第13話 「戦いが終わって」

ピアツェンツア王国王城攻防戦とアスティ城塞の戦いから半年が経過した。


一連の裁判は終わり、首謀者の1人元アスティ公爵イタロは死罪。

王都郊外の丘の上で公開でのギロチンでの斬首刑が執行された。


丘の周囲には5000人を超える民衆が詰め掛け国と神に背いた大罪人の処刑を見守った。


イタロは最後まで「私は魔族に騙された!騙されたんだーー!」と主張していたが、

イタロ本人が傭兵ギルドから傭兵を募った事実に加えて自分の側近をアスティ城塞へと送り込んだ事も判明しており擁護の余地など殆ど残されていなかった。


そんな中、国選弁護士は苦肉の策で彼が選民思想に取り憑かれたのは妻の病死が原因だと弁護をしたが・・・


妻の死後すぐに複数人の愛人を囲う。


病床に着いて居た妻の看病など一切していない。


などの証言が息子達から飛び出すなどして苦しい裁判となった。


そして・・・


妻の死の間際にイタロが珍しく病床に来て、痩せ細った妻に対して、

「何だ?随分と醜くなったな?お前」と一言だけ言って愛人の元に向かったのだと言う。


「その時に「彼」とはもう「赤の他人」だと思いました」そうマッテオは証言をした。


証言台に立ち自分に不利になる証言ばかりする息子達を憤怒の表情で睨み付けたイタロだったが、3人の息子達は最後までイタロと目を合わせる事は無かったと言う。


そして裁判も大詰め敗訴が目前に迫ると、イタロを哀れだと思った弁護士が、

「貴方達の父親が重い処罰を受ける事に対して何か思う事は有りますか?」

とグリードの情に訴える質問をすると・・・


「いえ特には・・・私達兄弟は「彼」では無く、エヴァリスト宰相閣下に育てられたので」

淡々と話す長男グリードの他人事な言葉を聞き、イタロはその場で膝から崩れ落ちて全てを諦めたのだ。


父親として家族に何一つして来なかった男の哀れな末路であった。


そしてイタロに協力した貴族達の軒並みが貴族の身分剥奪の上での犯罪奴隷落ちと言う処分になったが自らで希望した複数人には服毒での自殺が認められた。


積極的に協力はしなかったが計画を知りながら通報もしなかった者達も降爵や役職剥奪などの厳しい処分が下された。

貴族としての最低限の責務を放棄したと見なされたからだ。


アスティ公爵家に関しては息子達が積極的に王家に協力した事で当代のグイードは男爵へ降爵となったがその子供には公爵位の復位検討の余地が残された。


次男のオスカルと三男のマッテオは貴族の位を剥奪されたが、引き続き公務への参加は認められた。

起きた事柄を思えば破格の温情だった。


ちなみに裁判も終わり処罰も完了したドサクサに紛れて、

ひっそりと狸宰相エヴァリストが自分で勝手に自分への責任問題を作り上げてこっそりと宰相を辞任しようと企んだのだが、当然の様に国王と側近達に阻止される一幕があった。


「何でじゃ?今回の事は儂の不徳による所が大きいのではないか?」

必死に自分の罪を各所に訴え出たエヴァリストだったが・・・


「はいはい、良いから良いから、私と一緒に執務室に戻りましょう閣下」


「またまたー、冗談が過ぎますよ閣下」


誰もが皆んなで冗談だと言い笑顔になって相手にもされなかったのだ。

と言うか完全に「長老」の扱いである。


仕方ないので置き手紙を残して荷物をまとめて自分の領地にトンズラしようとしていた所を発見されて、やっぱり衛兵2人に連行されて自分の執務室へと戻って行ったエヴァリスト。


