第27話 イソラの町・5

 医師2人、ウリヤス、ベルトルド、アルカネットで慎重に検討した結果、出発は明日に見合わせることが決まった。熱が下がらないまま無理強いすれば、悪化する可能性が高い。キュッリッキの体力は低下する一方だし、帰還に耐えられないだろう。

 そうしてウリヤス邸には、また1名客人が増えてしまった。


「患者で大賑わいするより、遥かにマシですよ」


 そうウリヤスは笑った。マルヤーナも同じように笑いながら、新たな珍客を歓迎してくれた。

 近くの宿もいっぱいで、ライオン傭兵団のメンバー、ハドリーとファニーは、廊下でも床でも空いてるところで雑魚寝状態だ。気温が高いこともあり、風邪をひく心配だけはなさそうである。

 いつ容態が急変しても即対応できるように、医師2人はキュッリッキの病室の外で待機が命じられた。ベルトルドとアルカネットはキュッリッキの病室に泊まることになり、ベッドを挟んで傍らに付き添った。

 室内は暑苦しくないように、アルカネットの魔法によって適温に冷やされている。

 アルカネットは魔法で作り出した氷で冷やした水にタオルを浸し、冷たいタオルをキュッリッキの額へそっとのせた。


「冷やしすぎやしないか?」


 腕を組んで見ているベルトルドが、いつになく心配そうに呟く。


「大丈夫ですよ。身体に負担がかからない程度にしか、冷やしていませんから」

「そうか」


 ホッとして、ベルトルドは座り直す。


「それにしても、この世にあんな醜悪な化物が存在していたとは、驚きだったな」

「ええ。一体アレは、なんなのです?」

「娯楽小説でいうなら、遺跡の番人、とでも言うんだろうかな」


 今回の事件の詳細を知るために、ベルトルドはカーティスとルーファスの記憶を透視して、キュッリッキを傷つけた怪物の姿を知った。それをアルカネットにも共有している。


「しかも遺跡の内部も、思い切り変化していたらしいしな」

「仕掛けの存在を、シ・アティウスは気付かなかったのでしょうか?」

「恐らくは。そうした詳細を調べる矢先に、ソレル王国軍に乗り込まれたようだし。ただ、あの遺跡がなんであるかの見当はついているようだ」

「そうですか」

「いずれにしても、あとでお前とシ・アティウスで確認してきてもらう」

「任せてください」

「それとな」


 ベルトルドは困ったように、アルカネットをチラリと見る。


「説教するのはいくらやっても構わんが、ザカリーにした私刑は、もう誰にもするな。知ればリッキーが悲しむだけだ」


 やんわりと諭され、アルカネットは僅かに拗ねたように口を尖らせた。


「まあ、お前が先に爆発してくれたおかげで、俺が冷静になれたんだけどな…」


 そう言ってベルトルドは苦笑し、肩をすくめた。




 帳が降りて静まり返った真夜中、キュッリッキはフッと目が覚めた。薬と睡眠の効果で、今は少し気分が落ち着いている。苦しくなかった。

 月明かりだけの薄暗い部屋で目だけを動かすと、左右にアルカネットとベルトルドを見つけた。

 2人共腕を組んだまま、俯いてよく眠っている。

 ベルトルドの寝顔を見つめ、少し話がしたいな、と思った。特に何か話したいことがあるわけじゃないが、なんとなく、そんな風に思っただけだ。

 顔を仰向けに戻すと、薄暗い天井を見つめる。


(そういえば1年前に風邪をこじらせて熱を出したことがあったっけ。ハーツイーズのアパートで寝込んじゃったのよね。んで寝込んだことを知ったハドリーが、こうして夜通し付き添ってくれたことがあった。

 あの時も夜中に目が覚めると、椅子にもたれかかってハドリーは眠っちゃってた。仕事明けで疲れていたくせに、必死に看病してくれて。「朝まで起きてるからな!」なんて言い張っていたケド、結局眠ってた。でも、こういう時誰かがそばにいてくれるのって心強いんだなって思った。なんか、病気したときは心が急に寂しくなって、不安になっちゃうんだよね。ヘンなの…)

