ナズナの2夜目 コンプレックス

「私ってやっぱり、ブスだな・・・」

 鏡の中の自分と目が合うたびにこんなことを思ってしまう。まず、そばかす面が気に入らない。顔面だけならいいが、問題は中身。例えば、なぜか人前に出ると作り笑いをしてしまう。別にうれしいこととか特にないのに・・・それで、自分はいつも

 気持ち悪がられてしまうのだ。

 クラスメートA 「ほんと、あんたそばかす面のくせして、よく作り笑いしてられるよなw」

 クラスメートB 「まっじキッショw」

 そうやって、言葉をかけられていくうちに、はじめは気にしていなかった自分の汚点コンプレックスがまるでかすみが晴れたかのようになった。そのたびに、「私、このままだと壊れちゃいそう・・・」私はもう硝子細工がらすざいくみたいに心がボロボロになりかけていた。もう、こんなことをクラスメートとかに、先生とかに、そして親とかに話しちゃったら過保護になりすぎて今の穏便さがドミノのように崩れていってしまうかもしれない。あぁ、こんな日常が変わりすぎず、変われる方法って無いかな・・・ん?そうだ!あの場所なら、誰にも知られずに話ができる!

                ☾

 自分は今日もまた布団にもぐって、眠りについた。そして、ふところにはいっていた小さな鈴を鳴らした。するとあの日と同じドアが出てきた。そしてその扉をくぐると「心のコンパ」へとたどり着いた。自分はスタッフさんから説明を受けて、「着替え室」でカーキの下に黒のサロペットワンピースに着替えた。そして、カウンターに向かって

 スタッフ 「ナズナさん、今回は『ランダム』か『前回のメンバー』、どちらがよろしいですか?」

 ナズナ  「そうだな・・・一回自己紹介したし、『前回のメンバ』でお願いします。」

 スタッフ 「では、9号室にどうぞ。」

 私は言われるがまま、9号室へ向かった。そしてそのドアを開けると・・・

 アカネ  「あ、ナズナちゃんだ!ようこそ~」

 ケイ   「お、今日も来てくれて嬉しい~!」

 シンイチ 「・・・いらっしゃい」

 テオ   「ナズナ、チャオ~!」

 ホラン  「ナズナちゃん、ちょっと浮かないけど、どうしたの?」

 他のみんなは元気だけどやっぱり、シンイチは大人しいな・・・

 ナズナ  「あのさ、突然で申し訳ないんだけど、私の悩み、聞いてくれる?」

 でも、もしダメって言われたら・・・

 ホラン  「ダメなわけないじゃん!ね、みんな?」

 アカネ  「もちろんだよ。」

 ケイ   「人間って悩んで乗り越えるから素晴らしいんだし!」

 シンイチ 「グロくないなら・・・」

 テオ   「うん。何でも言って。」

 ナズナ  「みんな、ありがとう。じゃぁ、言うね。私の悩み。それは大まかに言うと『コンプレックス』ってやつ。例えば、私は現実リアルだと人に会うたび、作り笑いばっかして疲れてるんだ。あと、本当はコンプレックスでいじってくる奴なんかひねりつぶしてやりたいって思っているけど、結局、相手におべっか使うことしかできなくなっちゃって・・・さらに私、指がみんなより太いし、こんなそばかす面で、周りが美人に見えちゃって、自分なんか神様が左手で書いたかのごとくブス顔だしさ。本当に、しょうもない悩みかもしれないけど、私にとってはかなり大きなお荷物でね・・・本当に、私、どうしたら良いの・・・?」

 私は思うことを思う存分吐いた。やっぱり、こんなに言ってしまって引かれてるだろうな・・・

 ケイ   「そうだったんだ・・・本音言えなくて、辛かったな・・・」

 ナズナ  「えっ?」

 シンイチ 「僕たち、そんなことで引くようなバカじゃないって。」

 ホラン  「そうだよ!もしかして、うちらを見くびってた?」

 テオ   「もう少し信用したっていいのに~」

 アカネ  「本音を言うって気持ちいでしょ。」

 ナズナ  「確かになんか心がポカポカするっていうか・・・なんかすっきりした感じがする。本当にありがとう。」

 テオ   「いいって!僕たちにはこれぐらいのことしかできないけどお互いさまだよ!」

 シンイチ 「あと、ナズナちゃん自身なんて言ってたけど、全然、そんなことない。」

 ホラン  「シンイチだってそういってるんだし、全然気にしなくたっていいんだよ!」

 ケイ   「でも、気になるものは気になるっていうのが人間だしなぁ・・・」

 ナズナ  「うん。どうやったら気にならなくなるのかな・・・?」

 テオ   「僕ならっていうよりかは、っていう感じかな?」

 ナズナ  「えっ?無視?」

 シンイチ 「気にしないっていう方向に意識を向けちゃうと逆にそうなっちゃうからだと思う。」

 アカネ  「そうだね。そして逆にのほうが自分のことに没頭しちゃって相手の言葉なんて入ってきにくいと思う。」

 テオ   「そうそう、そういうこと!」

 ナズナ  「そうか、よりか・・・なるほどね・・・」

 ホラン  「うん。その方が楽になれると思うよ。あ、そうそう、このコンパで色々と専門家を呼べるらしいから、時間があったりしたらインターホンで呼べるみたいだから呼んでみて~」

 ナズナ  「わかった。やってみようっと。」

 そうやって話していたら約束の時が来たみたいだ。もうそろそろ帰らなくちゃ。

「じゃぁね。」

 私はそうひとこと言ってから扉を開けた。

                ☼

 ・・・ちょっと眠たいな・・・そう思いながらゆっくり布団から起き上がった。

をする練習、頑張ろうかな・・・」

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