エヴァリスト大公爵閣下の宰相職継続決定である。


そしてヤニック国王は戦闘開始時から裁判終了までの間、終始に渡りかなり頑張って働いたのだが、

案の定、王妃ファニーの陣頭指揮の方が目立っていた。

しかし見てる人はしっかり見ているから頑張れ!ヤニック国王。


誤解が無い様に改めて説明をしておくと、ヤニック国王はかなりの名君でエヴァリスト宰相と王妃ファニーが目立ち過ぎてるだけである。


「だから!それじゃいかんだろ!」とエヴァリスト宰相は辞任しようしているのだが、

毎回、当のヤニック国王に阻止されている。

自分の名声とかより国家運営を第一にしっかり行動してるのも英傑たる所以である。


今回の魔族の敗戦はヤニック国王の力量を過小評価したのが大きな原因だ。


勇者側の徹底した身元の隠蔽工作により、黙示録戦争で魔族と戦った「神虎」とヤニック王が同一人物だと思ってもおらず、ヤニック王の力量を測り間違えたのだ。


唯一、オーウェンだけが直接ヤニックの顔を見てヤニック王が「神虎」だと分かったのだ。


つまり現在のピアツェンツェア王国の王家は誰もが歴史に名を残せるほどの英傑が集まった歴代最強の王家なのだ。




そして・・・・もう一人の英傑、王妃ファニーは?


何と?!王妃ファニーが単身で龍都まで出向いて来て地龍王クライルスハイムに直接謁見を申し出て来たのだ!


根性の塊の様な女性なのは分かっていたが、まさかここまでの行動力が有るとは誰も思わず地龍王クライルスハイムも、

「「う・・・うむ、そうか会おう・・・」」と面を食らっていた。


そして急遽、地龍王クライルスハイムとピアツェンツア王国の王妃ファニーの直接会談が行われた。


ファニーの凄い所は伝手の有る、地琰龍ノイミュンスターも地凱龍スカンディッチも通さずに本当に1人で龍都に訪れた事である。


王妃ファニーは「人に頼み事をするのに人伝ではいけません!」と常々他人に対してそう言っていたので本当に「有言実行」したのだ。


このド根性極まる行為によって地龍王クライルスハイムの王妃ファニーへの評価が爆上がりしたのは言うまでもない。


「ここここここの度びびははは、ききき急ななななももも申し出ををを!

ううう受けてくくくく下さりききき恐悦至極にごご御座いまままつ」


「「王妃ファニーよ・・・まあ緊張せずに楽にするが良かろう。

そう緊張されては我も話し辛いゆえな」」

緊張しまくり、噛みまくりの王妃ファニーに苦笑するクライルスハイム。


既に王妃ファニーの事を認めているので地龍王クライルスの声色はとても優しい。

そして地龍王が人間を「固有名詞」で呼ぶのは自分と対等と見ている証拠である。


なのでこれは「会談」であって「謁見」では無いのだ。


「ははははいいい」


余りにも緊急する母を見兼ねてファニーの隣に立っていたシーナはファニーを手をギューと握ってニッコリと微笑んだ。


「しししシーナ??」


「おかーさん大丈夫だから、アタシが付いているから落ち着いて?ねっ?」


「シーナぁあ・・・」娘の優しさにより徐々に落ち着きを取り戻すファニー。

ファニーが完全にビークールするのを待って会談は開始された。


「「王妃ファニーよ、要件は大体察しておるが・・・今日はいかがしたのだ?」」

地龍王は、多分ファニーはシーナを返して欲しいと言うんだろうなぁと思っている。


そして予想通りに、

「娘を保護して頂きながら、誠に勝手なお願いだと重々承知しておりますが・・・

シーナを我が国の王女として復帰させたいのです!」

地龍王に予想通りの願いを伝えて来るファニー。


「「ふむ・・・そこは我としては問題ないのだが・・・シーナよ?

お主はどう思っておるのだ?」」

王女に戻るもここに留まるのも全てはシーナの思い次第だと思っている地龍王。


「え?アタシは龍戦士になりますよ?アタシ言ったよね?おーとーさん」

シーナがアッサリと母の願いをぶった斬ったーーー?!


