第18話 陽動・救出部隊の戦場・1

 太陽が西に傾きかけた頃。

 かろうじてそれが建物である、という程度に原型をとどめた遺跡に、しなやかな影がひらりと舞い降りた。シルエットはネコの耳と尻尾を象っていた。


「おっつつ、ペルラ。どうだったよ?」


 柱のひとつにもたれかかったまま、ギャリーは戻ってきたペルラに声をかけた。


「西の方にある軍事施設の一つに拘禁されていた。取り調べを受けながら、VIP並に厚遇されてる。1人だけ救出ならともかく、今のままだと5人は無理」


 ペルラは細い肩をすくめ、気位が高そうな尻尾をユラユラと揺らした。


「そっかあ……めんどくせぇ」


 ギャリーはカシカシっと髪を掻き毟ると、海を眺めていたシビルを手招きした。


「カーティス呼び出してくれ」

「あいよ」


 シビルは肩に乗る小鳥を掌に乗せて、小鳥の頭を優しく3回叩く。キュッリッキから渡された連絡用の小鳥だ。見た目は黄色い羽根のルリビタキのような姿をしている。


<はいはい、こちらカーティスです>

「ペルラに偵察してきてもらったんだが、あまりにも警備が厳重すぎて、こっそり頂戴作戦は無理ぽそーだぜ」

<やはりそうですか…>


 ソレル王国に不当に拘束された皇国の研究者たちを救出するため、カーティスとギャリーはそれぞれ仲間を率いて二手にわかれて機会を伺っていた。カーティスは陽動部隊の指揮、ギャリーは救出部隊の指揮だ。

 手当たり次第闇雲に関連施設を襲わなくて済むように、ギャリーは偵察の得意なペルラに現地を探らせに行かせていた。

 あまり大事おおごとにすると後々面倒なので、無用な戦闘を避け救出に専念したいところだが、そういう状況ではないようだった。


「そーいやブルニタルから連絡があったが、あっちはとっくに終わってるそうじゃないか」

<そうなんですよ。先ほどベルトルド卿からも「早くしろ!」とケツを蹴られた次第です>

「げっ……」


 その場に複数のため息が流れた。現場を知らず早くしろとせっつかれても困るところである。もっとも、その場にベルトルドがいたら、一人で全て片付けてしまうだろう。もちろん、問答無用の大破壊で。


「市街地戦になっちまうよな。動きの悪すぎる研究者5名抱えて、ナルバ山までトコトコ走っても半日はかかるだろ。どうするよ」


 ギャリーはかったるそうに、小鳥の向こうにいるカーティスに投げかける。


<助けるのはいいんですが、逃げる時なんですよねぇ…>


 逃走手段の案に手詰まり、ギャリーとカーティスが同時に黙る。助けることはあまり問題ではないが、助けたあとの移動手段が大問題なのだ。ライオン傭兵団だけでならいかようにも逃げられるが、研究者たちが足枷になる。

 逃走手段はいくつか考えてきているが、予想以上にソレル王国軍が厚い。予定していた計画を実行するには危険すぎた。

 無言で唸るギャリーとカーティスの沈黙を破るように、小さく「あ」とマリオンが声をあげた。


「ねぇねぇ、キューリちゃんにSOSしよーよぉ~」

「キューリにこっちきてもらうのか?」

「いやいや。この小鳥をでぇっかくしてもらってさあ、逃げるときぃ、みんな乗ってサラバ!ってやれないかなあ~。だってぇナルバ山組は、おーっきな鳥に乗って移動もスイスイ~だったんでしょぉ」

