第3球目 入部

体験入部期間が終わり、いよいよ入部希望届の提出日。


数日間悩み決断をして記入をした。


放課後。


「野球部の練習見に行こうぜ!」

野球仲間の相原から誘われた。


「ごめん」


「ん?」


「俺は卓球部に入ることにした」


「卓球部って何?」

相原は思わずよく分からない日本語を言っていた


「言葉のままの意味だよ。俺は野球部には入部しない。卓球をやることにしたんだ」


「本気で言ってるの?俺達今まで一緒に野球やってきたのに」

怒りながら言葉を詰まらせていた。


「だからごめんって言った。新しいことに挑戦したいんだ」


「卓球なんてやったこともないし、活躍してる部活でもないじゃん!野球部なら強豪で全国にだっていけるかもしれない!よく考えろよ!」


「よく考えたよ!でも俺は野球じゃないんだ!元々好きでやってた訳じゃないし、いつも誰かに流されてやっていた!自分の意思でやったことがなかった!でも初めて卓球は自分でやってみようと思った!だから‥」


「わかったよ!好きにすればいいじゃん!3年後に後悔しないようにな!」


ケンカ別れのようなかたちで去っていった。

申し訳ない気持ちと初めて自分の意見を言えた開放感のような気持ちが入り混じる。


帰り道、1人で河原にいると

「なんかケンカしてたけど大丈夫?」

幼馴染の哲人が声をかける


「俺は卓球部に入ることにした」


「おぉー!まじで!やったー!同じ小学校からは誰も居なかったから不安だったんだよね」


「あいつは俺が野球部に入ると思ってたからな。そりゃ怒るよな。でも俺は野球で自分が活躍できる想像ができなかった」


「卓球で一緒に活躍して見返そうよ」

少し微笑みながら哲人が言う


「そうだな。俺は絶対にレギュラーになる!!」

河原に向かって琢磨は大きく叫んだ。


「え、目標小さくない?」


「父さんに何て言おう‥」





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