121話 3-31 私でも張り詰める
翌朝、早くから学校の支度を済ませ凛は蓮司の部屋で一緒にパソコンの前に居た
真剣にPVのチェックをする蓮司‥その横顔に見惚れる凛‥‥
カッコいい‥‥凛の中で蓮司への意識は確実に変わりつつあった‥
「画像は大丈夫そう‥UPは10時で良いよね?」
「‥‥‥‥‥‥」
「凛?」
蓮司は凛を見ると目が合う
「へ?‥‥‥‥な、何?」
「どうしたの?気分でも悪い?」
「い、いや?大丈夫!アハハ‥‥」
‥‥‥‥‥心配そうに凛を見る
「‥‥‥‥‥‥学校行くよ?」
「うん!」
久しぶりの学校だがいつも通り玄関で凛がネクタイを直してくれる‥
「なんか緊張する‥‥‥」
「‥‥‥‥うん‥近いってこんなにドキドキすると思わなかった‥」
‥‥‥蓮司はキョトンと凛を見た
「へ?‥‥‥‥‥久しぶりの学校で緊張するって‥‥‥‥」
「あぁ~‥アハハ‥!久しぶりだもんね!‥うん!」
首を傾げる蓮司‥具合も機嫌も悪く無さそうなので放っておく事にした。
一週間振りに二人で登校する
「凛?東さんに連絡入れた?」
「何が?」
「‥‥‥‥新曲上げる時は連絡しなきゃって言われて無かった?」
「‥‥‥‥‥あ!凛は急いでスマホを開き東さんにメッセしていた‥」
「凛!!」
蓮司は凛を強く引き寄せた
凛のすぐ後ろを荒い運転の車が過ぎて行く‥‥
凛の顔が青ざめた‥‥
「‥‥‥‥‥‥‥」
「凛‥今日は無理そうじゃ無い?」
普段の凛ならいち早く気付いて蓮司を歩道に押し込む場面だった
「ごめんなさい‥」
‥‥‥謝りながら真っ赤に俯く‥抱き寄せられたままの姿だった
凛がここまでのポンコツは珍しい
蓮司は黙って歩道側に入れ替わり凛の手を引いて学校に連れて行く
「ちょっと!蓮司!恥ずかしい‥‥」
蓮司は立ち止まる‥‥‥
『‥‥‥‥私、新曲が上がる時‥神経質になるの‥‥‥‥いくら私であってもこの時間は張り詰める‥』
『本当はあなたを頼りたいの‥‥‥』
ETOの言葉がグサリと凛を貫く‥‥‥‥
パチン!
ETOは驚いて凛を見ると両手で自分の頬に気合いを入れていた‥‥
涙目の顔はいつもの凛だった‥
「もう大丈夫よ!心配かけてごめん!」
凛は蓮司の前を歩き始めた
「待って凛!」
蓮司は凛を追いかける
凛は大きく深呼吸した。
‥‥‥‥恥ずかしい‥何もかも今日はダメだ‥ETOに喝を入れさせてしまった。
なにを浮かれてるの!大事な日なのに‥‥
ジンジンする頬を撫で失敗を刻む‥
「蓮司!今日の公開は何時?」
「‥‥‥‥‥‥10時」
「DMは全部こっちの仕事用のに回して!後コメントのチェックするからアカウント借りるわよ?公開告知もやっておくわ?」
「分かった」
いつもの凛に戻ったが凛がマネージャーになって初めての新曲公開と言う事もあり目が覚めたように蓮司より緊張していた。
「あ!東さんから着信!」
凛イヤホンを付けると東さんと通話しながら自分のスマホと仕事用のスマホを両手で器用に操作していた‥
流石に危ないので近くにある自販機横のベンチに座らせる。
蓮司は自販機でコーヒーを二本買うと手いっぱいの凛の隣に置いた
‥‥‥凛の夏服の開いた首元には蓮司のプレゼントしたネックレスが朝日を反射してキラキラ光る
嬉しくて見ていると通話中の凛が目線に気付き胸元を隠して「エッチ!」と口パクされた
‥‥‥‥‥
ブレスレットにすれば良かった‥‥‥
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