手こずる飯
皆様が思う食べるのに時間の掛かる食材は何でしょうか。
パッと思い付くのは焼き魚ですね。
魚の種類にも寄りますが、やはり小骨が多少煩わしいものです。
焼き鮭や干物なんかは比較的食べやすいですが、サンマや小鯛当たりは食べるのに時間が掛かりますよね。
他には手羽先も食べ慣れていない人には時間が掛かりますね。
骨をパキッとするとスルーンと食べれる様なのですが、これは玄人の技です。
同様にスペアリブも食べ難いかと思います。
これらも時間を気にしなくて良い環境でならば、何の問題もありません。
しかし時間の限られている仕事の日のお昼ご飯となると敬遠してしまいますよね。
骨や小骨と格闘して休憩が過ぎてしまったなんて事は避けねばなりません。
ついつい食べやすい物を選んでしまうのが人というものではないでしょうか。
とある日のお昼。
この日はいつもと違いました。
電子レンジからは何も出てきません。
その代わりにガスコンロに蓋の重い鉄製の大鍋が鎮座しておりました。
蓋を開け中身が平皿へと移されます。
そしてバターナイフと共にトレーに置かれました。
流石の慧眼ですね。
もはや脱帽の域ですよ。
その通りです。
殻付き牡蠣です。
蒸された殻付き牡蠣が皿の上に乗っていたのです。
バターナイフでこじ開けろという事ですね。
分かっています。
とんでもないご馳走です。
有り難いではありませんか。
当時の母には元内縁の夫なる人物と別れた後も付き合いがありまして、その人物の実家が送って来た新鮮で大ぶりでそれは大層立派な牡蠣が私の為に蒸されていたのです。
私は有り難く頂きます。
バターナイフを差し込みテコの原理ですよね。
知っています。
はい、分かってますよ。
あれ、おかしいな。
何処の隙間にも刺さんないけど。
えっ、まじか、硬くて刺さりそうにないけど。
私は何とか時間内に一つ食べる事が出来ました。
手を合わせて「ごちそうさま」と言うのでした。
*殻付きだから勝手に新鮮だと思い込んでいたようです。冷凍期間の長い二枚貝は開かない模様。
当時の私の心情をそのまま表現する為に、本文は変えずにいこうと思います。
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