119話 3-29 大っきらい!!

 凛は驚き蓮司を見つめた‥そして俯くと




「でも梨花が‥‥‥」

     「僕は‥‥‥凛以外の人をこんなに近くに置く事は無いよ‥‥‥これからも‥ それは‥ETOが消えてしまっても同じ‥」


蓮司の透き通る真剣な瞳は全ての不安を吹き飛ばすような強く優しい目だった


「れ‥‥蓮司‥それって‥」


蓮司は真っ赤になり顔を反らすとスマホを構えた母さんと目が合う‥‥‥‥‥‥‥‥



「母さん?‥‥‥‥‥‥」


それに凛も気が付く


「すみれさん?」




‥‥‥‥‥‥‥




「佳代子?これ以上無理じゃないかしら」



「‥‥‥‥‥もぅ!もう少しだったのに!」


すみれさんの持ったスマホからスピーカーの音声が聞こえた



すみれさんがスマホ画面を見せるとママの顔が写る‥‥テレビ通話だった‥‥


「ママ?」


「凛?やっほ!お誕生日おめでとう!」


手を振ってくる

 

「パパとママの誕生日プレゼントどうだったかしら?」



「‥‥‥は?」


「あら?蓮司君の本当の気持ちを引き出したプロポーズのお膳立てしたでしょ?」




‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥



「いつから見てたの?」


「蓮司君がプレゼントを渡す時からよ?‥初々しくてキュンキュンしちゃったわ?」



蓮司も混乱した‥‥‥



凛の顔は次第に真っ赤になり怒りに震え出した


「もしかしてワザとお見合い写真送ったの?」


「良くできてたでしょ?」


「‥‥‥‥‥すみれさんに伝えた首の突っ込めないない事情って‥」


「だって蓮司君の素直な気持ちを聞きたいじゃない?」


「‥‥‥‥パパ?いるでしょ?」




「凛‥誕生日おめでとう‥」


「ありがとうパパ」



「‥‥‥‥‥‥

    で‥彼氏じゃ無いなら住まわせないって?」




「‥‥‥‥‥‥‥‥すまん‥‥差し金はママだ‥‥」






‥‥‥‥‥‥‥‥







凛の怒りは最高潮に達した








「いい加減にして!!!みんな大っキライ!」









夜中に近所中に響き渡る凛の怒号




凛の父は小声で


「蓮司君‥これからも凛をよろしく頼む‥‥」


「はぃ?‥‥‥あ‥えっと‥‥初めまして‥‥‥」



全く事情の飲み込めていない蓮司に突然の凛の父親の声に更にパニックに‥‥




「パパはもう余計な事言わないで!」



凛は頭を抱えてうつ伏せた


「も〜〜〜〜!ほんっとに悩んで悩んで一人暮らしを考えたわ!」


「アッハハハ!青春ね!」


「笑えなかったの!アタシの距離感が蓮司を苦しめてるって思って!」


「‥‥‥‥僕もその距離を勘違いしてて凛に嫌われたらどうしようって思って‥‥‥」


「蓮司とは良い距離だって言ったじゃない!」


「‥‥‥でもこの前公園で僕が写真の人の所に行かないよね?って聞いたら黙ってたし腕掴んじゃったから‥僕が距離を間違えてたと思ってた‥」



「あの時は‥‥‥‥」


‥‥‥‥‥‥‥



「何?」



凛は真っ赤にものすごく小声でゴニョゴニョと











「彼氏になってくれたらどこにも行かなくて済むって‥‥‥‥‥」






それは凛が面と向かって言えなかった事だった‥‥‥‥










「聞こえない‥けど‥‥」


不安そうな蓮司に


「ちょっと照れただけよ!どこにも行く訳無いじゃない!ETOと蓮司のお世話は私しか出来ないわ!」



「???」



真っ赤な顔の凛は蓮司を捲し立てる




「あら?でも蓮司君も一生、凛を側に置くんでしょ?」


「‥‥‥‥あ‥‥っと凛はマネージャーとして換えが効かなくて‥凛以外を認めるつもりは無いです‥‥」


「ETOちゃんが居なくなっても?」


「まぁ‥それでも作曲は続けますし‥ETOであっても僕は僕なんで‥凛以外は無いです‥‥」



「‥‥‥さっすが蓮司!分かってるじゃん!」



「‥‥‥‥‥‥‥」




「何?バグってるの?これ‥‥‥振り出しに戻るって感じ?」







蓮司は訳が分からないままいつもの元気な凛に安心しモヤモヤが収まって落ち着いて行くのが分かった‥‥‥





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