 その時のことを思い出し、ベルトルドと話がしたいと思ったのは、今、ほんの少し心細い気がしているからだと気づく。

 キュッリッキは自分から素直に甘えることができない。

 ハーツイーズのアパートにいた頃は、ハドリーや”おばちゃんズ”が、向こうから甘えさせてくれた。甘えたいな、という雰囲気を漂わせていると察してくれたのだ。

 そこを巣立った今、甘えたければ自分から相手に訴えるしかない。

 ベルトルドもアルカネットも甘えさせてくれそうな雰囲気を悶々と漂わせてくるが、まだ知り合って間もないし、とくにベルトルドは副宰相という偉い人だ。それにライオン傭兵団の後ろ盾でもある。

 そんな人に、心細いから起きて少し話をしてほしい、などとは言えない。

 ただでさえ忙しい中駆けつけてくれて、とても疲れているだろうに。ベッドに横にならずそばに付き添ってくれているのだ。それだけでも感謝しなくてはいけない。


(アタシが勝手に怪我しただけなのに…)


 警戒していたはずの神殿に飛び込んだ結果、大怪我をしたのは自ら招いたことだから。大迷惑をみんなにかけて、それなのに色々よくしてくれている。

 じゅうぶん甘えさせてくれているのだ。

 もう一度2人を交互に見る。

 自分よりもずっとずっと大人の2人に、しっかりと守られている。それを実感しながらキュッリッキはそっと微笑むと、眠気に誘われるまま目を閉じた。




「熱は……、37度ちょっとか。下がってますね」


 ヴィヒトリは体温計を見て、キュッリッキの額に掌をあてた。


「この俺がそばにいて看病していたおかげだな」

「何もせず寝ていたでしょう。私の看病の賜物です」

「2人とも朝までぐっすりでしたよ…」


 ヴィヒトリのサラッとしたツッコミに、ベルトルドとアルカネットの顔がギクリと歪む。


「そばにいてくれてありがとう。ベルトルドさん、アルカネットさん」


 やや苦笑気味に言いながら、キュッリッキが嬉しそうな目を2人に向けた。


「リッキーさんっ!」

「なんて良い子だリッキー!!」


 ガバッと飛びつきそうな2人を、ヴィヒトリが慌てて止める。


「落ち着いてくださいよっ! 怪我人なんですから」


 ムスッと口を尖らせる中年2人に、ヴィヒトリは内心特大の溜め息をついていた。


「一刻も早くリッキーを抱きしめられるように治療しろ。金ならいくらでも出してやる」

「善処します…」


 今度は口で、大きく溜め息をついた。




「朝だから熱が下がっているんだろう」とドグラスは言ったが、「動かすなら今のうちしかない」そうヴィヒトリが判断し、帰還することに決定した。

 ライオン傭兵団、ハドリーとファニー、ケレヴィルの研究者たちは、慌ただしく病院前に集まった。


「突然押しかけた上、何日も大勢で泊まり込むことになり、申し訳ありませんでした」


 カーティスはウリヤス、マルヤーナ夫妻に深々と頭を下げた。

 瀕死の怪我人を連れて真夜中に押しかけ、後からどんどん人を増やし、夫妻だけじゃなくご町内にも迷惑をかけまくりだった。


「困ったときはお互い様です。お嬢さんの怪我、早く治るといいですね」

「はい」

「また遊びに来てちょうだいね。ヴァルトちゃんもお元気で」

「ありがとうおばちゃん! ドーナツいっぱいサンキュ!」


 最後の最後までヴァルトはマルヤーナに懐いて甘え、お土産に大量のドーナツを作ってもらってご満悦になっていた。夫妻には子供がいないらしく、ちょっと大きすぎるが、ヴァルトを子供のように思ってマルヤーナは甘えに応えた。


