シンイチの3夜目 将来って誰の者?

「コンパで話せたのはいいけど・・・」僕は昨日の夜、心のコンパにて僕の悩み、一切話せたと思うのに、なんか、モヤモヤする。なんか言い足りないっていうか・・・

・・・そうか、この不登校の根本的な原因りゆうを言えてなかったからだ。

シンイチの母 「シンちゃん、勉強してるの?!」

あぁ、またこれだ。僕の母はいわゆる勉強しろタイプの毒親なのである。実のところ、僕は早くして実の父さんと死別してる。だから、ある意味母の言いなりになってるんだ。

              ~十年前~

僕の母は、葬式の時、冷たくなって眼が開かなくなった実の父さんの顔を見ながらこう言ってしまったんだ。 

シンイチの母 「あなた、この子はしっかり責任もって育てるからね。大人に育てて見せるからね。」

そういった時から、僕は進学校にばかり行って、学歴社会でも余裕をもって波乗りできるようにように女手一つで育てていった。


そして、小四ぐらいのころに今の父親と再婚したのだった。再婚相手は有名な企業の社長令息(社長の息子)だっていうこともあって、比較的に裕福な生活をしている。そして、この僕を社長につかせるためにも勉強しろとさらに熱が加熱していったのだった。そして、受験をしてまで名門校に通っているのである。多分ではあるが、僕の母親は、僕を立派に育てたいという反面、お金目的で今の父親と結婚することにしたに違いない。そうでもなかったら、であんなに拍車がかかんなかったと思う。そして、進学校でいじめを受けて不登校になる始末。まぁ、今は週一で学校に通って勉強をして、評定をつけてもらっている。それも、みんながいない夕方ぐらいに、個室に、先生とマンツーマンで。そして、テストだってもちろん受けて、みんなには公表しない形で自分だけ知れるようにしている。勉強するのは楽しいのだが、強制でされるのが正直に言ってもう嫌だ。今日もまたあの場所に行って話を聞いてもらいたい。

                 ☾

また、心のコンパに行った。今回は別の人と話したい気分だったから『ランダム』を選んだ。すると、スタッフは

スタッフ 「今日はシンイチさんが選んでみてはどうですか、気分転換に?」

シンイチ 「じゃぁ、ちょっと気になったところ入りますね。」

そう言われた僕は、気になった部屋を1つ決めて入った。

     「お、やっほ~!こんちゃ~」

元気に歓迎のあいさつをしてくれる人、この人はコトハさんというらしい。そして、今高校生のダイスケさん、そしてアノンさんがいた。アノン・・・?うちの母親と同じ名前だ・・・しかもなんとなく、母親に似てる。でも、同名ってだけでさすがに違うだろう。

シンイチ 「こんにちは。僕はシンイチって言います。よろしくお願いします。早速で悪いんですが、話、聞いてもらいませんか?」

コトハ  「いいよ~何でも言ってね~」

ダイスケ 「どうぞどうぞ!」

アノン  「しっかりと聞いてあげるからね。」

シンイチ 「ありがとうございます。実は・・・」

僕は昨日言えなかったことをリベンジのように語りだした。

コトハ  「毒親か・・・」

アノン  「辛かったね・・・実は私の親も毒親でね・・・まるで自分は親の操り人形のような気がして、まるで自我を失ったかのような気持ちになる。」

ダイスケ 「操り人形にされるくらい、親の言うことに逆らえなくなったんだね・・・」

シンイチ 「はい。結局のところ、母親から見て僕は、賢くなってすぐ出世して、お金をがっぽり設けてもらうことだけしか考えてないような気がします。今すぐにでも家出したいのは山々です。だけど、再婚相手は社長令息。警備はばっちりすぎて、すぐに見つかる。」

アノン  「それは辛いな・・・いじめに加えて毒親ってのは許されざることだと思う。」

ダイスケ 「ねぇ、知ってる?毒親っていうのは、ループのような関係になるから、結構問題が複雑なんだって。」

シンイチ 「それって、どういうことですか?」

コトハ  「それ、知ってる。毒親に育てられた親は、その子供にも毒親の態度をとってしまうってやつでしょ?」

ダイスケ 「そうそう。だから、早いうちから対策を立てておくことがベストなんだけど、今からでも遅くはないと僕は思うよ。」

シンイチ 「そうでしょうか?」

コトハ  「うん。詳しくはないけど、私もそう思う。」

アカネ  「そうなんだ・・・よし!自分、もし子供を産んだとしても毒親にならないように頑張ってみる!そして、また一家の連鎖を断ち切らないと!」

シンイチ 「僕も、毒親にならないって誓おう。もしかしたら、僕の親も毒親の元で育てられたからなんだと思う。だから、絶対に言いなりにならないよう、自分に従ってみるよ!」

コトハ  「うん、君たちの宣言、よく聞き届けたよ!夢の中ではあるけど、ずっと応援してるからね!」

ダイスケ 「僕も応援してるからね!」

そうダイスケさんもコトハさんの言葉を追いかけるかのように言った。

そして、お別れの時がやってきた。やっぱり、終わりってつきものなんだなって改めて実感した。そして、また、ここから現実へと目を覚ましていくのであった・・・

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