「らしいけどよ、キューリここにいないのに、そんなことできるのか?」

「しぃらなあ~い」


 マリオンは間延びした声で無責任に言い放った。しかしカーティスはその案が気に入ったようだ。


<うん、そのアイデア悪くないですね。ちょっとキューリさんに聴いてみましょうか>




<キューリさん、キューリさん、聴こえますかー?>


 ブルニタルの肩に止まっていた小鳥が突然カーティスの声を発し、本に目を通していたブルニタルはギョッとして、まだら模様の尻尾を逆立てた。


「カーティスさん脅かさないでくださいよっ!」

<ははは。こりゃ失礼。キューリさん出してもらえますか?>

「はい」


 何事かとこちらを向くキュッリッキに、ブルニタルは小鳥を指して手招きした。

 キュッリッキはすぐに駆け寄ってくると、ブルニタルの傍らに座り込んだ。


「なあに?」

<ああキューリさん、実はちょっとお願いがあるのですが>

「うん?」

<今こうして通信用に使っている、私とギャリーの2羽の小鳥を、でっかくして遠隔操作する、なんて離れ業出来たりしますか?>

「できるよ」


 あっさりと即答されて、向こうのどよめく声が聴こえてきた。


<おぉ…それは助かります。で、どうすればいいでしょう>

「じゃあ……」


 顎に指を当てて天井を見上げ、キュッリッキは少しだけ考えるふうにした。


「小鳥は常にカーティスとギャリーに固定しておいてください。アタシは小鳥たちと視界をリンクするので、逃げる段階になったら小鳥を操作するね」

<なるほど、判りました。ではお願いします>


 通信が切れると、キュッリッキはブルニタルから小鳥を自分の肩に移した。


「ちょっと外で向こうの作戦のお手伝いするから、誰か護衛してくれる? 外の方がやりやすいの」

「俺とメルヴィンで見ていよう」

「了解です」


 ガエルとメルヴィンは立ち上がると、キュッリッキの後に続いた。




「だそうですので、逃げる準備は万全です」

<おっし、なら作戦開始するか!>


 ギャリーの声に気合が入る。「言ってみるもんだねえ~」とマリオンがのほほんと言う声も流れてきた。


「では……”遠慮なく暴れて助けてとんずら大作戦”、開始しましょうか」

<…その身も蓋もない恥ずかしい作戦名はヴァルトだな>

「当たり前じゃないですか。では、お願いしますよ」

<おっけー!>


 通信が終わると、カーティスは小鳥を肩に移しマーゴットから杖を受け取った。飾り気は一切ないが、呪文がびっしり彫り込まれた銀の杖である。


「ヴァルト、タルコット、ハーマンは大いに暴れてください。ルーファスは私とマーゴットの護衛です」


 了解、と各々から声があがる。


「強化魔法を掛け終えたら、開始しますよ」


 銀の杖がゆるやかに光りだす。呪文の詠唱は一切しない。強化魔法の呪文は全て杖に彫り込んであるため、詠唱を必要としないようになっていた。


「なあなあ、キューリが使ったみたいなチートサポートかけてくれ!」

「無理ですよ…」


 杖に意識を集中していたカーティスが、ガックリと肩を落とす。

 バチンと勢いよく掌に拳を叩きつけ、ヴァルトは眉をひそめた。


「クマ野郎に負けたくねえ!」

「ボクも負けるのは癪だな…」


 傍らで無表情に強化魔法を受けるタルコットに、挑発的な視線を向ける。


「タルコットにも負けないぜ俺様は!」


 肉弾戦になるヴァルトには、とくに念入りに強化魔法がかかる。ガエルと違って防御を気にしない性分のヴァルトは被弾も酷かった。後々のことを考えると手が抜けない。

 タルコットは身につけている漆黒の甲冑に、幾重にも防御魔法が埋め込まれた特注品なのもあり、ある程度は自分でやってくれる。

 ふうっと息を吐き出し、カーティスは銀の杖を下げた。


「強化完了です」

「よし、いくぜ!!」




* * *


 ソレル王国首都アルイールは海岸沿いに建てられ、人口70万人ほどの賑やかで大きな街だ。しかし街の中には多くの遺跡が存在していて、その合間を縫うようにして家屋が建っている。雑な街の景観より、遺跡の保護を謳う国らしい街並みだ。