「そのドーナツわけろ」

「ボクも食べたい」

「ヤダかんな!」


 美味しそうな匂いを紙袋から漂わせ、ヴァルトは仲間たちの手を払い除けまくっていた。


「明日までに精算させていただきます。本当にありがとうございました」


 アルカネットは請求書を作ってもらい受け取ると、折り目正しく頭を下げた。


「アルカネットさん、代金は私の方で」

「いえ、私のほうでお支払いするのでかまいませんよ」

「はあ…」


 借りを作りたくないカーティスは自分の方で支払いをしたかったが、アルカネットは譲るつもりはないようだ。


「リッキーの大恩人だ。倍以上支払ってやれ」


 キュッリッキを抱きながら、ベルトルドが病院の中から出てきた。


「もちろん、そのつもりですよ」

「ああ、どうせならキャラウェイの退職金を全額こちらにお渡ししてもいいくらいだな。どうせアイツは受け取ることもできないし、使う暇もないだろう。うん、我ながら良いアイデアだ。そうしよう」


 意地の悪い笑みを浮かべてベルトルドが言い放つと、


「それは名案ですねえ」


 とアルカネットは真顔で頷く。本当にやりかねない2人の表情に、


(哀れな…)


 ギャリーはそう思いながらも、実現すればおもしろすぎると真面目に思った。ギャリーも、そして元軍人だったメンバーも、キャラウェイは大嫌いな存在だ。

 ベルトルドの腕の中でぐったり眠るキュッリッキに、ウリヤスとマルヤーナは不安そうな顔を向けた。先程まで意識はあったが、再び眠りについている。体力がだいぶ落ちているのだろう、表情が辛そうだ。とても動かせる状態ではないが、それでもキュッリッキは辛くても帰ることを望んでいる。


「元気になってね」


 意識のないキュッリッキに、マルヤーナは心からそう願い、囁いた。




 各々夫妻への挨拶が済むと、最後にヴィヒトリが病院から出てきた。包帯でぐるぐる巻かれて、動けないザカリーの診察をしてきたようだった。

 頑丈な板が用意されそこに布団がのべられると、ベルトルドはその上にそっとキュッリッキを寝かせた。即席の担架だ。

 そのまま抱いていってもよかったが、抱き上げられる姿勢はキュッリッキの身体に余計な負担を強いるため、ベルトルドの指示で担架が用意された。


「東にある漁港に艦を待機させてある。それでアルイールまで出て、エグザイル・システムで飛ぶぞ」

「判りました、んですが…」

「なんだ?」

「アルイールの警戒態勢は大丈夫でしょうか? アルカネットさんが到着した際、ソレル王国兵がエグザイル・システムの周囲を固めていたとか」


 不安そうにカーティスが首をかしげる。


「ふん、それは問題ない。昨日の時点で正規部隊でアルイールは抑えてある」

「え、まさか、皇王様が動いたんですか??」


 カーティスは驚いて息を呑む。いつの間にそんな事態になっているのだろうか。


「ん? 言ってなかったか? 俺が全軍総帥の権限を与えられているから、俺の指示だ。あんな昼行灯の能無しボケジジイは関係ナイ」


 たっぷりと間があいたあと。


「ナンデスッテーーー!!?」と、その場に複数名の絶叫が轟いた。


 深々とベルトルドがため息を吐き出す。


「キャラウェイの禿頭ダルマが逮捕されて、逮捕に貢献したご褒美と称して総帥の地位まで押し付けられた。あの能無しボケジジイ、どんだけ俺の仕事を増やす気でいるんだ全く忌々しい!」


 どのみち副宰相の肩書きに毛が生えただけだと、ベルトルドはめんどくさそうに鼻を鳴らした。

 ハワドウレ皇国では、軍部の長になる総帥の地位は皇王が兼任している。その下に直接正規軍全体を統括・指揮するために将軍があり、正規軍(正規部隊)には兵士から士官までの階級が存在し、各特殊部隊や組織には長官を置いていた。実際には将軍が動かすが、何かを始める時にはその許可を得るために、総帥である皇王のサインが必要になる。

