再びのぶっ刺され飯

 何故「ぶっ刺され飯」なのだろうか。

どうして「ぶっ刺し飯」では駄目なのだろうか。

御説明しなければなりませんね。


これは「刺す」側と「刺される」側が存在しています。

「ぶっ刺し」では余りにも刺す側にイニシアチブがありますね。


しかしどうでしょう。

刺される側は本当に刺されたいのでしょうか。

いいえ違いますね。

刺されなくて済むなら刺されたく無い筈です。

何故に刺されなければならなかったのかと、悔いて枕を濡らしてしまう事でしょう。


しかし圧倒的な彼我の差。

現実はかくも残酷です。


結果が変えられないのであれば、私はせめて刺される側の気持ちを汲んであげたい。

理由もわからず散っていった儚い命。

彼の墓標に刻む名を。


その思いから私は「ぶっ刺され飯」と名付けました。


 皆様はご自身がぶっ刺すなら何を白米にぶっ刺すでしょうか。


ここで重要な事は「ぶっ刺せる」かどうかです。

ぶっ刺せ無ければそれは除外して下さい。

乗っけ飯になってしまいますからね。

埋め込み飯も駄目ですよ。

明確に刺しましょう。


私だったら春巻き当たりでしょうか。

特段好きと言う訳ではありませんが、刺せる事とご飯に合う事を考えると妥当なチョイスです。


他には焼き鮭なんかも上手く刺せば刺さりそうですね。

そうですね。

博識でらっしゃる様だ。

ししゃもやめざし等は刺してくれと言っている様なものですね。

もちろん頭から刺すのが流儀でしょう。


なる程「ウィンナー」良いですね。

「限界飯」であり「ぶっ刺され飯」でもある。

センスが光ってますね。


確かに。

丸めればハムも刺せそうですね。

中心に何を巻き込むかでかなり楽しめますね。

発想力の柔軟さに感服です。

溜め息が溢れました。



 とある日のお昼。


いつもの様に電子レンジから小ぶりの丼ぶりが取り出されました。

そしてトレーに置かれます。


正直、一瞬何か分りませんでした。

殆ど色の差がありませんでしたから、何がぶっ刺されているのか理解するのに時間を要しました。


自分の状況把握能力の低さが出てしまいましたね。

お恥ずかしい話しです。


一目瞭然では無いですか。

この日ぶっ刺されていたもの。



それは。

ポテトフライです。

冷凍のポテトフライをトースターでカリッと焼いてそれをぶっ刺したのです。

本数にして七〜八本でしょうか。

丼ぶり飯を食べるには十分ですね。


惜しむらくは塩味が付いていない冷凍ポテトフライだった事くらいでしょう。

減塩はとても良い事です。

健康への気遣い痛み入ります。



私は手を合わせます。

そして「ごちそうさま」と言ったのでした。


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