2023年12月

『クリスマスイブ』

 小さなクリスマスツリーがキラキラ光っていて、小さなケーキに乗せたサンタとトナカイのキャンドルの炎がゆらゆら揺れる。今年も買ったアドベントカレンダーの最後の一つは、カップの中で甘い香りを漂わせている。

「メリークリスマス」

 今日何度目かの言葉をささやいてろうそくに息を吹きかけると、少なくなった光源の中でツリーの輝きが一層存在を主張し始めた。

「ライト二重巻きはさすがに派手すぎたかな」

「見ていて楽しいからこれはこれでありだとは思うけどなぁ」

 今年追加してみたライトのきらきらくるくるがさすがに目にうるさくなってそう言うと、あなたの笑い含みの声が返ってくる。

「いいんじゃないかな、クリスマスくらいは」

「そうだね、クリスマスくらいね」

 派手な、という言葉とはあんまり縁がない我が家で、ひときわ派手なツリーも、クリスマスならありかもしれない。

 ちらりとあなたを見上げる。きらきらちかちかした光に照らされて、カラフルになってるあなたが微笑んで私を見る。電気をつけるまであとちょっと、クリスマスはきっと、それだけで魔法だね。

(2023/12/24)

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