第3話 シャンギャンハダの戦い
「
サルフ・ジャイフィアンの戦いの翌日、旧暦3月2日。
「いかがなさいますか、閣下?」
幕僚の問いに、
「いかがするも何も……。我が軍の主力である
その血を受け継いで、
「
「これでは、騎馬による突撃は無理ですな。どうなさいますか、
ホンタイジに問われ、ヌルハチはしばし考え込んだ後、麾下の軍に命じた。
「まずは、あの丘を占領する。しかる後、下馬して敵陣に接近、これを突破する」
突撃速度は速くとも被弾面積が大きくなってしまう騎馬突撃よりも、下馬して遮蔽物に身を隠しながら接近し、敵陣に切り込む方が、火砲対策としては有効、というのは、
しかも今回、
まずは高所を占領してそこに陣を張り、じっくり攻めていくというのがヌルハチの方針、だったのだが――。
「阿呆! 蛮族どもの挑発に乗らず守りに徹せよと命じておったであろうが!」
部下の一部が、
野戦で
それがわかっているから、徹底的に陣を固めたというのに、これでは台無しだ。
一方、降って湧いた好機を見逃すようなヌルハチではなかった。
「全軍突撃!」
ヌルハチは即座に方針を切り替え、騎馬突撃を命じた。
この時、
「閣下、本隊の救援に向かわれぬのですか!?」
幕僚が血相を変えて詰め寄って来るのを軽く受け流し、
「ふん、あの文人気取りめ。自力で何とかするがいいさ」
虫の好かない
たとえ
しかし、ここで守りを固めていたところで、次の餌食となる順番を待つだけだ。
この場の大将たる
その報を聞いて、男はわめき散らした。
「
男の名はギンタイシ。ヌルハチによる
一度は和睦し、妹のモンゴ・ジェジェをヌルハチに嫁がせて、ホンタイジという甥も生まれているのだが、それも両者の確執を埋める助けにはならなかった。
今回、
実際の動員兵力はその半分以下と見ても、強力な火砲も装備した
「馬鹿々々しい! これ以上付き合っていられるか!」
ギンタイシはそう吐き捨てて、
ここでヌルハチ軍の背後を
「まだ終わってはおらぬ。
「ギンタイシめ、逃げおったか」
その報を聞いて、ヌルハチは口惜しそうに振舞っていたが、内心安堵もあった。
同じ
後回しに出来るならそれに越したことはない。
「首を洗って待っておれよ、ギンタイシ」
兵を交えずに済んだとはいえ、
義兄への憎悪を
残るは、
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