第9話


 楽しげな声が聞こえてくる。

 今度は、いつの記憶?


 視界がはっきりしてくる。

 背が、低い。


 幼少期の記憶…なのかな。


 あ、そう言えば私、死にかけなんだっけ。だとすれば、これは走馬灯?


 飛行機雲を追いかけて走り出す自分が見える。あ、麦わら帽子をかぶっている。


 あの頃は、まだ雨女ではなかったはず。


 確かこの後、落雷に打たれてその後から雨が来るようになったんだっけ。


 その後、能天気なことに「雲と追いかけっこだ〜」なんて言っていた気がする。

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