第一章 最弱のメシア.1

「バカンス内にログイン完了……ってもう通じないか」

 星ひとつない空間を照らす太陽のように、人の形をした光が表れた。

「私の人生を狂わせた元凶にまた入ることになるなんて、でもこれが終われば新天地での生活が待ってるのよ。さっさと終わらせましょう」

 目の前に表れたモニターを確認するために目と首を忙しなく動かしリクエストしていく。

「容姿はランダム、武器はストック付きのハンドガンとリーチのあるナイフ、いえゲームだから刀をランダムで」

 容姿と装備が整い、自分の姿をまじまじと眺める。

「ランダムにした割にはなかなかどうして動きやすそうじゃない。でも銃は骨董品か……まあ贅沢言ってる場合じゃないわね」

 自分の姿に注力して気づかなかった。いや気付けるはずもない。それは人が持つ気配がないのだから。

 自分の心臓の位置に両手が潜り込んだ事にも気づくことはなかった。

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