126話 3-36 リエルの心境
オフィスから東さんが出て来た。
「リエルちゃん?蓮司君はETOちゃんじゃ無いわよ?」
「だって声が!」
「あら、蓮司君、男の子よ?」
「‥あ‥‥‥‥え?男?」
‥‥‥‥
「‥ETOちゃんの声が出せる男の子がいるかしら?」
東さんがリエルを覗き込んで聞いた
「‥‥‥‥‥」
「さ!タクシー呼んだわ?下まで行きましょ?」
リエルは蓮司を見つめながら東さんとエレベーターに乗り込んだ
‥‥‥‥‥‥
「応接室に来てたのリエルだったんですね‥」
「すまん‥お姫、迂闊だった‥」
「いえ‥僕もオフィスから出なければ良かったんです‥」
「私も‥リエルがアユの天才モノマネでデビューしたのを覚えてれば‥‥ ‥‥無理ね‥人の声を熟知しているなんて分からない‥」
「それにしても東さんファインプレーでしたね!」
「そうだな!中々の力技だった」
「‥‥なんでリエルは丹羽さんより東さんの言う事聞くんですか!」
蓮司は丹羽さんに詰め寄る
「うっ‥‥‥」
丹羽さんは目を反らす
「そうですよ!リエルの担当でしょ?しっかり手綱を掴んでて下さい!」
「‥‥わ、分かった‥‥‥」
‥‥‥
蓮司は応接室に通された
丹羽さんはノートパソコンを持って来て蓮司の前に座る
「凄いなお姫‥‥‥新曲の伸び‥‥」
コンコン‥
「失礼しま〜す」
凛が蓮司と丹羽さんのお茶を持って来てくれた
「蓮司、アタシ向こうのデスクで作業してるね?」
「うん‥」
「あ!上田!」
応接室を出ようとする凛を呼び止めた
「はい」
「あまりに酷い荒らしやスパムはこっで対処するから回してくれ!」
「受ける案件あれば東にな!」
「荒らすのは殆どリエル信者ですよ‥」
「‥‥‥‥‥‥‥」
苦笑いの丹羽さん
「雑誌インタビュー関係とコラボは受け無いのでカラオケとか音楽系のくらいですけどね‥‥」
「お姫は歌以外は配信しないのか?」
「‥‥‥‥考えた事ないですね」
「そうか‥‥‥‥ それから、恋クレは受けるのか?」
「‥‥‥‥分かりません」
‥‥‥‥‥‥‥
「リエルが恋クレ大好きでな!家にグッズが山ほどある‥」
「‥で‥‥今日リエルが会社に来たのは映画の恋クレの主演も主題歌も断られたからなんだ‥‥一度はリエルに決まったんだよ‥主演も主題歌も‥だが二転三転してどっちも断りが入った」
「え?一度決まったんですか?」
「ああ‥‥」
「じゃあなんで‥‥」
「原作者の意向らしい‥今回はETOの曲が使いたいと‥‥」
「では主演は‥‥」
「それもイメージと合わないんだと‥」
「‥‥‥‥‥‥‥‥」
「気丈に振る舞ってはいるが相当参ってる」
「あ、じゃあライバルのETOに主題歌を取られたからETOを探してるんですかね?」
凛は困ったように聞いた‥
「んぁ?‥‥‥‥‥‥」
「いゃ‥‥‥一言文句言ってやりたい的な?」
「‥あぁ~‥そいつは無いな!」
「今日だって腕組んで来ただろ?お姫に!‥‥‥‥ アイツはETOの大ファンだよ‥主題歌がETOなのはもう納得済だ‥‥むしろETOの主題歌で主演が出来る方が良いみたいだった‥」
「へ?‥‥そ‥そうなんですね」
「‥主演は未定らしい‥‥‥ETOの主題歌となれば主演の選考はかなり厳しい物になるだろうな‥なんせどれだけ金を積んでも使用許可の降りなかった‥孤高の歌姫の楽曲‥主題歌だけでヒットが確約されているようなものだ‥」
「それほど歌姫ETOの楽曲は強い」
「買い被り過ぎですよ‥‥」
「‥もし‥‥僕が主題歌を断わればまたリエルに話しが来ますか?」
「‥‥‥‥その話しもした上で断われた」
「‥‥‥‥‥‥‥‥‥」
「なぁお姫‥一度で良いからリエルと会ってくれないか?」
「え?」
「あぁ‥もちろんETOでだが‥‥」
「‥‥‥無理にとは言わない‥会うだけで良い、考えてみてくれ」
「なんで僕なんですか?会って何か解決するとは思えないですけど‥‥」
「リエルのマネージャーが言ってたんだ‥‥ほぼ毎日隠れてETOの曲を聴きながら泣いてるらしい‥」
「多少叩かれても堪えない強心臓な所があるんだけどな‥‥見せないだけかも知れんが‥今回はちょっと危うく見える‥」
「解決してくれとは言わない‥会うだけだ‥」
‥‥‥‥‥‥‥‥
「分かりました‥‥‥‥‥考えてみます‥」
丹羽さんはリエルがETOの出現以降モチベーションが低くなりつつある事を気にしていた‥‥
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らくがき
次回は、エピソード リエルです
1話分です。最初期に歌姫誕生の秘話を書いた時の続きで番外編となりますが編集してあります(^^)
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