初発電車は4時4分.3

「ジュエルボックス」

「ええ。略奪者である他プレイヤーから見れば、貴方は命を得られる貴重な宝石。カエサル様は生きた宝石箱なのです」

 カエサルは宝石箱そっくりなリュックを手に取る。それは軽くまるで何も入ってないようで、実際開けて中を見ると空っぽだった。

「そのリュックに宝石は入っていません。カエサル様自身が宝石なのですから」

「じゃあこのリュックに何の意味が」

「ご説明いたします。リクエストされたアイテムを出現させる事ができます。バカンス内に登録されたアイテムなら問題なく取り出す事が可能です」

「登録されたのなら何でもって、例えば電車やバスとかも?」

「はい。リュックより遥かに大きなものでも問題はありません」

「じゃあ最強じゃないですか」

「いえ最弱ですよ」

 カエサルの希望に満ちた一言は、薄氷の如く砕け散った。

「カエサル様のクラスはジュエルボックス。あくまで宝石をしまう箱です。箱が電車やバスを運転したところを見たことありますか」

「ないです」

「箱が出来ることは中のリクエストされた物を取り出して渡す。ただこれだけです」

「どうやって勝てばいいんですか。まさか一年も不正していたから負けろって事なんですか」

「ちゃんと救済策も用意していますからご安心を」

 カエサルの目の前に十枚の硬貨が現れた。

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