「ガアアアアンンン?!・・・って?!龍戦士ぃーーーーー?!?!」


「うん!おかーさん!アタシは「龍戦士」になって皆んなを守るの!」

ググっと両手の拳に魔力を込めるシーナ。


シーナが最初、「戦士になりたい!」とか言い出した時はどうなるかと思ったのだか、

シーナは「神虎ヤニック」と「戦乙女の英雄ファニー」の娘、戦闘における潜在能力は物凄いモノが有ったのだ。


エレンと、たった数ヶ月の訓練をしただけなのにメキメキと武道の才能を開花させてエレンも驚愕しているのだ。


地脈の力に溢れている龍都に居るせいなのか身体もドンドンと地龍化しており、最早「人間」とは言えない存在になっている。


「だっ!ダメです!ダメですわシーナ!女の子が戦士だなんて?!」

えっ?!ファニーがそれを言っちゃうの?


「え?だって「おかーさんは戦乙女の英雄」だよね?

娘のアタシもおかーさんに見習います!そして英雄を目指します!」

そりゃ当然、こう返されるわな。


「ガアアアアンンン?!?!」

自分自身の栄光ある過去に見事に狙撃された王妃ファニーだったのだ。

確かにファニーがそれを言っても何の説得力も無いのだ。


「「まあまあ、ファニーよ。

いずれにせよ、自分の身を守るのに戦闘の技術を取得しておくのは悪い事ではあるまい?」」

娘にアッサリとぶった斬られた母の援護射撃を始める地龍王。


地龍王的には、やはり子は親と住むのが一番だと思っているので、この件ではファニーの味方なのだ。


この後も話し合いは続いたのだが、結局の所で説得力の弱いファニーの提案ではシーナの心は動かず、シーナは引き続き龍都に留まり修行をする事に決まった。


「あうううう・・・・」


「「ま・・・まあ、気を落とすでない」」


ピアツェンツア王国の王家の総意としては、王家に対する反乱思想を持つ貴族達が一掃されたこの機会に当然シーナを第一王女として帰属させたかったのだが・・・


シーナ自身がそれを拒否してしまったので本人の気が変わるのを期待して保留状態になってしまった。


「「ふむ・・・ファニーよ。

今日はここに留まり、シーナとゆっくりとするが良かろうて」」

落ち込む王妃ファニーが可哀想で一晩母娘で過ごす事を提案する地龍王。


「はい・・・申し訳ありませんが、そうさせて頂きます・・・」


「やったー!おかーさん!今日は一緒に寝れるねっ!」


「し・・・シーナぁああ!!」


母のお泊まりを知り、めちゃくちゃ嬉しそうな娘を見て一気に気分を向上させる現金なファニー。

結局、ファニーは龍都に6日間も留まって娘とイチャイチャしたのだった。


そして王妃ファニーが誰にも何も告げずに突如として城から行方不明になって、

地琰龍ノイミュンスターから「ファニーの奴はなんか龍都におるらしいぞ?」

との手紙がヤニック王に届くまでの間、ピアツェンツア王国王城が右や左や上だ下だと天地をひっくり返す大騒ぎになっていたのは言うまでもない。


そして、シーナ成分を補充してツヤツヤ顔で帰国した王妃ファニーは激オコのヤニック王に強烈なお仕置きされたのだった・・・

お仕置きの内容はとてもでないがここでは書けません。

ここではない何処かネタ切れで停滞している世界で書くかも知れませんが。




王城攻防戦後の全体的な世界情勢としては西の大陸でヴィグル帝国とゴルド王国で覇権を賭けての戦争が激化する。


それに便乗して西の大陸進出を目論む魔族がゴルド王国との同盟を破棄してゴルド王国西部へと侵攻を開始。


そこに「はぐれ龍種」も介入を開始して西の大陸はかなり酷い混乱の様子だ。


そんな情勢なので近々、経済的に協力関係に有る、ヴィグル帝国からピアツェンツア王国へ本格的な派兵要請が来るだろう。


現時点でピアツェンツア王国とヴィグル帝国は軍事同盟の関係の間柄では無い。

水面下での軍事同盟交渉が始まるだろう。


ヤニック王の方針としては「まだ時間を稼ぎたい」である。

当面はゴルド王国の方にも上っ面だけは良い顔をするつもりだ。


現在急ピッチで整備中の海上戦力が整った時点で一気にヴィグル帝国との同盟を加速させてゴルド王国を討つ作戦だ。


同じ西の大陸に存在する天龍達の「天空城」は完全に静観している。

まるで魔族によるピアツェンツア王国への攻撃は無かった様な動きだ。


以上の点からも今回の魔族軍によるピアツェンツア王国への侵攻ではかなり妙な点が多いのだが、詳細な情報を持つ者全てを天舞龍リールが消し飛ばしてしまったので色々な点が不明なままなのだ。


