ゾンビ

貰った煙草に火をつけた

いつもならハッカの煙を肺に入れるが

手元にないから仕方がないのだ

煙の味は変わらず乾いた油性ペン

苦く感じる子供舌から変化はないもの

苦味を無視することを常に僕は抱えている


吸い始めてからようやく一年

早いか遅いかよく分からない

ようやく、と言葉を選んだからには

きっと遅いと感じているのだ


時間の経過は

緩やかだったり

慌ただしかったり

手遅れだったり


手元に抱えることは出来ないもので

すべて熱でほどけては滴になる

煙のひとつも留めることは出来ないもので

残骸は自他とも認める悪臭のみ


それを好きとは言わないが

絆される時の思考の放棄は心地がいい


自分として行動できる代替が

世界に一つあればいい

自分を放棄して

他人に望まれる自分を

誰かがやってくれるならいいと思う


いつかはそんな薬ができればいい

その時人は死ぬんだろうが

無にいれば考えないからそれがいい

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