第2話 ローズという女
王国へ来た頃は龍が臣下を使っていて支配下にあった。【郷に入っては郷に従え】。そういうことで兄のヨルムと一緒に暮らしている。
赤毛が自慢だった。兄とお揃いの黄金の瞳も。親から受け継いだモノだ。
最近、ヘミングという金髪の長い髪の龍の臣下ーー超能力者たちーーが私たちに目をつけている。
なんでも、龍のお達しだとか。
龍は元々人間だったらしい。
それを聞いて、私たち兄妹は大して驚きもしなかった。正体が誰なのか知らずにいたほうが良かったと思うが、今更だ。ここでは省略しよう。
しかし、何故、目をつけられたのかとんと理由がわからない。
「よう、ローズちゃん?時間空いてるかな?」
昼間の買い物に声をかけてきたのは臣下の中でもいやらしい部類に入る、『アンデット』だ。よく買い物中に話しかけてくる、顎が割れている太眉の大男だ。あだ名はデイニーと言う。
「これからお昼よ。一緒に食べる?」
「おお!いいね!そのあと、君もいただきたいね。。」
私のたわわな胸元を見て鼻の下を伸ばした。
「そうしてやってもいいけど?どんな罰が受かるかしら?龍に告げ口してあげてもいいのよ?」
私もいやらしいことに関してヘミングたちに許していない。向かってこられたら返り討ちにできる体術は心得ている。
この強気な性格が悪い方向に向かっている。
なんでも私を屈服させてイイコトを教えてくださるそうだ。
あゝ!腹立たしい!
龍と信頼関係にあったのは今では兄妹たちの方だった。
「まあまあ、そんなおっかない顔しなすんな!まじで料理だけにしてやるからさ。」
上から目線がうっとおしいけれども、すんなりいうこと聞いたので、家まで連れて行った。最悪なことになっても、もう清らかな乙女でもないのだ。いいか。
結構この王国に来てからヤケクソだった。
ミートパイが出来上がってきた頃には連れてきた、ナンパ野郎デイニーは食事に夢中になって、意外にワインを飲んでも紳士的にというか、友人のように扱ってくれた。
「おまえさん、結構いいやつなんだな!嫁にほしーねー、、、ふぁー食った食った!」
「嫁は兄にゾッコンの私には関係ないわね。。ミートパイに関してはお粗末様。」
ローズの美貌といい加減さと無防備さと剣呑さとうまい料理を作れるのは誰もが、、、この娘と一緒になりたいと思ってしまう魅力があった。
しかしながら、龍の残虐さを持ってしまったものは、一度味わいたいらしい。龍に反発抱いている者も。
ーー無理やりに。残虐に。屈服させたいらしい。
とんとそんなおっかないことはまだ知らず暮らしている。兄妹たち。
ーーーー無理やりに。
それを身をもって痛むのはもう少し後の祭り。
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