第三章: ひそかな願い

ユウキの心はまだ凍てついたままで、東京の街は引き続き冬の寒さに包まれていた。しかし、彼の中にはあるひそかな願いが芽生え始めていた。


マイへの想いをどうにか形にしたいと考えたユウキは、彼女への気持ちを伝えるためのプランを練り始めた。彼はマイに対して直接的な言葉を伝える勇気がなかったので、まずは彼女に特別なプレゼントを用意することにした。


ユウキはマイの好きなもの、趣味、興味を思い出しながら、完璧なプレゼントを選ぼうとした。最終的に、彼はマイが以前に欲しがっていた珍しい本を見つけることに成功した。この本は、マイが尊敬する作家の初期作品で、彼女が何度も読みたいと言っていたものだった。


プレゼントを手に入れたユウキは、マイに渡すタイミングを待ちわびていた。一方で、彼はまだ自分の感情をどう伝えるかについては、不安でいっぱいだった。


その頃、マイはユウキの変わりように気づき、彼のことを心配していた。彼女はユウキに何か問題があるのか、それとも自分に何かしたのかと思い悩んでいた。


ある冬の日、ユウキはついにマイにプレゼントを渡す機会を見つけた。彼は、大学のキャンパス内で彼女に声をかけ、「これ、君にあげたいんだ」と言いながら本を差し出した。


マイは驚きながらも、嬉しそうに本を受け取った。「ユウキ、ありがとう。でも、どうして?」と彼女は尋ねた。ユウキは少し緊張しながら、「君が欲しいって言ってたから。それに、君のことが…」と言いかけたが、最後の言葉は言い出せずにいた。


マイはユウキの言葉に気づいたが、彼が何を言おうとしていたのかを確信できなかった。しかし、彼女はユウキの優しさに感動し、二人の間にある特別な絆を感じ始めた。


その日以降、ユウキとマイの間には、以前よりも暖かい空気が流れ始めた。ユウキはまだ完全には心を開けていなかったが、マイへの想いを少しずつ形に変えていった。


冬の寒さはまだ厳しかったが、ユウキの心の中には、マイへの愛が温かい光となって輝き始めていた。彼のひそかな願いは、まだ完全には叶っていなかったが、一歩前進することができた。

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