最終話 いつまでもグロリアで…

一杯100円でコーヒがー飲める喫茶店があるとテレビや雑誌で取り上げられるようになったのは価格変更をしてから半年が経過した辺りからだった。

ネットの評判もよくコーヒーの味は本場のバリスタが挽いた物と遜色ない。

そこまでの大絶賛だった。

それは当然なことである。

マスターは本場で修行を積んできた人なのだから。

こちらに戻ってきて喫茶店を開いたのだが、軽食やデザートのメニューに少しの不安を覚えていたらしい。

もちろん経営にも…。

そんな時に僕の存在は寝耳に水だったとか。

彼女にとって僕の存在は救世主のように映ったようだった。

僕とマスターは二人でグロリアを切り盛りしながら毎日を過ごしていた。

僕は毎日の様にアルバイトに入っていたし大学には殆ど通っていなかった。

友人からの連絡にも殆ど返事をする余裕がなくグロリアのことだけを考えていた。

「ねぇ…私達…このままずっと一緒にいない?ずっとこんな感じで毎日一緒にグロリアに出勤して生活をするの。どうかな?」

「それって…」

「もちろん。プロポーズのつもり」

「………」

閉店後のグロリアで僕とマスターはそんなやり取りをしている。

しかも光栄なことに女性の方からプロポーズをされてしまう。

「光栄です。でも僕で良いんですか?」

「もちろんだよ。グロリアがこんなに立派になったのも何もかもが貴方のお陰でしょ?」

「いやいや。マスターのコーヒーが美味しいからで…」

「待って待って。それよりも…結婚してくれないの?」

グイグイと来るマスターに僕は意を決して頷く。

「します」

簡潔に三文字の了承の言葉を口にするとマスターは嬉しそうに微笑むのであった。



そうして僕は大学を中退することになる。

僕とマスターはグロリアを経営しながらいつまでも仲睦まじく生活するのであった。

僕の目標であるグロリアを超有名店にする夢が叶った。

そして僕には一生をかけて幸せにしたい人と結婚することが出来た。

これにて僕の物語は一度幕を閉じる。

けれど何処かの世界で喫茶店グロリアは存在しているかもしれない。

ミステリアスなマスターとその主人が二人で切り盛りする。

そんな超有名喫茶店が…。

               完

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100円で美味しいコーヒーが飲める喫茶店。味に惚れ込んだ僕と不器用な女性マスターのチグハグな関係はどう発展する? ALC @AliceCarp

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