第3話


「大丈夫?」


「ううん、大丈夫。」


 少し、この日の太陽は足取りがふらついていた。


 少し、ゆっくりな気もする。


 それに、どこか惚けることも多い。


 少し、気をつけなければならない。



 +*+*+*+



「夕日、綺麗だね。」


「あぁ、そうだな。」


 確かに、この夕日は綺麗だ。少し、眩しすぎる気もするが、真っ赤に染まっていた。


「あ、そろそろ時間だ。行くよ、太陽。」


 レストランを予約してある。

 遅刻するわけにも行かない。


「太陽?」


 反応がない。


「まさか、寝たんじゃないよね?」


 すると、少し腰を上げて、




 膝から、崩れ落ちた。




 太陽!




 これにならない、叫びをあげた。


  


 +*+*+*+




 00県00市 00区00町00-00

 笹 光留様。

 


 22歳になった、光留へ。



 光留が、夢を変えてなければ、留年していなければ、今。光留は、なりたい夢の第一歩に立ったと思います。


 私には、その姿は見れなかったけど。きっと、あなたなら、なれたはずです。


 もしかしたら、結婚とかしたのかな。


 見たかったな。光留の晴れ衣装。



 それじゃあ、さようなら。


 もう、忘れてもいいんだよ。


 私なんて。


 00県00市 00区00町00-00

 日野 太陽より

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る