 過去皇王から下々に権限が委ねられることはあったので、けして稀なケースではなかったが、副宰相に委ねられるのは初めてのことらしい。


「副宰相は宰相より忙しいっていうのに、全くあのジジイども…」


 国政の長である宰相は高齢で、宰相という地位に座っているだけ。実務自体は副宰相のベルトルドがおこなっていた。


「国政と軍の両方の権限を握ったのかよ」

「鬼に金属バット以上だな…」

「どえらいひとがボスになってるよねえ~アタシたちぃ」

「護衛もなしにこんな辺境まで、よくもまあ堂々と」


 ライオン傭兵団の面々はヒソヒソと囁きあった。


「そういうわけだ。いくぞ!」


 ベルトルドが担架に手をかざすと、担架はゆっくりと浮き上がった。

 見送る側になったマリオンに、ギャリーは手を振る。


「ザカリーのこと頼んだぜ」

「あいよ~!」


 アルカネットやマリオンたちに見送られ、一行は出立した。




 キュッリッキを乗せた担架は、ベルトルドの超能力サイで操作され、振動も揺れもなく静かに浮いて進む。

 担架の傍らで操作するベルトルドに、ケレヴィルの研究者たちが何事かを報告している。その後ろに若干の間を置いて医師2人とライオン傭兵団が続き、ハドリーとファニーが最後尾に続く。

 漁港を目指し、御一行は徒歩で進んでいた。

 ハドリーとファニーはシ・アティウスから任を解かれていたが、キュッリッキが心配でライオン傭兵団と共にいた。そして彼らの起こした騒動で、アルイールのエグザイル・システムが抑えられ、更にはハワドウレ皇国の正規部隊までもが出動してアルイールを制圧したという。

 どうやって帰れば、と思案していたところに、カーティスから帰還同行の誘いがあってありがたく同行させてもらっている。


「リッキーも無事だし、あたしたちも帰れるし、ホント良かったよね」

「だなあ。安心して帰れる」


 先頭のほうは見えないが、キュッリッキの傍らには副宰相ベルトルドがついている。

 キュッリッキの大怪我を治すために、アルカネットと医師2人を手配してくれたのはベルトルドらしい。そして、エグザイル・システムが安全に使えるように、正規部隊を動かしたのもベルトルドだという。

 召喚というレアな〈才能〉スキルを持っているとはいえ、キュッリッキは一介の傭兵にしか過ぎない。それなのにあんな大物が動いてくれた。


「感謝しかないよな、色々と」


 ハドリーの呟きに、ファニーも頷く。


「帰ったら新しい仕事見つけないとっ」


 ファニーは握り拳を作って気合を入れる。


「もう仕事行くのかよ…」

「あったりまえでショ。いっぱい貯金頑張らないと、でしょ?」

「まあなあ」

「あたしらみたいな平々凡々な戦闘〈才能〉スキルじゃ、大金が転がり込むような仕事は縁遠いじゃない」

「だよなあ」

「有名どころに誘ってもらえることもないし。だったら小口でもしっかりと働いて、貯金しないとね!」

「んだんだ」


 ファニーの言う通りで、大多数の傭兵たちは自分たちと同じような境遇なのだ。

 ライオン傭兵団のように、後ろ盾もしっかりとしたトップクラスの傭兵団は稀な方なのである。仕事先で傭兵が怪我を負ったからといって、ここまでしてくれるところなど普通はないのだから。


(良いところに入れたな、リッキー。本当に良かった)


