第二章: 凍てつく心

雪の降る東京の街は静かで、冬の寒さがより一層深まっていた。ユウキとマイの間には、前章での穏やかな時間から、少しの距離が生じ始めていた。


ユウキはマイへの想いを隠しながら、ますます彼女に近づくことを望んでいた。しかし、彼は自分の感情をうまく表現できずにいた。マイはユウキの変化に気づいていたが、何が原因なのかを理解することができなかった。


一方、マイには他の大学生、トモヤという名の男友達がいた。トモヤは明るく社交的な性格で、マイとは異なる大学に通っていたが、よく一緒に時間を過ごしていた。ユウキはトモヤの存在を知り、彼に対する嫉妬心を抱くようになった。


ある日、ユウキはマイとトモヤが楽しそうに話しているのを見かけた。その光景に心が痛んだユウキは、一人で思い悩むようになり、ますますマイから遠ざかっていった。


ユウキは自分の感情に苦しみながら、マイへの想いをどうすればいいのかわからなくなっていった。彼の心は凍てつき、孤独感が増していった。


その夜、ユウキは友人たちと飲みに行ったが、心はどこか別のところにあった。友人たちが楽しそうに話している中、ユウキの心はマイのことでいっぱいだった。


「ユウキ、最近どうしたの? いつもと違うようだけど」と友人の一人が尋ねた。ユウキは苦笑いを浮かべながら、「大丈夫だよ、ちょっと疲れてるだけ」と答えたが、その声には力がなかった。


数日後、ユウキはマイと図書館で再び会ったが、会話はぎこちなかった。マイはユウキの変わりように心配していたが、ユウキは自分の心を開くことができず、二人の間の空気は重くなった。


その日の帰り道、ユウキは雪が降りしきる中を一人歩いた。彼の心は寒さで凍えるようだった。ユウキは空を見上げ、「マイ、ごめんなさい」とつぶやいた。彼は自分の感情と向き合うことを決意したが、それがどれほど難しいことかを知っていた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る