寝相の悪い息子

 ——ゴリッ。

 何かが擦れる音がして、目が覚めた。

「………?」

 暗めの電気が付ている薄暗い部屋を見渡すと、隣には息子であるリクがすやすや眠っている。………が、その体の向きは斜めっていて、ゴツゴツした壁に頭をぶつけていた。

 そうこうしているうちにもリクは体の向きを変えていく。ゴリゴリ、ゴリゴリとゴマを刷るような音を立てながら、だ。


 頭の皮が剥がれているような音………。


 頭が壁に垂直になると、回ってきた足が私の鳩尾を思いっきり蹴り飛ばした。

「うぐ」

 今もぐ~すか眠っているリクは、このように寝相が悪い。


——次の日——


「リク、今日は寝袋で寝てみて」

「?」

 寝袋に包まれていれば、足蹴りキックを食らうことはないだろう。


 ——その考えは甘かった。世界一甘いお菓子、グラブジャムンよりも甘かった。


 リクは寝袋の中で手足をばたつかせ、両手を出し、さらに暴れ、両足をばたばたさせて寝袋から脱出したのだ。

 そして、寝ている私に一撃。


 ——ドゴッ——。


 結局は毎日こうなるのだ。

 蹴って蹴って蹴られて、痛みに悶えながら息子の隣で寝る。

 私は、早々に諦めてソファで眠った。




毎日蹴り飛ばされる両親→『寝相の悪い息子』



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