おそらく、その様な事情もあり「天空城」は静観しているのだろう。


南の大陸と東の大陸の方は相変わらず動き無し。

裏では動いているかも知れないが、大きく軍勢が動いている形跡は一切見当たらない。


ただ、ラーデンブルク公国の艦隊による海上封鎖が厳しくなっている。

しかし彼の国は鎖国状態なので何も不思議な事ではないのだが・・・


エルフの女王のイリスの身に何かが有ったのかも?と噂されている。


一方で中央大陸方面では西の大陸の動乱に触発されたのか、東部地方の諸国で小競り合いが始まっており「グリーンランド共和国」が周辺国に圧迫されて始めている。


同盟国のピアツェンツア王国を巻き込み新たな火種が発生している。


この件ではエヴァリスト宰相が対応しており、彼の「引退」の夢はドンドン遠ざかって行っている状態だ。


この様に大国ピアツェンツア王国も多方面作戦を強いられており、世界は平穏とは程遠い状況なのだ。


後の世で「第四次世界大戦」と位置付けられている時代に突入したのだ。




そんな中でのシーナの現状は「龍都」にてエレンと修行に明け暮れている。


シーナの上達ぶりは目覚ましいモノがあり、もう少し修行をすれば地龍王クライルスハイムとの修行を開始出来るだろう。


その他には天龍に降伏した魔族のオーバンはトムソン鍛治店で鍛冶工として働いていており、

オーバンを捕らえた天龍レンヌとも結構上手く行ってる様子だ。


土竜のガイエスブルクはリハビリがまだ必要で、たまに天朱龍ニームがやって来て付きっきりで世話している。

どうやらガイエスブルクはニームの「弟」的なポジションになったらしい。


そしてアスティ城塞を吹き飛ばした天舞龍リールは・・・

天空城にて改めてアスティ城塞の一件で天龍王アメデにめっちゃ怒られて始末書の作成中だ。


他には「勝手な捕虜の移送」の件も天龍王にアッサリとバレた。

その為に始末書の量が増えたのは言うまでもない。


「「何でよおおお??!!」」

天舞龍リールは泣いているのだが逆に何で怒られないと思っていたのかが不思議だ。


没落貴族のマッテオはアスティ公爵家再興の為にエヴァリスト宰相の指示の元、次兄オスカルと共に日々国内を飛び回っている。



そんな中でシーナは運命的な出会いを果たす。


無性に育ての親の地琰龍ノイニュンスターに会いたくなったシーナはトムソン鍛冶店に帰宅した。

すると見た事の無い人物が居たのだ。


「おや?君はもしかしてシーナかな?」

店に入って来て、「ジー」と自分を見つめて来る少女に話し掛けるオーバン。


「そうだよ?おにーさんは誰ですか?」


「お兄さんはオーバンって言うんだ、最近ここで鍛治工として働かせてもらっているんだよ」


「そっか!よろしくお願いします!オーバンさん」

新しく鍛冶店に雇われた人だと分かり安心したシーナ、彼の目を見ると嘘を言ってないと感じたのだ。


シーナは見た目の雰囲気によらず、知らない者に対して結構強い警戒心を持っている。

見知らぬ人物と遭遇すると先ずは敵意がないか観察、次に嘘を付いてないかを観察する。


その的中率は脅威の100%で見事に「ユグドラシルの瞳」を使いこなしているのだ。


「ああ・・・そうだ。

多分、君も知らない「竜」もここに居るよ?中庭で寝てるから会って見ると良いよ?」


「うん!分かった!ありがとうオーバンさん!」