 都市の中央には小高い丘があり、優美な宮殿が建っている。ソレル王国を建国したメリロット王家のものだ。その王宮の丘から西の方角に、軍事に関する施設がある。やはりここも遺跡をまたぐようにして建物がバラバラと建っているので、どこかまとまり感を欠いた雰囲気が立ち込めていた。

 左右を遺跡に囲まれた、広大な敷地に建つ軍の収監施設の周りは鉄柵で覆われ、囲いに沿って所狭しと銃兵たちが並んでいる。そして敷地内では白い漆喰を塗り固めた石造りの2階建ての建物の周りに、剣を帯びた茶色い甲冑をまとった兵士たちがびっしりと埋め尽くしていた。

 そして施設周囲の木や建物の上には、狙撃専門の銃兵たちも配備されている。施設前の路上には、身動きもままならないほどの銃兵、魔法兵なども配備されていた。

 敷地の中、外回りなど合わせ、約3個中隊ほどの大人数である。厳重に輪をかけた重厚な警戒態勢だ。

 夕刻になり蒸し暑さが多少緩和され、海風がそっと吹き抜けていく気持ちのいい街中に、突如耳をつんざく爆音が轟いた。

 密集した兵士たちの間に、突如複数の火柱が無造作に立ち上がったのだ。魔法〈才能〉スキルを持つハーマンが放った、火炎系攻撃魔法【ギガス・フランマ】だ。

 巨大な火柱は兵士たちを無差別に飲み込み焼き尽くす。あまりに突然起こった出来事に、兵士たちは狼狽し騒然となった。

 火柱で騒ぎになっている場から少し離れたソレル王国兵たちの上に、ふわりと真っ白な羽根がいくつも舞い降りてきた。


「オラオラいくぜテメーら!!!」


 ざわつく兵士たちに劣らぬ大声を張り上げヴァルトが天から降下し、密集する兵士たちのど真ん中に拳を叩きつけた。地面はベコッとめり込むと、亀裂を生じながら巨大なクレーターを作った。土埃が盛大に巻き起こり、砕かれた石つぶてが風に乗り兵士たちに当たる。そして衝撃に巻き込まれた幾人もの兵士たちが、豪快に吹き飛ばされた。

 格闘系複合〈才能〉スキル を持つヴァルトは、肉体を操作して拳のパワーを高めていた。更に落下していくスピードと強化魔法の恩恵を受けて、通常よりも強力な破壊力を生み出している。


「アイオン族だと!?」


 拳圧でおこった風でよろめきながら、中隊の指揮官が叫んだ。いきなり降って湧いてきた見ず知らずの男にも驚いたが、その背には巨大な白い翼が生えている。

 気位の高いアイオン族が惑星ヒイシで翼を広げる姿なぞ、滅多に見られるものじゃなかった。


「おめーら全員、俺様がぶっ飛ばす!」


 片手を前方につき出すと、掌を上に向けてクイクイッと誘うように動かし挑発した。

 あまりに不遜な態度である。気位が高いというより”ただ偉そう”といった態度だ。


「アレを撃ち殺せ!!」


 声を裏返らせた指揮官の合図で、一斉にヴァルトに向けて砲弾が飛んだ。

 ヴァルトは巨大な翼を瞬時に前方で交差させて防御する。無数の砲弾は翼に触れるか触れないかの、スレスレの宙でピタリと止まった。


「返す」


 翼が力強く広がると、砲弾が凄いスピードで打ち返され、前方の銃兵たちが一斉に吹っ飛んだ。

 腕組をしてその様子を見ていたヴァルトは、ハッと顔を上げた。


「あー…砲弾で倒しちまった」


 ヤッチマッタという表情かおで頬をぽりぽり掻いた。そして前方に人差し指を突きつけると、


「おめーらのせいだかんな!!」


 と大声で怒鳴る。

 あまりの展開に、そして意味不明の言いがかりを受けて、中隊指揮官は鼻白んだ。


「なんなんだあれは…」


 どよめきはいっそう増し、ふいにヴァルトの背後にいた兵士たちが銃を構えた。だがその兵士たちが発砲することはなかった。

 粘り気を帯びたズルリと嫌な音をいくつも発し、腰の上の胴がバラバラと床に転がったからだ。

 下半身だけになった死体は勢いよく血を噴射すると、血飛沫を撒き散らしながら奇妙なバランスでその場に立ち尽くしていた。その惨状を見た周囲の兵士たちから、恐怖に引き攣れたような悲鳴が上がる。


