第11話 結婚に向けて

 結婚まで2ヶ月しかない。

 式場やドレス、披露宴や招待客など、考えなくてはならないことがたくさんあるはず。

 1日でも早く伯爵家と相談しなくてはならない。

 中でも一番大事なことはバルトとラズリスの顔合わせになる。結婚当日が初対面なのは是非とも避けたい。

 ロペスは心配でたまらない。


 他の貴族も招待客の都合もあり社交シーズンに合わせて結婚する者も多く、教会等は予定でいっぱいに違いない。

 伯爵の手紙をただ待つのみ。

 ロペスは落ち着かない。眠れない。何度も寝返りをうつ。


 徐々に部屋が明るくなってきた。結局一睡もできず、ロペスは身支度を調え朝食前にも関わらず執務室に向かった。


 ミシェルも眠りが浅く落ち着かない。

 ベッドに座ったまま読みかけの本を手に取ってみるが、本の内容が頭に入らないでいる。


 その日1日は、ミランジュ伯爵からの連絡もなく、子爵家では各々日常の生活を送った。

 子爵は疲れもあり早めに就寝することにした。

 伯爵家からの手紙は翌日に来た。


 伯爵家からの手紙には、社交シーズンが終わる一週間前の7月下旬の式の日程と、バルトとラズリスの顔合わせを2~3日中に行う旨が書いてあった。顔合わせの日程については子爵家の都合に合わせてくれるらしい。

 この時、式場についての確認があるらしい。

 一方的ではあるが結婚の日は決定したので、顔合わせの日からが婚約期間となるようだ。


 眉間に皺を寄せたロペスは夕食後、家族に伯爵の手紙について話すことにした。


「ミランジュ伯爵から手紙が届き、結婚は7月下旬になった。バルト様との顔合わせを2日後にしたいが、ラズリスの予定は大丈夫か」

 ロペスは心配そうな顔でラズリスに聞いた。

「はい。お父様、大丈夫です」

 ハッキリとした声でラズリスは答えた。

「そうか。それでは早速伯爵に伝えておこう。2日後の顔合わせのための準備を頼む」

 ミシェルとラズリスの顔を交合に見ながら表情を確認する。

「はい。承知しました」

 ミシェルとラズリスは顔を見合せ同時に頷いた。


 ミシェルは限られた時間の中で、ラズリスに出来るだけの準備をしたかったため、日数を逆算し、頭を回らせ考えをまとめていた。


 結婚の日取りが決まりラズリスは改めて結婚意思を固めた。後戻りは出来ない。




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