時限の歌姫

123話 3-33 ありがとう

前回の新曲の時は保健室登校中だったから知らなかったがクラスでは同じ事があったらしい‥

凛が笑いながら教えてくれた

　昼休み

凛とケンと昼食を終えた蓮司はクラスで盛り上がるETOの話題で恥ずかしく小さくなっていた

「江藤君！久しぶりだね！」

シノが蓮司の隣でニコニコしていた

「あ！久しぶり‥」

「江藤君はETOの新曲はもう聞いた？」

「‥‥‥‥あ‥うん‥へへっ」

「すごく素敵だったよね～‥‥私は今までの曲で一番好きかも！」

「アハハ‥ありがとう‥」

「‥‥‥‥‥ん？なんで江藤君がお礼？」

蓮司は真顔になった‥

そうだった‥シノはETOの会話を聞いた事があってもそれがまだ歌姫である事や蓮司である事を知らない‥‥

「あ‥‥‥いや‥このお礼は‥‥ほら！凛の事で‥‥‥た、誕生日教えてくれたじゃん！」

苦し紛れに出た言葉にシノは妙な笑みを浮かべ蓮司に寄って来た‥

‥‥‥‥‥‥

のけぞる蓮司

「‥‥‥‥凛ちゃんと仲直り出来て良かったね‥プレゼント何あげたの？」

蓮司は凛を指差す‥‥

シノはジッと凛を見て目を輝かせ凛の所へ行く

‥‥‥‥‥何とか誤魔化せた‥

凛はシノからネックレスの事をイジられ真っ赤になっていた

‥‥‥今までの曲で一番好き‥‥‥

‥‥‥‥‥‥褒められると嬉しくはあったが今回は今までとは違う心境から出来た曲で他の人の評価を聞くのが新鮮に感じた‥

蓮司はスマホを取り出してVision動画を開く

‥‥‥‥‥‥‥‥？

ETOの動画は急上昇1位、トレンド1位、ネットニュースにもなっていた‥‥‥‥

？？‥‥‥

今までの新曲も急上昇ワードやトレンドには入った事はあったが1位獲得はこんなに早くはなかった気がした‥‥

‥‥‥‥‥丹羽さんの仕業か？

‥‥‥‥‥‥‥何の通知も無いので忘れていたがアカウントは凛の仕事用スマホに移していた‥

この日、二時間目の授業開始と同時に新曲が流れ出すと言う恥ずかしい現象はクラスだけでなく学校全体で似たように起きていた‥

蓮司は冷や汗が出る‥もしかして全国の学校レベルで起きてたりしないよね‥‥

初めて直面するETOの社会現象‥今までは何も気にして無かったが、これは教育委員会から苦情が来るかもしれない‥‥早急に今後の公開時間を見直さなければ！

凛に相談しようとするも凛はスマホを真剣に見ている‥

コメントの荒らしやスパムをチェックしているようだ‥仕事中で邪魔も出来ない

？？

蓮司のスマホにメッセが来ていた。開くと

「えとくん新曲リリースおめでとう！」

梨花からだった‥

「ありがとう」

返信する

‥‥‥‥‥‥そう言えばあれから両親とは上手く行ってるのだろうか‥真実を知った梨花のその後は聞いていなかった

「今も聴いてたよ！」

梨花から返信が来た

「今日は学校？」

「今日は遠征なの！」

「まだ忙しいんだね」

「もう落ち着くと思うよ～だってETOがトレンド塗り替えてくれたし！（笑）」

「‥‥‥‥ごめん」

「責めてないよ！流石だなって納得したし次元が違いすぎて悔しいとかも無い（笑）」

「そんな事ないよ」

「あのさ‥相談したい事があったんだけど、もう行かなきゃなの‥また連絡する！またね！えとくん！」

‥‥‥相談？なんだろう‥‥

ん？

梨花から遠征先のメンバーとの写メが送られて来た

顔は元気そうだったので少し安心する