「こっちくんなよ」


 背後に気配を感じ、ヴァルトは不機嫌な声をかける。


「ちゃんと見ていたからな。アレは、カウントに入らない」

「ちぇっ」


 頭髪と身につけているものは全て漆黒。夕闇の中でも妖艶に浮かび上がる白い顔が、ニヤリと美麗な口元に広がった。

 ライオン傭兵団の名物の一つ、美人双璧と言われるタルコットだ。ちなみにもう一人はヴァルトである。

 タルコットは手にしていた真っ黒な大鎌を軽くひとふりすると、ヴァルトと背中合わせに立つ。


「敷地の外と中、どっちがいい?」

「なか」

「では、ボクは外をやる」

「おう」




* * *


「あひゃひゃ、死体処理が大変そーだねえ」


 走りながらマリオンがのほほんと呟くと、ギャリーが大笑いした。


「こんだけ動員したソレルが悪いんじゃね」

「まあ…手を出したのはソレル王国側ですしね…」


 シビルがマリオンの腕の中でぼやいた。

 ギャリーとペルラを先頭に、マリオンとシビルがあとに続く。

 先を走るペルラとギャリーが、短剣を使って器用に兵士たちの喉元を裂いて倒していく。

 カーティスら陽動部隊が始めた戦闘の騒ぎに乗じて施設への侵入を果たすため、手薄なところから建物を目指していた。

 3個中隊もいるので、騒ぎの中心から外に向かうほど手薄にはなっていく。建物を守る兵士たちはその場を動かず警備しているので、見つかれば戦闘をしないわけにはいかない。ヴァルトたちもまだこちらまでは進められていないようだ。


「体力温存しときたいな。マリオン」


 一旦止まると、ギャリーはマリオンを振り返った。


「おっけ~い」


 シビルが腕から飛び降りると、マリオンは腰に下げていた小さな竪琴を取り出す。


「いっくわよ~ん」


 軽く弦をつま弾くと、マリオンを中心にして目には見えない音の波が、円を描くようにして広がった。すると周囲に配備されていた兵士たちが呻き声をあげながら、急にバタバタと倒れだした。

 倒れた兵士たちは皆、耳から血を流し白目を剥いている。中には泡をふいている者もいた。

 楽器の音と超能力サイを合わせた、広範囲に影響力のある音波攻撃である。


「鼓膜が破れる音波攻撃アイロニック・ディザスターもういっちょ~」


 マリオンは更につま弾いた。

 マリオンたちの位置からは見えない箇所にいる兵士たちも、次々と倒れた。


「風がいい具合に吹いてて、音が乗るねえ」


 マリオンはのんびりとした表情で微笑んだ。


「ふぅ……」


 ため息をつくと、シビルは木の杖を下げた。


「確かに凄い攻撃力ですね…。ただ、敵味方おかまいなしに攻撃するのだけは、勘弁して欲しいかもです」

「都合よくわけらんなくってぇ~、サーセンっ」


 本人が言うように、力を発する時には判別しながら攻撃はしていない。というより、広範囲に影響する音波攻撃アイロニック・ディザスターを使う場合は判別できないらしい。それが判っているので、シビルが魔法で仲間たちを防御まもって無事だった。


