第14話 子爵家での結婚準備
数日後、約束通りバルトはラズリスをレストランに招待し、彼女の趣味の読書、バルトの剣術の話など色々お互いの話をし、親睦を図ることが出来た。
父親の伯爵とは違い、時には優しく相槌をうち話を聞いてくれるバルトに、ラズリスは好感が持てた。婚約中の貴重な時間だった。
伯爵指定の洋品店で、既製品を細かくサイズ調整したウエディングドレスは、レースやリボン、宝石などでリメイクしてあるので、仕立てたドレスと遜色はなく手の込んだ仕上がりとなっていた。王都でも優秀なお針子さんが10人程集まっての大仕事だったらしい。
ドレスだけではなく小物など全てが揃った。
伯爵家の財力と権力は凄い。
レストランから帰宅した父のロペスは早速招待客のリスト作り、母のミシェルは荷造りの指示など親として子爵家として、やらなければならないことがたくさんあった。使用人たちも右往左往していた。
招待客のリストは完成し早々に手紙を送ったかいもあり、親戚の多くが社交シーズンで王都に滞在していたため、参加してくれる旨の返信は早かった。
急な日程のため準備が調わないと苦情を言ってくる縁遠い親戚もいたが、無理強いをするつもりもなく、結婚式への参加を見送ってもらうことにした。お祝いの席に嫌々来てもらってもお互いに良くはない。記念品などを後日送ることにした。
親戚の殆どはお祝いの返信をくれた。
兄ふたりにも連絡をしたら、かわいい妹の結婚式に参加するべく、長男は直ぐにフィールドワーク先から帰宅した。
次男もラズリスの結婚に喜び、連絡をした翌日には一時帰宅し、そのまま在宅したかったようだか、忙しくしている両親の様子に遠慮し、兄ふたりは結婚式の前日まで学園の寮に滞在することになった。
婚約中は王都にいる限りいつでも会える。
ミシェルはというと、子爵家とはいえ貴族の娘として恥ずかしくない無いように持参させるものを厳選していた。
侍女も付けてあげられないので、嫁ぎ先で惨めな思いはさせたくなかった。
ラズリスは自室の整理をしていた。
持って行きたい物を選んでいるが、自らが刺繍したもの、母が作ってくれた小物などを手にとっては思い出に浸りとなかなか作業は進まない。
侍女のマリカも一緒に思い出話をしたりと、あまり役に立ってるとはいえない。
2ヶ月はあっという間に過ぎた。
結婚式の一週間前、ラズリスは母の部屋に呼ばれ、祖母から受け継いだアンティークの指輪を受け取った。
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