オーバンに手を振りながら中庭へと向かうシーナ。


中庭に出るとオーバンが言っていた通りに製鉄用の箱の中で寝ている土竜を発見する。

起こさない様にソロリソロリと近づくシーナ。

箱のすぐ近くまで来ると「ジー」と土竜の観察を始める。


するとシーナの視線に気が付いた土竜がパチリと片目を開ける。


ズッキューーーーンン!!!土竜と視線が合うとシーナの中に衝撃が走る!


「うえええええ?!何これーーー?!」


《おおお?!何だお前?急に大声を上げて?!》


今まで経験した事もない謎の衝撃に驚き大声を上げるシーナ、そのシーナの大声にめっちゃ驚いたガイエスブルク。


シーナがガイエスブルクに「一目惚れ」した瞬間である。


「わわわわわ??私はシーナです、ああアナタは・・・誰なのですか??」

訳が分からなくて混乱の余りに突如として口調が変わったシーナ。


《おっ俺?・・・俺はガイエスブルクだ。

ん?シーナ?ああ!お前がシーナか?師匠の娘さんの?》


「ががガイエスブルク・・・そうですか!ガイエスブルクですね!よろしくお願いします!」


今は「恋とは何か?」とは全然分からないシーナだったが、

「ガイエスブルクに会えた事がとても嬉しい」と言う感情が全身から溢れ出して満面の笑顔になるシーナ。


《ふあーーーー????》そのシーナの笑顔に見惚れるガイエスブルク。

間抜けな声を上げながらガイエスブルクもシーナに「一目惚れ」をしたのだ。


まだ幼い2人の恋が始まったのだった。




ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー




「うわああーーー!甘酢ぺえーー!甘酢ペエッス!バルドルさん!

いやー参ったねー、こんちくしょー」


「・・・・・・・・何を騒いでおるんじゃ?お主は・・・」


「いやー!若い子って良いよねー」


「・・・・・・・・お主もハイエルフの中では、まだまだ子供ではないか?」


寝たきり女王イリスの突然過ぎる妙なハイテンションに若干引く魔王バルドル。


「恋かぁ~・・・アレ?・・・・・・うーん??」何かを考え込むイリス。


イリスが何を考えてるか察したバルドル。

「・・・・・・・!!!」

思わず、「いや・・・お主は今まで一回も恋なんぞしとらんではないか?1000歳のくせに」

と言いそうになり思い切り息を飲んだバルドル。


前に似た様な事をイリスに言ってガチで攻め込まれた事が有ったのだ。


「それで?何が甘酸っぱいのだ?」

気を取り直してとりあえず話しを戻すバルドル。


「そうそう!シーナの運命の人が出て来たんだよー、凄く甘酸っぱいよねー」

颯爽と今までの流れを語り始める恋愛脳イリス。


「へー?」それに対して全く興味が無さそうなバルドル。

実際に人の色恋沙汰になんぞに魔王は興味は無いのだ。


その後、1時間にも渡りイリスから他人のしょうも無い様々な色恋話しを聞かされてウンザリした魔王でしたとさ。


《つーか、コイツこんだけ恋愛に憧れている癖に何で恋人作らんのだ?》

心の中でそう思ったバルドルだが、考えても分からんので考えるのを止めた。


様々な要因が揃い始めたが物語が動くのはまだ少し先の話しだ。

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