「まっ、そのためにシビルがいるわけだしな!」


 ギャリーはシビルの頭をガシガシ撫で回す。帽子が着崩れて、シビルは文句を言いながら小さな手で直す。


「いくぞ」


 辺りに敵の気配がないことを確認して、ペルラは首をクイッと建物に向ける。


「おう」


 倒れた兵士たちを遠慮なく踏みながら、一同は建物に侵入した。




* * *


「俺たちは寂しく、仲間の援護射撃」


 ザカリーの独り言に、ランドンが頷くようにして同意した。

 収監施設から1000メートル以上も離れた遺跡の上に座り、ザカリーは巨大な銃を構えていた。その傍らに立ち、ランドンが収監施設の方角に視線を向けている。

 海の彼方に陽が沈んでいく様を眺めながら、喧騒とは隔絶された静かな環境の中に2人は居た。

 現地から遠く離れた場所から、仲間たちを確実に援護する役目を2人は担っている。

 ランドンは魔法〈才能〉スキルの持ち主で、繊細で緻密な魔法を扱うことに最も優れている。今はザカリーの視覚とリンクして、ザカリーよりも的確に、魔法の力で索敵をしていた。


「ヴァルトの南側に狙ってるのがいる」

「らじゃー」


 ザカリーは無造作に銃身の向きをずらせる。この巨大な銃には照準器がついていない。ライフルのような形状をしているが、およそ標準的なサイズを超えている。夕闇の中でも淡い光を浮かび上がらせる銀で出来ていた。


「俺のバーガットちゃんの破壊力は、ちょー凄いんだぜ~」


 ランドンの言った方角を、正確にザカリーは見ていた。

 至近距離で見ているのと変わらぬくらいの視覚で、1000メートル以上も離れた位置のソレル王国兵を見ている。戦闘の遠隔武器系〈才能〉スキルを持つ者の特徴だ。視覚の距離は自らの意思で調整できる。

 ヴァルトに狙いを定めているソレル王国兵は5名。


「そらよっ」


 ザカリーは銃口を定めて引金を3回連続で引いた。

 銃口からは見えない何かが飛んでいった。目の良いものなら、螺旋を描く僅かな空気の揺らぎが見えただろう。

 一直線に飛んでいった何かは、射線軸にいる3人の頭部を一瞬で貫き、3人から離れて並ぶ2人のソレル王国兵たちの後頭部をそのまま貫いた。撃ち抜かれた5人のソレル王国兵は、若干のタイムラグのあと無残にも頭部が爆ぜる。

 頭を吹き飛ばされたソレル王国兵たちの胴は、ぐらぐらりと左右に揺れると、そのまま平衡を失って木からずり落ちていく。

 それは魔弾と呼ばれる、魔力の塊を弾にしたものだ。魔法使いたちだけが作り出せる特殊なその魔弾を撃ち出せるのが、バーガットと呼ばれる特殊な銃だった。


「ほい、5ちょあがり」


 ザカリーは満足そうにニヤリと笑った。そんなザカリーの様子には頓着せず、ランドンは感情に乏しい表情のまま次を示した。


「東のタルコットのほう」

「おうけい」




* * *


 飛んでいってしまったヴァルトの消えた空を見上げ、カーティスとルーファスは呆けた顔のまま肩を落とした。


「これじゃ、オレたちも敵の只中に突っ込まないと、援護できなくね?」


 腰に両手をあてて、ルーファスは空を眺めたままぼやく。一方カーティスは額をおさえて「マジ勘弁」といったように頭を振る。


「こうなったら、初めからヴァルトなんてウチには存在しなかった、と記憶を改竄するしかありませんね」

「それか天に帰って星になった、でもいいな」


 タルコットとハーマンは、各々防御をしながら対処できるので自由行動に任せたが、大問題はヴァルトだ。

 とにかく防御をしない猪戦闘をするので、かけた強化魔法の強度がすぐに崩れる。なので自分から離れないようにと言い含めていた矢先に、翼を広げ元気よく飛んでいってしまったのだった。


「面倒ですが行きましょうか、2人とも…」


 ゲッソリとカーティスに促され、ルーファスとマーゴットはヤレヤレと頷いた。

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