」
小気味良い返事と共に、フィーがシステムを操作しダンジョンを生成する。
作られたダンジョンはヘドロと汚水で構成された下水道ステージだった。
「これはまた。良い引きしてるな」
「最悪です……」
「どうする? 嫌なら作り直すか?」
「いえ、いつかは通る道です! やってみます!」
るーるす:その意気その意気
豚:ベトベトになったフィーちゃんはよ
オーン:お前とは良い酒が飲めそうだ
「人の不幸を望むのは感心しませんね。見せてやります! アタシの有能さを!」
ロリコン根絶委員会会長:期待せずに待ってます!
「そこは期待しなさいな!!」
やはり彼女を採用して正解だった。
視聴者と上手く
これならシグマが放ったマンネリという課題も解決に向かうことだろう。
が、どうやらそれは甘かったらしい。
実際にダンジョン攻略をやってみたところ、彼の考えは
「何で普通に走ってるだけでドブに落ちんの!?」
「それ敵だから! 仲間じゃないからぁ! 手
「何故軽く振っただけで武器が飛ぶ……」
何と言うか、フィーという女は
現実ではそうでもないように思えたものの、ゲームとなればまた話が違うらしい。
「あははは、全然ダメでした。お見苦しいところをお見せしました」
ゲームオーバーの表示の前で、
「まあ、最初はこんなもんじゃないか」
プロス:そうだよ。初心者は誰だってこんなもん
豚:フィーちゃんのペースで頑張れば良いよ!
ロリコン根絶委員会会長:俺達はフィーちゃんだけの味方だよ!!
(だけ?)
既に彼女にも固定ファンが居るようで安心したのも
このままではいけないという念も
(すぐ中級者ダンジョンに行けると思ったが、このままだと難しいな)
彼女はまだ高校生である。
休職中で時間に余裕があるガンマとは違って、平日の昼間は学業に時間を取られてしまう。
と、来れば当然練習時間も減るわけで。
(厳しいかも)
ガンマは悔しそうな表情をする赤髪の少女を見ながら、心の中で重い息を吐いた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます