第2話

学園長室で一悶着あったが無事入学式の会場に入った。そこで湊は気づいた。沢山の目線に。


「なぁ樹。」

「なんだ?」

「なんかすごく視線を感じるんだが、魔力とかは全く出ないように調整してるんだけどなぁ」


樹は「いや、魔力を全く漏らさないようにするとか、僕10分ももたないと思うんだけど、こういう所は相変わらずなやつだな。」と思った。


そこで樹はこの朴念仁に正解を教えてやる。


「ぶっちゃけた話、湊の容姿が整いすぎて、いや美形すぎて、いや美しすぎて(どれも同じ、言いたいことが分かればいい)見とれてるだけだと思うぜ。」

「え?あぁ、そういえば最後に唯華に会った時も、気をつけろって言われたなぁ。でも僕、唯華と結婚してるからそういうのは気をつけないとだよね、」

「そういや指輪は?なんでしてねぇの?」

「あぁ、あれは今不可視化してるんだ。ずっとはめてるけど、使徒のお仕事とかの時は外してるし、今は学生だからねぇ。結婚してる人の方が少なそうでしょ?」

「ま、まぁ確かに少ないだろうな。」


そんな話をしながら席に着いていると式が始まった。

学園長の話の時には僕に対して軽く会釈をしてくれていたので僕も会釈を返しておいた。そして次は新入生代表の挨拶だ。誰がするのかと気になって司会の話を聞いていると、、


「新入生代表、一条湊さん」


へー、一条湊くんかぁ、一条、湊、一条湊?!

隣では樹が笑っている。そして学園長の方を見るとそっぽを向いていた。そこで僕は悟る。


完全に嵌められたと、


だがしかし、無視することは出来ないので仕方なく返事をして壇上に上がる。僕は内心では余裕だった。まぁ、名前を呼ばれた当初はさすがに驚いたけど、こんな事でいちいち躓いていたらそもそも第一使徒なんてなれない。超級魔獣や神級魔獣の相手をしている事と比べればこんなもの朝飯前だ!


「新入生代表、一条湊です。本日は快晴の中この第一魔術学園に入学できたことを嬉しく思います。……………………。」


入学式が終わったあと、僕は完璧なスピーチだったと自負していた。妻が居なくて機嫌が悪かったのが嘘のようにこれからの学園生活への思いを寄せていた。



さぁ、この後はクラス分け試験だ。筆記と実技って学園長が言ってたけど、どれくらいの点数を取って、どのクラスに入るのがベストなのだろうか。僕が第一使徒だとバレるのは非常にまずい。というのもたまにはゆっくりしたいと言い、僕と唯華が学園に通うという案が出た時に正体をなるべく隠すというのと、自分専用武器の使用の制限が条件として出てきた。まぁ、後者は前者とほぼ同様の内容ではあるのだが。

『使徒会議』で話し合って可決されたため僕と唯華の学園生活が認められた。


ただこの時は思っていなかった。まさか夫婦別々の学園生活になるなんて、、。これなら使徒として仕事をこなす方がマシなのではと思ったのだった。




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