『カオス』がいつも通り
「いや、絶対ユナの方が悪い‼」
「そっちこそ‼」
二人の小学生が、下校中に言い争っている。
この集団登下校の班は、本来ならば真っ直ぐ一列に並ぶものだ。しかし、並ぶも何も毎日ぐっちゃぐちゃ。班長である私——
「はい、並んで~」
今日だけで十回は言ったセリフを繰り返しながら、くるっと方向転換して振り向く。
——ぅわぉ、カオス。
私は目を細めてそれを傍観した。
「カ〇ビィのラスボスが——」
「えっほんと? ヤバ」
皆、騒ぎながらもちゃんと通り歩いているのだから何とも言えない。だが列は乱れ、列とは言えないぐちゃぐちゃっぷりだ。
そして、その中心で激しい喧嘩を繰り広げている二人組がいた。四年一組の遅刻常習犯、
——その二人の間に、ひとり。
「ねぇフウカ。今この二人の喧嘩に挟まれてる私の気持ち分かる?」
六年、
「んははははっ、ガンバ」
「ねぇフウカ、どうしたらいいと思う?」
「知らん」
「薄情者ー!」
「薄情者でけっこーです」
むくれるノアを放り、鉄の棒で補強してある『私の爺ちゃん特製反旗棒』を手でぺしぺし叩く。
「うーん。今日もいつも通りですねぇ」
騒がしくて、喧嘩勃発→『カオスがいつも通り』
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