第0章 2人の暁 4


「サジットの結果はこちら。どう?はやくそっちのものを出してみてよ」

いつもはどうでもいいというくせに、自分のところがいい結果をだしたときはコレだ…。

「なによ。2人は特別なんでしょう?そうやってみんな持ち上げてるじゃない。その特別を見せてよって言ってるの。

それに、小石さんのような三下のルクス以外の方たちも資金に見合った実績をあげてほしいってだけなんだけど」

「なっ…。―…失礼」

(麻実、落ち着け)

俺らは、視線をおくると、麻実は気付いて、着崩れを直した。

「勘違いなさっているようなので、訂正させていただきます。

アリア・ミデンと言われる専門家。または育成部門は、基本的には、日々勉強。意見交換。地道な研究。追及。より専門知識を深め生かすことが目的です。認めてもらうために、褒め称えてほしくて活動をしておりません」

「じゃあ、実績なしの無能?」

(ミデンが能無しやったら…俺らのほうが能無しやで…)

実際、前線でミデンの把握能力や、分析能力がなければ動くことができない。

「いいえ!ミデンの実績は、送信したものをご確認ください」

「小石さんは、小峰先生と同じ、ミデンなの?」

「私は、ルーメとミデンを兼任しています」

「ん?どういうこと?」

「岬さんや、菊原さんは幹部候補生のルクス。小峰先生は、専門家ミデン。

私は、軍特化型の情報専門家もあり、兵士候補生でもある兼任扱いになります。―とりあえず、全体を説明したほうがいいでしょうか」

麻実は、香織にむかって優しく言う。

こういうところの理解力は麻実は早く。対応も素早い

実際、組織のことは、難しい。

「お願いします」

「アリア・ヘリオスは、アリア・エオスという軍を有しており。

ルクスは将校。ルーメは、兵士と大きく2つで区分されていますされています。ルーメは各兵科に分類され。制服もこのように違います」

「ルクスの制服、あまり見たことないよね」

「この地区ですと、2人だけですからね」

「へぇ…」

そうか…。そういうところも広報に伝えた方がいいな。

組織の理解は、地域とうまくやっていくことにつながる。

俺らのようにうまくやっていないところも実際にある。

菊姉をちやりとみるが、興味がないのか、疲れた顔をしている。


「幹部候補生徽章や制服の変化はこちらの情報の通りです」

「アリア・ミデンは、専門家、または専門家育成の部門で、エオス軍とは基本です。幅広い職業ごとに適正を診断し、当事者の同意の上で専門知識をつけています。どこに所属しても。基本的信念を元に―」

「梓ちゃんがいうような、それぞれの実績はどうなの?」

「実績というものを、恒元さんがどう捉えているのか、わかりませんが…。近年は、ルクス2人はどの大会でも連続優勝。ルーメも好成績。ヘリオスの養成部門中でもトップクラスです。ミデンのほうでも、近日中に活動報告会があります。資金説明としては。基本装備、消耗品に充てられています。資料はこちらです」

とてもシンプルで基礎的な資料。

「おかしなところなんてないよ。ちゃんと筋通ってる…」

「納得できないから言ってるの。それがおかしいの!?」

「そういうわけじゃないけど…」

「香織は一言も、そんな事言ってないだろ?」

「まったく。相変わらず難義なやつやのう」

制服の拘束を解いて、力を抜く。

梓…。あぁいうやつじゃなかったのにな…。

「ご、ごめんなさい…」

「いや、香織が謝ることちゃうやろ」

「タイミングが悪かった。それだけですよ」

「…せやな。まぁ、しかたないわ…」

この制服が、彼女をそうさせているのかもしれない。

だとしたら、制服で登校できる制度をなんとかしたいが…。


「記録は、いつも通り…?」

「あぁ。俺にも送っといてくれ。あの分だと。他のメンバーにも、ぶつかりかねんな」

根本的なシステムを直すには、ある程度の情報と、プレゼンできる能力か…。

「わかりました。周知メールもいれたほうがよさそうですね」

「頼んだ」

「はい。解散解散」

「菊姉、ちょっとつかれたんちゃう?」

「いや?大丈夫」

視線を合わせることなくそっけない。

(どしたんやろか…)

「香織、梓はなんて言い出してきたんや?」

「えっと…。深見先生から…」

(あのやろう…。まじか…)



俺はちょっと離れたところで、通信をかけた。

まずは、筋を通す。

「あ、小峰はん?ちょっとええかな?」

「この時間から珍しいですね?どの方面の御用ですか?」

「生徒生活にかかわる重要な、ルクスの案件やね」

「…なるほど、すぐに席を用意します。折り返します」

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