第2話 摩色の親友
摩色と2人で歩く道。
俺と摩色は昔からずっと一緒に登校していた。
摩色はツンツンしている所があるものの、実はとても優しい性格をしていてそこが彼女の魅力だ。
「学校に近づいてきたな」
俺と摩色の周りには俺たちと同じ格好をした生徒たちが見受けられる。ネクタイやリボンの色が俺たちと同じなのできっと同級生になる人達だろう。
「そうですね。少し不安です」
「不安?大丈夫だろ。もし摩色に何かあったら俺が飛んでいくから安心してていいぞ」
「分かった」
俺がそう言うと摩色は安心したようにニコッと微笑んだ。
それよりも俺の気のせいだろうか。先程から俺たちに視線が集まっているような気がする。
俺たちと言うよりも特に摩色。摩色に向かって視線が集中しているようだ。
俺がそう疑問に思っていた時、俺たちの後方に歩いている男子二人の会話声が聞こえてきた。
「あの子、可愛くね?」
「それな。早速俺狙っちゃおーかな」
「やめとけよ。隣の男が彼氏なんじゃないのか?人の彼女に手を出すのはやめておいた方がいい」
「いや違うだろ。流石に釣り合って無さすぎる」
「おいばかっ。声がデカいって。聞こえてたらどうすんだよ!」
しっかり聞こえていますとも、ええ。それはもう一言一句逃さず俺の耳は彼らの言葉を捉えましたよ。
ただ不思議と怒りは沸いてこなかった。彼らの言葉に誤りがなかったからだろう。
俺と摩色は血の繋がった兄妹なのは間違いない。
だが俺は摩色と似て無さすぎる。摩色は可愛い系で男ウケの良さそうな容姿をしているのに、俺は平々凡々な見た目をしているのだ。
「兄さん、気にしちゃダメだよ?兄さんは私の自慢の兄さんなんだから誇りに思ってていいからね」
気を遣ってくれた摩色が俺を慰めてくれる。俺は彼女の気遣いに無下には出来ないと感謝を伝える。
「あ、クラス表示されてる!見に行こ、兄さん!」
校門の前には新入生用のクラス分けが掲載されていた。
新入生の集合時間手前なことあってか、人が多い。
俺は三組だな。特に見知った名前はなく、俺にとってはクラスメイト全員が初めまして、ということになる。
上手く馴染めるだろうか。
「私1組だった。兄さんは?」
「三組だよ」
「良かった。結構近いね」
「だな」
とは言うものの学校で摩色と話すことなどほとんどないに等しいだろう。
摩色には直ぐに友達ができる。すれば血の繋がった兄である俺が頻繁に会いに来たら…うむ、やめておこう。
これ以上考えたら虚しくなってしまう。
「あ!摩色じゃん!」
「そういう君は雫じゃん!」
現れたのは摩色の友達である雫ちゃんだ。摩色曰く、中学生の頃に話し始めた時から非常に気があって仲良くなったらしい。
俺にはそういう特別仲良い友達が出来なかったから羨ましいな。
俺と雫ちゃんは摩色繋がりで少し話すくらいの関係で、最近は2週に1回くらい泊まりに来るからかお互い弄り合うくらいの中まで進展していた。
「あ、色那いたんだ。影が薄くて見えなかったわ」
「……俺そんなに影薄いかね」
ちょっとしょんぼりとした……演技をしてみた。
「あ、ご、ごめん。ほんの冗談のつもりでさ。色那はしっかり見えてるよ」
「………………ぷっ」
ま、まずい!
「は?」
聞かれたか?!
「ねえ色那。今笑ったよね?」
「なんの事だ?……………ぷっ」
「やっぱ笑ってるじゃないか!」
隠しきれなかったか。
俺は笑いを堪えきれなかった。だって雫ちゃんが俺の事を真面目に心配したような目で謝ってくるんだもの。
「やっぱ色那は影薄い。はんぺん!ワカメ!」
どういう罵倒だよ。それって物理的に薄いものだろうが。
「あーもう。はいはい。兄さんも雫も早く教室行くよ」
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