 ほっこりとした気持ちでそう思ったところで、一行の進みが止まった。ハドリーは止まりそこねて、ガエルの背中にぶつかってしまった。


「すまん」


 慌てて謝っていると、


「まどろっこしい!」


 と、副宰相が突然前の方で叫びだした。

 何事かと首をかしげていると、突然身体がふわりと宙に浮いた。


「あわわ、なになにこれ!?」


 慌てるファニーに、


「これでラクに漁港まで行けるぜ」


 ニヤリとギャリーが言った。


「オレら、ベルトルド様の超能力サイで浮いてるんだよ。1時間の道程がギューンと短縮するよ~」


 そうニッコリとルーファスがファニーに笑顔を向けた。


「へ?」


 それと同時に、浮いた姿勢のまま、いきなり前方に加速した。




 それは、何度か乗ったことのある汽車のようだ、とファニーは思った。


「ヒあああああっ!」


 悲鳴に尾ひれが付きそうな勢いで、しかし身体はグラリとも揺れない。浮き上がったままの姿勢で飛んでいた。

 何かにしがみつきたくて手を動かすが、空をカラカラからぶるだけだ。


「不安なら、オレが抱きしめててあげるよ~、ファニーちゃん」


 前の方でルーファスが両腕を広げている。


「い、いえ、ケッコーです…」

「えーっ」


 物凄くイヤそうな顔で拒否られて、ルーファスは肩を落とす。


「それにしても、凄いですね」


 目を丸くしているハドリーに、ギャリーが笑いかける。


「あの御仁はのんびり歩調で仲良くピクニック出来る柄じゃねえからな。早くイララクスに連れて帰りたくて急いでる。まあ、オレらはオマケだけどな」

「確かに…」


 人が群れててベルトルドの姿は見えないが、こんな速さで飛んでいて、キュッリッキは大丈夫だろうかと顔をしかめる。


「大丈夫だよ」


 ルーファスにウィンクされて、ハドリーは苦笑った。


「ベルトルドさまー、空間転移でキューリさんだけでも連れていけないんですか?」


 ハーマンが大声を上げると、


「できん」


 そう短く返事が飛んできた。


「空間転移は物凄く精神力を必要とするんでな、リッキーにかける防御を保てる自信が流石にない。己の未熟が口惜しいが、安全第一だ」


 魔法と超能力サイは異なる。魔法〈才能〉スキルを持つハーマンには、超能力サイがいまいち理解出来ていない。どういうものか知識だけしか知らないのだ。


「具体的に防御って、どんなことするんです?」


 ハーマンが食い下がると、


「ルー、貴様が懇切丁寧に説明してやれ。俺が採点してやる」


 そう突っぱねられた。

 ハーマンは首をすくめ、そしてルーファスを見る。ルーファスは苦笑を浮かべて頷いた。


「魔法は魔力を使って、無から有を作り出せるでしょ。でも超能力サイはそれができないってことは知ってるよね」

「うん」

「魔法って、魔力を呪文でその魔法の形にするじゃない。その時魔法は、魔法使いから切り離されるだろ。でも超能力サイの力は自分の精神力を源とするから、防御って形を取っても、念力を使っても、ずっと繋がってるんだよね自分と。今オレたち、ベルトルド様の超能力サイで飛んでるけど、これってベルトルド様にお姫様抱っこしてもらってる感じ」

「気味の悪い表現をするな!」


 ベルトルドの怒号が飛んできて、ルーファスはエヘヘッと笑う。


「防御に使おうとしている精神力は、魔力で言うとねえ……イラアルータ・トニトルスを100回撃つようなレベルかな」

「ウゲ…」


 それを想像し、ハーマンの顔が歪む。それはものすごく判りやすい。


「キューリちゃんに張ろうとしている防御は、物凄く繊細なものになる。転送の時の負荷を寸分も与えないためにするから。それを維持し続けるために、その倍も精神力が使い続けられるんだ」


 魔法だとなぜ同じことができないのかは、ルーファスも知らない。判る者は、この時代にはいないようだった。


「だから、空間転移と防御と維持の3つを一度に使うのは、ベルトルド様が2人はいないと難しいかな~ってことだよ」

「幼稚な説明だが、及第点をやろう」

「ありがとっす!」


 ルーファスは首をすくめ恐縮した。


「そっかあ、魔法と違って張ったらほったらかしにはできないんだね」

「だね」

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