薄桃色の空の下で

七乃はふと

プロローグ 

 ライに手を引っ張られたカエサルは半ば投げ飛ばされるようにバスの後部座席に押し込まれた。

 いきなりのことに驚いている間に、額に冷たく硬いものが押し付けられる。

 確認しようと少し頭を引くと、吸い込まれそうな黒い銃口と目が合った。

 カエサルの頭の中に浮かびあがった「何で?」という言葉を口に出す前に、銃口から銅色の塊が飛び出し、光と音が網膜と鼓膜を焼く。

 弾頭が赤いマスクを被った額に命中し、カエサルの首が大きく後ろにのけぞった。

 背もたれに後頭部を預けたカエサルの耳が二度と聞くことがないはずの野太い声を捉える。

「これでゲームオーバーね」

 守護者であるライは、守るべきカエサルの頭に突きつけた銃のトリガーに力を込めていく。

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