4夜目

4夜目-1 子どもなんかじゃない

僕はまた夢で「心のコンパ」へと足を踏み入れたのだった。

そして、驚いたことに、今回はみんながそろったのだった。

シンイチ 「あれ、みんな来てる。」

ホラン  「おひさ~!みんな、元気にしてた?」

ケイ   「俺は元気にしてたぜ!」

アカネ  「自分は何とかね~」

テオ   「僕も元気にしてたよ~」

ナズナ  「こんな奇跡あるもんだね・・・」

シンイチ 「じゃぁ、今日はみんなで話そうか?」

     「賛成~!」

スタッフ 「いらっしゃいませ。今回はどういたしますか?」

シンイチ 「みんなと話したいので空いている部屋ってありますか?」

スタッフ 「ありますよ。じゃぁ、あの正方形のマーク、見えますか?あの部屋にどうぞ。」

シンイチ 「え、番号じゃなくなったんですか?」

スタッフ 「えぇ、どの部屋か一発でわかるようにね。」

僕らはスタッフのいう正方形の部屋へ向かった。

本当に誰もいない。がら空きの部屋は初めて見た。案外広いんだな・・・

ホラン  「そういえば、みんな、あの日以来なんだな・・・」

テオ   「そうだね~」

ナズナ  「ほんと。あっという間な感じ。」

ケイ   「・・・ん?シンイチ、なんかあった?ちょっと暗そうだけど・・・」

アカネ  「ほんとだ。よかったら話聞くよ。」

僕は気づかないうちに、ちょっと暗いオーラが出てるのだろうか?まぁ、みんなが集まったのも久しぶりだし、聞いてもらいうことにしよう。

シンイチ 「うん。実はね・・・」


いじめから何とか立ち直れたころ。

何とか学校に復帰できたのはいいものの、なんか親が最近僕に対して過保護になってる気がする。例えば、友達と遊ぶくらいなのに、わざわざ車で送り迎えくるし、もう中学生で判断だってできるのに、みまだにスマホは母親の管理下。最悪なのが、いつもスケジュールを親が直々に管理されているということ。

一回、親に反抗してみたが・・・

シンイチ  「お願いだから、母さん。もうそんなに過保護にならないで。もう中学生だって!もう子供じゃないんだよ?!自分で判断させてくれよ!」

シンイチの母「全く、あんたってやつは何にもわかってないのね?いい?あんたはこの会社を継ぐのよ。そのためにちゃんとまじめに生活しなさい!」

なんていうから結局、諦めざるを得なかった・・・

みまだに自由にさせてくれない僕はまるで、鳥かごの中の鳥のようだ・・・いや、鳥かごだけじゃない。僕は親の操り人形のようだ。いいや、僕はこの家という名の牢獄に閉じ込められている囚人だな・・・本当に、あのクズ母、マジいらねぇっつ~の!

また、あの場所で話してすっきりさせたい。あそこだけが僕の居場所でしかない・・・


シンイチ 「・・・って訳でここに来てるってこと。」

アカネ  「ひどいな・・・でも、母親も悪くないのが厄介だな・・・」

ケイ   「マジそれな~本当にそういう母親ってうざいよな~」

ホラン  「あと、親って子供のこと自分を自慢するための、ただのアクセサリーにしか思ってないやつもいるんだってさ~」

テオ   「そういう親っているんだな・・・日本人って神っぽい誠実さがあるのに、何でこういう時に限って狂暴化するのかなぁ・・・?」

ナズナ  「多分ストレス発散の矛先の一つとして、子供も含まれてるからなんじゃない?子供ならしつけをしている風に装えるし。」

シンイチ 「あの~、論点ずれてるよ~」

ホラン  「あぁ、ごめんごめん。で、やっぱり毒親に道を作られると嫌?」

シンイチ 「・・・うん。でも、僕一応、大企業のご子息なんだよ?継ぐのって当たり前だよね・・・」

ケイ   「なんで?」

シンイチ 「えっ?」

ケイ   「俺だってお寺の家で生まれ育ったけど、近所の人しか用足ししないとこだし、継ぐつもりなんてない。それより、大事なのは、本当にそれがなのかってことだと思う。」

シンイチ 「なるほどね・・・」

テオ   「それにしても、シンイチ。君って大企業のご子息なんてラッキーなんじゃない?ルーレットで当たる確率の低い大当たりを引いたもんじゃん!」

シンイチ 「う~ん、そうなのかな・・・?僕の場合、母親が再婚した相手が今の父親だし。おそらく金目当てなんだろ。」

アカネ  「何で大人って、に目がないんだろうね?そんなに欲しいんだったら、対価に見合った仕事をすればいい話なのに・・・」

シンイチ 「母親の場合多分、一番手っ取り早い方法だからでしょ。でなきゃ、わざわざ大企業の元社長に頭下げたりしないもんw」

ホラン  「えっ、シンイチの母親、どんだけ結婚したかったんだよwうちだったら絶対にしないよ~」

ケイ   「俺だって」

ナズナ  「わたしも」

テオ   「僕だってそうだ」

アカネ  「にしても、どんだけ鋼のメンタルなんw自分がやったって相手にやられてもドン引きするけど。よくまぁ、再婚なんてこぎ着けたもんだよ~」

ケイ   「将来、シンイチも社内でおべっか使う日がいつか来るかもしれない。でも、やっぱり自分の意見言えなきゃ、始まんないだろ?でなきゃ、いつまでたってもご機嫌取りにしかならないもの。」

シンイチ 「だよな。やっぱり、自分の意見を貫き通せるように何とか言ってみる!本当にありがと!」

そうするとみんなが

     「いいってば~」

ってハモってちょっと笑ってしまった。

シンイチ 「だったら、まだ時間あるみたいだし、みんなの近況とか聞かせてくれない?」

そう話を進めると、

ホラン  「じゃぁ、うちからでいい?」

するとテオとホラン以外

     「どうぞ、どうぞ!」

なんて言った。その下りを全くわからないテオは助けてと言わんばかりに僕の方を見つめてきた。

シンイチ 「まぁ、これも日本の芸能人が使っていた言葉なんだ~」

なんて軽く説明したら、あっさり

テオ   「なるほどね・・・」

なんて返ってきた。ちょっとびっくりはしたものの納得してもらってよかった~

ホラン  「ねぇ~話してもいい~?」

ケイ   「あ、わりぃわりぃ、どうぞ~」

ホラン  「実は・・・」 

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